出発の荷造りをしながら、ふと手が止まる——このスマホ、向こうでもこのまま使えるんだろうか。数日の旅行なら海外用のeSIMを買えば済みますが、留学やワーホリで数か月から1年ほど海外で暮らすとなると、話は変わってきます。日本の番号は残すべきか、現地でのSIMはどうするか、日本の銀行から届くはずのSMS認証はちゃんと受け取れるのか——出発前に一度整理しておきたい3つのことがあります。
この記事の要点
- 数か月〜1年の滞在では、まず「日本の番号を残すか」を決めます。povoは基本料0円ですが180日間トッピング購入がないと利用停止になる仕組みがあり、ahamoなどの契約中プランをそのまま維持するなら通常の月額(ahamoは月額2,970円〜・2026年12月1日から新料金)を払い続けることになります(2026年9月時点・各社公式)
- 実際の通信は、短期旅行向けの日数制eSIMプラン(例: povoレギュラートッピング3GB・7日間4,280円)をそのまま延長するより、現地SIMや現地の通信契約を検討する場面が増えます。滞在期間が数か月単位になるほど、日数課金の積み上げより月額課金のほうが噛み合いやすいためです
- 銀行や行政サービスのSMS認証は、日本の番号の回線が有効になっていることが前提です。番号をどう残すかを最初に決めることが、SMS認証を受け取れるかどうかの土台になります
海外旅行での通信の選び方そのものは海外旅行の通信はeSIM・レンタルWiFi・ローミングのどれ?で整理していますが、あちらは数日〜数週間の旅行が前提です。この記事では、留学・ワーホリのように滞在が数か月から1年に及ぶ場合に絞って、出発前に決めることを順番に見ていきます。
出発前に決めることは、実は3つだけ
選択肢が多く見えますが、決める順番を追うと3つに整理できます。
- 日本の番号を残すか — 残すなら、どの方法で・いくらの費用で維持するか
- 現地の通信をどうするか — 現地SIMと海外eSIM、どちらを主な通信手段にするか
- 日本のSMS認証をどう受け取るか — 銀行・行政サービスの認証コードを、渡航中どう受信するか
この順番には理由があります。(2)と(3)は、(1)で「番号を残す」と決めて初めて選べる選択肢になるからです。まず(1)から見ていきましょう。
日本の番号は残す? — povoの180日ルールとahamoの月額
数か月〜1年ほど日本を離れる場合、契約している回線をどうするかで選択肢が変わります。
| 選択肢 | 月額の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| povoに乗り換えて番号だけ残す | 基本料0円 | SIM有効化から180日経過後は、各日から遡る180日間に有料トッピングの購入がないと順次利用停止。その後30日間購入等がなければ契約解除(その180日間の国内通話料等の合計が税込660円を超える場合や指定プリペイドコードの利用がある場合を除く)(2026年9月時点・povo公式) |
| 契約中のプラン(ahamoなど)をそのまま維持 | 通常の月額料金(ahamoは2026年11月30日まで30GBで2,970円、2026年12月1日から40GB/60GB/120GBの3段階制に変更・2026年9月時点公式) | 契約を解除しない限り、渡航中も通常の月額料金の支払いが続く |
| 解約する | 0円 | 番号が手元から離れ、その番号宛のSMS認証は一切受け取れなくなる |
povoは基本料0円から使える一方、SIM有効化から180日が経過すると、以降は各日から遡る180日間のうちに有料トッピングの購入がなければ利用停止に向かう仕組みがある点に注意が必要です(2026年9月時点・povo公式「有効期限に関するご案内」)。数か月〜1年の滞在なら、180日を空けずに一度は海外データトッピングなど何らかの有料トッピングを購入する必要があると考えておくと安心です。海外データトッピングも「有料トッピング」の一種と案内されていますが、渡航中に一度も購入しない前提で維持できるかどうかはpovoサポートへの確認をおすすめします。
ahamoなど契約中のプランをそのまま維持する場合は、渡航中もいつもどおりの月額料金がかかります。ただしahamoには、海外で最初にデータ通信を利用した日から15日を超えると通信速度が送受信最大128kbpsに制限される「15日ルール」があります。2026年11月30日まではこの制限をデータ量の追加購入で解除することができず、帰国後まで続きます。2026年12月1日からは、有料の「海外データ通信日数追加オプション」(1日980円)に申し込むことで16日目以降もこの速度制限を受けずに利用できるようになりますが、これは日数による制限に限った措置で、容量の上限(同日から国内と共用の枠のうち海外は月間40GB)に達した場合の速度制限は別に適用されます(2026年9月時点・ahamo公式、ドコモ公式2026年9月25日発表)。つまりahamoを維持すること自体はできても、数か月間の主な通信手段として使い続けるには、追加のオプション料金や容量上限を踏まえた検討が必要です。この仕組みの詳細はahamoは海外でそのまま使える?、povoの海外ローミングの仕組み全体はpovoは海外でそのまま使える?で整理しています。
ここが短期旅行との一番の違いです。 数日〜1週間の旅行なら「契約中のプランの海外ローミングをそのまま使う」で完結しますが、数か月の滞在では「番号を残す(維持コストを抑える)」と「実際に使う通信手段」を分けて考える必要が出てきます。
現地の通信は、現地SIMと海外eSIMのどちらで?
番号を残すと決めたら、次は実際の通信手段です。この記事で紹介した国別の海外eSIM比較(オーストラリア・カナダ・イギリスなど)は、いずれも数日〜1週間程度の日数制プランを前提にしています。povoのレギュラートッピングも3GB・7日間で4,280円というように、日数と容量で区切られたプラン制です(2026年9月28日時点・povo公式)。仮にこの7日間プランを13週間(約3か月)分そのまま買い続けると単純計算で5万円を超え、日数を延ばすほど割高になりやすい仕組みです。
これに対して、現地の通信事業者と契約するプリペイドSIMや月額プランは、月単位の課金で大容量・使い放題のプランが中心になりやすく、数か月〜1年の滞在では日数の積み上げより噛み合いやすい場面が増えます。一方で、現地キャリアとの契約にはパスポートや現地の住所、就学・就労を示す書類の提示が必要になる場合があり、渡航直後にすぐ契約できるとは限りません。具体的にどんな書類が必要かは渡航先・キャリアによって異なるため、出発前に現地キャリアの公式サイトや留学エージェントの案内で確認しておくと現地での手続きがスムーズです。
この「到着直後は契約できない・審査に時間がかかる場合がある」空白を埋めるために、短期の海外eSIMを渡航直後だけ使い、現地SIMの契約が済み次第切り替える、という2段階の使い方も選択肢になります。海外eSIMは出発前に設定を終えておけるため、着陸後すぐに使い始められる点は短期旅行と同じです。仕組みの違いは海外旅行の通信はeSIM・レンタルWiFi・ローミングのどれ?、設定手順は「QRコードを読み取ってください」で止まったら — iPhone・AndroidのeSIM設定手順で解説しています。海外eSIMサービスに数か月単位の長期プランがあるかどうかはサービスによって異なるため、契約前に各社公式サイトで確認してください。
| 現地SIM(現地キャリア契約) | 海外eSIM(渡航直後の橋渡し) | |
|---|---|---|
| 課金の単位 | 月額が中心 | 日数×容量のプラン制が中心(短期向け) |
| 契約に必要なもの | パスポート・現地住所等、場合によっては審査(渡航先・キャリアによる) | 購入とQRコード読み取りのみ(オンライン完結) |
| 使い始めるタイミング | 現地到着後、手続き完了後 | 出発前に設定を終えておける |
| 向く場面 | 滞在が数か月〜1年に及ぶ場合の主回線 | 到着直後の空白期間、短期の滞在 |
オーストラリアのワーホリでの現地通信はオーストラリア旅行の通信準備、カナダはカナダ旅行の通信準備で、それぞれ料金の目安を整理しています(いずれも短期旅行向けの比較です)。
日本のSMS認証は、渡航中も受け取れる?
銀行や各種サービスの認証コードなど、日本の番号宛のSMSを海外で受け取る方法は、大きく分けて「契約回線の海外ローミングでそのまま受信する」方法と、「日本の番号回線を残しつつ現地用eSIM・現地SIMを追加するデュアルSIM運用」の2つです。ドコモ・au・ソフトバンクはSMSの受信が無料で、送信のみ1通あたり100円前後かかるのが目安です(2026年9月時点・各社公式)。楽天モバイルはRakuten Link経由なら送受信無料ですが、2026年2月24日以降に申し込んだ「データタイプ」プランは対象外という条件が付きます(2026年9月時点・楽天モバイル公式)。
ここで重要なのは、(1)で番号を「残す」と決めていなければ、この選択肢自体が存在しないということです。SMS認証を受け取るには、日本の番号の回線がオンのまま有効になっている必要があります。方法ごとの料金・設定条件の一覧は海外にいても、日本の番号宛のSMSは受け取れる?で詳しく整理しているので、渡航前に契約先の条件を確認してください。機内モードとデータローミングの違いでつまずきやすい点は海外で機内モードにしたらWi-Fiまで使えなくなったにまとめています。
決めた後の景色 — 番号は残したまま、現地の生活が始まる
出発前に3つを決めておけば、現地に着いてからの景色は変わります。空港で現地キャリアのブースに並ぶ間も、日本の番号はpovoやahamoの回線として端末に残ったまま。現地SIMの契約が終わって主回線を切り替えても、契約先と銀行それぞれの海外SMSの条件を確認し、必要な設定を済ませておけば、日本の銀行アプリの認証コードSMSを受信できる場合があります。エージェントを利用している場合は、現地到着後のSIM契約や携帯電話の手続きをサポート範囲に含めているところもあるため、契約時に確認しておくと現地での手間を減らせます。
エージェントの料金モデルや選び方の基準は留学エージェント おすすめ? — 料金モデルと選ぶときに確認することで整理しています。
スマホの準備と合わせて、出発前の英語の準備も進めておくと安心です。ビザの英語要件の有無はワーホリ前の英語、どこまで準備すればいい?、日々の練習方法はAI英会話アプリやオンライン英会話の比較記事で整理しています。
向かない人・注意
数週間以内の短期留学や語学研修なら、この記事で挙げた「番号を残す」の検討は過剰になりがちです。契約中のプランの海外ローミングをそのまま使うか、短期の海外eSIMを追加するだけで十分な場合が多く、海外旅行の通信はeSIM・レンタルWiFi・ローミングのどれ?の内容で足ります。逆に、日本の銀行口座やクレジットカードの管理を渡航中も続ける必要がある人、行政手続き(マイナンバー関連など)で日本の番号宛のSMS認証が必要になる可能性がある人は、番号を残す方法を出発前に決めておくことを優先してください。料金・条件は各社の公式サイトで変わることがあるため、この記事の数字は2026年9月時点のものです。出発前に必ず最新の公式情報を確認してください。
通信以外の出発前の手続きはワーホリの準備はいつから? — ビザ・住民票・国保・年金の手続きを出発から逆算で整理するにまとめています。
よくある不安
留学・ワーホリの間、日本のスマホは解約してしまってもいいですか?
解約すると、その番号は手元から離れ、番号宛のSMS認証(銀行や各種サービスのワンタイムパスワードなど)は一切受け取れなくなります。日本の銀行口座や行政サービスの手続きが必要になる場面を考えると、多くの場合は番号だけでも残しておくほうが安全です。番号を残す代表的な方法や料金は、本文の「日本の番号は残す?」で整理しています。
povoの回線を維持するだけなら、費用はいくらかかりますか?
povo2.0は基本料0円から使えますが、SIMを有効化した日から180日が経過すると、以降は各日から遡る180日間に有料トッピングの購入がないと順次利用停止となり、その後30日間トッピング購入等がなければ契約が解除されます(2026年9月時点・povo公式)。その180日間の国内通話料・SMS利用料等の合計が税込660円を超える場合や指定プリペイドコードの利用がある場合はこの対象外です。数か月〜1年の滞在なら、180日を空けずに一度は何かしらの有料トッピングを購入する必要があると考えておくと安心です。
現地に着くまではeSIMで様子を見て、着いてから現地SIMに切り替える、という使い方はできますか?
できます。スマホに日本の番号の回線を残したまま、渡航直後だけ短期の海外eSIMを追加し、現地SIMの契約が済み次第そちらに切り替える、という2段階の使い方は一般的です。設定の考え方は海外旅行の通信はeSIM・レンタルWiFi・ローミングのどれ?、実際の設定手順は「QRコードを読み取ってください」で止まったら — iPhone・AndroidのeSIM設定手順で解説しています。
まとめ
留学・ワーホリで数か月〜1年海外に行くとき、スマホの準備は「日本の番号を残すか」「現地の通信をどうするか」「日本のSMS認証をどう受け取るか」の3つを、この順番で決めるのがポイントです。番号を残すならpovoの180日ルールかahamoなど契約中プランの月額維持のどちらか、通信は現地SIMと渡航直後の橋渡しとしての海外eSIMの組み合わせ、SMS認証は番号を残すと決めて初めて選べる選択肢になります。ワーホリの費用全体はワーホリ 費用 — 国別の申請料・必要資金・保険を整理、オーストラリアのビザ条件はワーホリ オーストラリア、カナダはワーホリ カナダで整理しています。




