到着ロビーでSNSを開こうとして、機内モードをオフに戻した。Wi-Fiにつなぐだけのつもりが、データローミングもオンのままだったことに気づいたのは、帰国後に請求明細を見たときだった。機内モードは、オンとオフだけの単純なスイッチではない。Wi-Fiだけを使いたいときと、現地の回線も使いたいときとで、実は使い方が変わってくる。

この記事の要点

  • 機内モードは「モバイル通信・Wi-Fi・Bluetoothなどの無線を一括で止める」設定ですが、オンにしたあとWi-FiやBluetoothだけを個別にもう一度オンにできます(2026年8月時点・Apple/Google公式)
  • 「機内モード」と「データローミングオフ」は防げる範囲が違います。機内モードは通信そのものを止め、データローミングオフは自国キャリアの海外提携回線への接続だけを避ける設定です
  • 出発前に「データローミングをオフ」→「機内モードをオン」の順で設定しておけば、着陸後はWi-Fiだけを個別にオンにする運用で、高額請求のリスクを抑えながらネットを使えます

海外でスマホがつながらないという逆のトラブルは着陸したのに画面が「圏外」のままだったら — 海外でスマホがつながらないときの確認手順で、eSIM・レンタルWiFi・ローミングの選び方そのものは海外旅行のスマホ、機内モードのまま我慢していませんか — eSIM・レンタルWiFi・ローミングの選び方で整理しています。ここでは、機内モードとデータローミングという、紛らわしい2つの設定に絞って仕組みを見ていきます。地図アプリを通信なしで使う準備は機内モードのまま地図が開けなかった — Googleマップのオフラインマップでできること・できないことでも解説しています。着陸後にスマホの充電が切れて機内モードの切り替えどころではなくなる事態を避けるには、渡航先に合った変換プラグの準備も欠かせません。国・地域ごとのプラグ形状と電圧は海外のコンセント、変換プラグは必要? — 主要渡航先のプラグ形状と電圧の一覧にまとめています。

機内モードのままWi-Fiだけオンにできる仕組み

機内モードは、本来「デバイスのモバイルデータ通信とWi-Fiを無効にしておくことができる」機能で、離着陸時などに機体の電子機器への影響を避ける目的で使われます(2026年8月時点・Apple公式「iPhone、iPad、Apple Watch、Apple Vision Proで機内モードを使う」)。オンにした瞬間は、モバイル回線・Wi-Fi・Bluetoothがまとめてオフになります。

ここでポイントになるのが、Apple公式サポートが案内している仕組みです。「航空会社で許可されている場合は、機内モードにしている間にWi-FiやBluetoothを使用できます」——機内モードをオンにしたあとでも、コントロールセンターや設定アプリからWi-Fi・Bluetoothだけを個別にもう一度オンにできる、という意味です(2026年8月時点・Apple公式)。しかも一度オンにしたWi-Fi・Bluetoothの状態は端末に記憶され、次に機内モードを使うときも引き継がれます。

Androidも同様の仕組みです。Google Pixel ヘルプは、機内モードを初めてオンにするとWi-FiとBluetoothは一度オフになるものの、設定を変えることでワイヤレス接続をオンのままにしておけると案内しています(2026年8月時点・Google Pixel ヘルプ公式「機内モード使用時にAndroidのワイヤレス接続をオンのままにしておく」)。つまり「機内モード=すべての通信が使えなくなる」のではなく、「モバイル回線だけを止めて、Wi-Fiは選んで使える状態にできる」設定です。

機内モードとデータローミングオフ、防げるものが違う

紛らわしいのが、データローミングをオフにする設定との違いです。データローミングは、契約している通信事業者のネットワークの圏外にいるときに、他の通信事業者のネットワークを使ってデータ通信をする仕組みで、これをオフにすると海外で自国キャリアの提携回線に接続しなくなります。ただしこれは「モバイル回線を海外で使うかどうか」の設定であり、Wi-Fiの動作には関係しません。機内モードとの違いを整理すると、次のようになります。

状態 モバイル回線(電話・SMS・データ) Wi-Fi
機内モードON 完全に停止(現地キャリアにもつながらない) オフから個別にオンにできる
機内モードOFF・データローミングOFF 自国キャリアの海外提携回線には接続しない(圏外表示になりやすい) 通常どおりオン・オフを切り替えられる
機内モードOFF・データローミングON 現地の提携キャリアに接続し、課金条件は契約プラン次第 通常どおりオン・オフを切り替えられる

海外用のeSIMや現地SIMを渡航用の回線として別に追加している場合は、この表の「モバイル回線」を渡航用回線に読み替えてください。渡航用回線側のデータローミング(またはモバイルデータ通信)をオンにしていれば、機内モードをオフにしている間、その回線でデータ通信ができます。表の「モバイル回線」には電話・データだけでなくSMSも含まれます。日本の番号宛のSMS(認証コードなど)を海外で受け取れるかどうかの条件は海外にいても、日本の番号宛のSMSは受け取れる?で整理しています。

出発前に確認する設定手順 — iPhone・Android

高額請求の主な原因は、自国キャリアの回線でデータローミングがオンになったまま海外に着き、現地の提携キャリアを自動で掴んでしまうことです。次の順番で確認しておくと、リスクを抑えられます。

iPhone(2026年8月時点・Apple公式)

  1. 出発前に「設定」→「モバイル通信」→ 自国SIMの「通信のオプション」→「データローミング」をオフにする(渡航用eSIM追加済みなら、そのeSIM側はオンにする)
  2. 搭乗前に機内モードをオンにする
  3. 着陸後にWi-Fiだけ使いたい場合は、コントロールセンターまたは「設定」→「Wi-Fi」からWi-Fiだけをオンにする
  4. 渡航用回線でモバイル通信も使う場合は、モバイルデータ通信の回線が渡航用になっているか確認してから機内モードをオフにする

Android(2026年8月時点・Google Pixel ヘルプ公式)

  1. 出発前に「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」→ 自国SIMの設定から「ローミング」をオフにする
  2. 搭乗前に機内モードをオンにする(毎回Wi-Fiをオンにし直すのが手間なら、ワイヤレス接続をオンのままにしておく設定に変更しておくと次回以降は自動化できます)
  3. 着陸後にWi-Fiだけ使いたい場合は「ネットワークとインターネット」→「インターネット」からWi-Fiをオンにする
  4. 渡航用回線でモバイル通信も使う場合は、優先回線を渡航用に切り替えてから機内モードをオフにする

具体的なeSIMの設定手順そのものは「QRコードを読み取ってください」で止まったら — iPhone・AndroidのeSIM設定手順で解説しています。

eSIM・レンタルWiFi利用時の機内モード運用

eSIMや現地SIMを渡航用に追加している場合、機内モードは「自国SIMの回線を止める」ためというより「渡航用回線だけを選んで使う」回線選択の話に近づきます。自国SIM側のデータローミングをオフのまま、渡航用回線側だけをオンにしておけば、機内モードをオンオフしなくても同じ結果になります。

レンタルWiFiルーターを使う場合は、スマホ側の通信とルーターの電源はまったく別物です。スマホは機内モードをオンにしたままWi-Fiだけをオンにし、ルーターのWi-Fiに接続すれば、自国SIM回線を一切使わずにネットにつながります。ルーター本体の電源設定は、レンタル会社の取扱説明書に従ってください。人数や行動パターンに応じたレンタルWiFiとeSIMの使い分けは、海外旅行のWi-Fi、レンタル1台で家族分足りる? — レンタルWiFiとeSIMの使い分け方で整理しています。

よくある疑問

機内モードをオンにしたままなら、データローミングはオンのままでも大丈夫ですか?

機内モードがオンになっている間は、モバイル回線への接続自体が行われないため、データローミングの設定に関わらず通信は発生しません(2026年8月時点・Apple/Google公式)。ただし、着陸後に機内モードをオフへ戻す瞬間にデータローミングがオンのままだと、その時点で現地の提携キャリアに接続してしまう可能性があります。オフに戻すタイミングでローミング設定も確認しておくと安心です。

到着後、機内モードはいつオフに戻せばいいですか?

Wi-Fiだけで過ごす予定なら、機内モードはオンのままでWi-Fiだけを個別にオンにしておけば、うっかりモバイル回線につながる心配がありません。渡航用のeSIMや現地SIMでモバイル通信も使う予定がある場合は、その回線のデータローミングやモバイルデータ通信の設定を先に確認してから、機内モードをオフに戻すという順番にすると安全です。

経由地の空港で少しだけ現地の電波を使いたいときはどうすればいいですか?

短時間だけのために機内モードを完全にオフへ戻すと、自国SIMのデータローミングがオンのままだった場合に現地キャリアを掴んでしまう可能性があります。空港であれば無料Wi-Fiが用意されていることが多いため、機内モードはオンにしたままWi-Fiだけを利用するほうが、意図しない接続を避けやすくなります。

まとめ

機内モードは、モバイル回線とWi-Fiをまとめて止める設定ですが、Wi-FiやBluetoothだけは個別にもう一度オンにできます。一方のデータローミングオフは、自国キャリアの海外提携回線への接続だけを避ける設定で、Wi-Fiの動作には関係しません。出発前に自国SIMのデータローミングをオフにしたうえで機内モードをオンにしておき、着陸後はWi-Fiだけを個別にオンにする——この順番を覚えておけば、意図しない高額請求を避けながら現地のネット環境を使えます。設定の切り分けそのものに迷ったときは、着陸したのに画面が「圏外」のままだったら — 海外でスマホがつながらないときの確認手順もあわせて確認してください。