ヒースロー空港に着陸し、機内モードを解除する。地図アプリを開こうとした瞬間、ふと手が止まる——「イギリスはEUを離脱したはずだけど、『ヨーロッパ向け』の海外定額プランは、そのまま使えるんだろうか」。そう考えたことはありませんか。

この記事の要点

  • イギリスはEUの非加盟国(2020年に離脱)ですが、ドコモ・au・楽天モバイル・ahamo・povo2.0の「ヨーロッパ向け」海外定額・エリアトッピングは、いずれも対象地域にイギリスを含めています(2026年9月時点・各社公式)
  • ソフトバンクの「海外あんしん定額」も対象国の例としてイギリスを挙げていますが、料金区分ごとの対象国一覧は検索ツール上でしか確認できず、この記事では確認できた範囲だけを記載しています
  • そもそも「EU域内はローミング無料」という制度はEU/EEA居住者向けで、日本からの旅行者には渡航先のEU加盟の有無にかかわらず関係がありません

イギリス旅行で通信が特に大事な理由

ロンドンの地下鉄(Underground)やバスは、コンタクトレス決済対応のカードやスマホがあればそのまま乗車できる一方、路線や乗り換えのリアルタイムな変更確認にはTfL(Transport for London)の公式アプリやGoogleマップの経路検索が便利です。中心部を離れた郊外や、エディンバラ・マンチェスターなど地方都市に足を延ばす旅程では、鉄道の運行情報をリアルタイムで確認できるかどうかが移動のしやすさを左右します。

出入国審査(イギリスはシェンゲン協定にも加盟していないため、EU加盟国からの乗り継ぎであっても入国審査があります)を終えてゲートを出た瞬間から、宿までの経路検索や配車アプリの利用が始まる旅先です。

通信手段の選択肢 — ローミング・WiFi・eSIM

海外でスマホを使う方法の仕組みの違いは、海外旅行のスマホ、機内モードのまま我慢していませんか — eSIM・レンタルWiFi・ローミングの選び方 で詳しく整理しています。ここでは、イギリス向けの料金を中心に見ていきます(いずれも2026年9月時点・各社公式)。

方法 イギリス向けの料金の例 備考
ドコモ「世界そのままギガ」 24時間980円/7日間パッケージ5,280円 イギリスは国・地域限定割プランの対象国・地域です
povo2.0 海外データトッピング(ヨーロッパ9カ国エリアトッピング) 1GB(3日間)840円/3GB(7日間)2,430円 イギリス単独のトッピングはなく、スイス・フランス・ドイツなど計9カ国と共通のトッピングです
レンタルWiFi 事業者・機種により異なる 空港などでの受取・返却の手間がある一方、複数人で1台を分け合えます
eSIM 渡航先・日数・容量で選ぶプラン制 サービスによって、イギリス単独向けのプランとヨーロッパ周遊向けのプランが別に用意されています

契約中のプランにすでに海外利用が含まれている場合もあるため、比較する前に、まず自分の契約を公式アプリで確認しておくと無駄がありません。渡航予定がイギリス以外の国にも及ぶなら、国境を越えるたびにSIMを買い替えない — ヨーロッパ周遊旅行の通信準備 で周遊対応のプランを確認してください。

イギリスはEU非加盟国 — 各社の「ヨーロッパ」対象地域に入っている?

イギリスは2020年にEUを離脱した非加盟国です。「EU向け」とうたわれたプランがあるなら対象外になっていてもおかしくない——そう考えるのが自然ですが、日本のキャリア・サービスの「ヨーロッパ向け」海外定額・エリアトッピングは、EUという政治的な加盟の有無ではなく、各社・各プランが独自に定める対象国・地域リストで対象を区切っています(地理的に「ヨーロッパ」の範囲であっても、リストに入っていない国・地域は対象外です)。実際に確認できた範囲は次のとおりです(2026年9月時点・各社公式)。

キャリア・サービス 該当プラン イギリスの扱い
ドコモ「世界そのままギガ」 国・地域限定割プラン(24時間980円・7日間5,280円など) 対象。ドコモが公表した対象国・地域一覧で「国・地域限定割プラン」対象に区分されています
au「海外放題」 24時間1,200円(予約割1,000円) 対象。ヨーロッパの対象国・地域一覧にイギリス(本島・ガーンジー島・ジャージー島・マン島)が明記されています
ソフトバンク・LINEMO「海外あんしん定額」 定額国L(24時間980円) 対象。公式サイトが対象国の例としてイギリスを挙げています
楽天モバイル 海外ローミング(月2GBまで無料) 対象。107の対象国・地域リストにイギリスが含まれています
ahamo 海外データ通信(国内と共用の枠のうち海外は月30GB。2026年12月1日から月40GBに増量。15日超は速度制限、日数追加オプション〔1日980円〕は日数超過分のみ回避可) 対象。91の対象国・地域リストにイギリスが含まれています
povo2.0 ヨーロッパ9カ国エリアトッピング(1GB/3日間840円など) 対象。9カ国の1つに明記されています

6つすべてのキャリア・サービスで、イギリスは「ヨーロッパ」の対象地域に含まれていました。EUを離脱しているという事実と、日本のキャリアの海外ローミング対象地域は連動していません。

なお、「EU域内はローミング無料」という制度自体は、EU/EEAに居住する契約者がEU域内を移動する際に自国と同じ料金で使えるようにする仕組みで、日本から旅行する人には、渡航先がEU加盟国であってももともと関係がありません。今回比較したのは、あくまで日本のキャリア・サービスが独自に設定している「海外ローミング」「エリアトッピング」の対象範囲です。

ヒースロー空港・ガトウィック空港に到着してからの設定順

イギリスの玄関口となるヒースロー空港やガトウィック空港に到着したあとの流れは、次の順番で進めると迷いません。

  1. 出発前: 自宅などのWi-Fi環境で、eSIMのプラン購入と設定を済ませておく
  2. 着陸後・機内モード解除: 機内モードをオフにする(eSIMの回線設定が済んでいれば、この時点で通信が始まる場合もあります)
  3. 入国審査(Border Force)を通過: イギリスはシェンゲン協定の非加盟国のため、EU加盟国からの乗り継ぎであっても入国審査があります
  4. 手荷物受取後: モバイル通信の設定で、通信に使う回線(モバイルデータ通信)を旅行用eSIMに切り替え、日本の回線のデータローミングはオフのままにして、旅行用eSIM側だけデータローミングをオンにする。iPhoneは「設定」→「モバイル通信」→回線を選んで「モバイルデータ通信」に指定し、その回線の「通信のオプション」→「データローミング」をオン(Apple公式)。Androidは「設定」→「ネットワークとインターネット」→「SIM」で通信に使うSIMを選び、データローミングをオンにする(機種により表示が異なるため、詳細はGoogle Pixelヘルプなど端末の案内で確認してください)
  5. ターミナル出口以降: 地図アプリや配車アプリ、TfLの経路検索アプリが使えることを確認してから鉄道・バス・タクシー乗り場へ向かう

空港到着ロビーの無料Wi-Fiは、接続できるエリアが限られています。ヒースロー・エクスプレスやピカデリー線など、市内へ向かう移動手段を探す段階では、自分の回線に切り替えておいたほうが迷いにくくなります。

eSIMの準備手順

イギリス用のeSIMも、他の渡航先と同じように、サービスのサイトやアプリでプランを購入し、届いたQRコードを読み取って設定します。iPhone・Androidそれぞれの具体的な操作手順は、「QRコードを読み取ってください」で止まったら — iPhone・AndroidのeSIM設定手順 にまとめています。ここでは、イギリス旅行に向けて押さえておきたいポイントだけ確認します。

  • 渡航予定がイギリスだけなら国単位のプラン、フランスやスイスなど他国も回るなら周遊対応のプランを選ぶ
  • 渡航先を「イギリス」、日数を旅行日程に合わせて選ぶ
  • 出発前に自宅などのWi-Fi環境で設定を終えておく
  • 到着後は、入国審査を終えてから、通信に使う回線を旅行用eSIMに切り替え、日本の回線のデータローミングはオフのままにして、旅行用eSIM側だけデータローミングをオンにする(Apple公式、AndroidはGoogle PixelヘルプなどOS・端末の案内を確認)
  • キャリアの海外定額・無料枠で足りる場合は、旅行用eSIMの追加購入は不要(契約中のプランで海外利用が使えるかを先に確認)

設定を終えたはずなのに現地で電波を掴まない場合の確認手順は、着陸したのに画面が「圏外」のままだったら — 海外でスマホがつながらないときの確認手順で整理しています。

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海外eSIMサービスの例として、トリファ(trifa)の公式サイトでプランと料金を確認できます。

国内利用者数No.1【トリファ(trifa)】

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海外eSIMサービスの例として、Sailyの公式サイトでイギリスのプランと料金を確認できます。

海外旅行のためのお得なeSIM【Saily】

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eSIMとレンタルWiFiの両方を扱うサービスの例として、dinomoWiFiの公式サイトで料金を確認できます。

dinomoWiFi(eSIM・SIM・WiFiレンタル)

イギリスならではの注意点

通貨はポンド、コンタクトレス決済が前提の場面が多い

イギリスはユーロ圏ではなくポンド(£)を使います。ロンドンの地下鉄・バスはコンタクトレス対応のカードやスマホでの乗車が広く使われており、乗り換え案内アプリの利用とあわせて、通信環境があると移動がスムーズです。

空港のWi-Fiだけに頼らない

到着ロビーには無料Wi-Fiが用意されていることが多いですが、電波の届く範囲を出ると使えなくなります。入国審査の後、鉄道やバスの乗り場を探す段階から地図・経路検索アプリを使いたい場合は、空港のWi-Fiだけに頼らず、eSIMやローミングで自分の回線を確保しておくほうが、到着後すぐの時間帯で困りにくくなります。

留学・ワーホリで長期滞在するなら

留学やワーホリで数か月〜1年ほどイギリスに滞在する場合、この記事の日数制プランは短期の橋渡しまでが向いています。日本の番号を残すかどうかなど、出発前に決めておきたいことは留学・ワーホリのスマホ、日本の番号はどうする? — 出発前に決める3つのことで整理しています。

入国前の電子渡航認証も確認しておく

通信とは別に、英国のビザなどを持たない日本国籍の人がイギリスへ短期で行くときは、出発前に ETA(電子渡航認証)が必要です。手数料の改定履歴や乗継の扱いは、イギリス ETAは公式で20ポンド — 必要時期・有効期間・乗継をGOV.UKで確認で確認できます。

よくある不安

イギリスはEUを離脱しましたが、日本のキャリアの「ヨーロッパ向け」海外定額は使えなくなっていませんか?

使えます。今回、ドコモ・au・楽天モバイル・ahamo・povo2.0の公式サイトを確認したところ、いずれも「ヨーロッパ」向けの海外定額・エリアトッピングの対象地域にイギリスを含めていました(2026年9月時点・各社公式)。日本のキャリアの海外ローミングは地理的な「ヨーロッパ」として対象を区切っており、EUという政治的な加盟の有無とは連動していません。ソフトバンクの「海外あんしん定額」も、対象国の例としてイギリスを挙げています(同社公式)。

「EU域内はローミング無料」と聞きましたが、イギリス旅行には関係ありますか?

関係ありません。EU域内でのローミング無料化は、EU/EEAに居住する契約者向けの制度で、日本のキャリア回線にこの制度が直接適用されるわけではありません。この記事で比較しているのは、日本のキャリア・サービスが独自に設定している「海外ローミング」「エリアトッピング」の対象地域と料金で、対象になるかどうかはイギリスがEUに加盟しているかどうかではなく、各プランが公表する対象国・地域リストで決まります。

ヒースロー空港に着いたら、まず何をすればいいですか?

eSIMを使う場合は、出発前に自宅などのWi-Fi環境で購入・設定を終えておきます。到着後は、入国審査を終えてから、モバイル通信の設定で通信に使う回線(モバイルデータ通信)を旅行用eSIMに切り替え、日本の回線のデータローミングはオフのままにして、旅行用eSIM側だけデータローミングをオンにします(Apple公式)。空港到着ロビーの無料Wi-Fiは対応エリアが限られるため、鉄道やバスの乗り場を探す段階では自分の回線に切り替えておくと迷いにくくなります。

まとめ

イギリスはEUを離脱した非加盟国ですが、ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル・ahamo・povo2.0の「ヨーロッパ向け」海外定額・エリアトッピングは、確認できた範囲のすべてで対象地域にイギリスを含めていました。EU加盟の有無と、日本のキャリアが独自に区切る「ヨーロッパ」の対象地域は別物です。ヒースロー空港などに到着したら、入国審査を終えてから通信に使う回線を旅行用eSIMに切り替え、その回線でデータローミングをオンにします。フランスやスイスなど他国にも足を延ばす旅程なら、国境を越えるたびにSIMを買い替えない — ヨーロッパ周遊旅行の通信準備 もあわせて確認してください。

ほかの国の料金は、海外 eSIM・ローミング料金の国別一覧でまとめて比較できます。

イギリスのYouth Mobility Schemeの条件はワーホリでイギリスへ行くなら — Youth Mobility Scheme visaの抽選・費用・資金をGOV.UK公式で確認するで、公式情報から整理しています(2026年10月時点)。