「すべてのコンテンツと設定を消去」を押して、これで安心だと思っていたのに、まだ旧端末に残っているものがあります。マイナンバーカードのスマホ用電子証明書です。デジタル庁は、端末の初期化では電子証明書は削除されないと注意事項に書いています。
旧端末を売る・下取りに出すときは、何を消すかより、どの順番で消すかのほうで失敗が起きます。この記事は、Apple・Google・デジタル庁と、買取店2社の公式の案内だけを根拠に、初期化の前に済ませる順番を整理します。
この記事の要点
- 初期化の前に済ませるのは、(1)新しい端末で通信できることの確認、(2)バックアップ、(3)スマホ用電子証明書の失効、(4)サインアウトと「探す」のオフ、(5)eSIMの扱い、の順です。初期化は最後に置きます
- スマホ用電子証明書は、初期化では消えません。失効は利用者自身がマイナアプリで行い、販売店のスタッフは対応できないと、デジタル庁が説明しています(Android向けのページ)
- 「探す」とアクティベーションロックが残っていると、買取店では買取不可(ノジマ)、下取りでは特典なし(ソフトバンクの提供条件書)の扱いになります
- eSIMの扱いは、Appleの2つの公式ページで書き方が違います。どちらでも、新端末で通信できることを確かめてから消す、が共通の安全策です
- 分割払いの残りがある端末は、ネットワーク利用制限が△になり、買取店で減額されることがあります。iPhoneのバッテリー最大容量の「80%」も、買取店の条件に出てきます
- 手順1の判定が○で、買取に出すか迷う人は、買取サービスを比べたいときへ(下取りや手元に残すなら読み飛ばして構いません)
全体の順番
先に全体像を表にします。表の「出典」は、各手順の根拠にした公式ページです(2026年10月時点)。
| 順番 | やること | 出典 |
|---|---|---|
| 1 | ネットワーク利用制限とバッテリーの状態を確かめる(売る前に値段が決まる要素) | ネットオフ・ノジマ・各携帯会社 |
| 2 | 新端末へデータを移し、新端末で通信できることを確かめる | Apple 109511 |
| 3 | スマホ用電子証明書を使っていれば、旧端末で失効する | デジタル庁 |
| 4 | サインアウトし、「探す」(アクティベーションロック)をオフにする | Apple・Google |
| 5 | eSIMとSIMカードを扱う | Apple 109511・102914、Google |
| 6 | 初期化し、初期設定の画面まで戻ったことを確かめる | Apple 108794・Google |
手順1: 売る前に、値段を左右する2つを確かめる
初期化とは関係ありませんが、先に見ておくと「売る先を選び直す」ことができます。
ネットワーク利用制限の判定。 端末の製造番号(IMEI)15桁を、端末を買った携帯会社の確認ページに入力して調べます。楽天モバイルの公式記事では、○は利用可能(一括払い済みまたは分割を完済)、△は現時点では利用できるが分割払いの滞納などで今後制限がかかるおそれがある状態、×は制限中(いわゆる赤ロム)、-はIMEIを確認できない状態、と説明されています。
買取店の側の扱いは、次のとおりです。
| 判定 | ネットオフ | ノジマ |
|---|---|---|
| ○ | 買取可能 | 買取可能 |
| △ | 支払い完了が確認できないため減額 | 最低買取保証の条件から外れる(「△(分割払いの残債有等)ではないこと」が条件) |
| × | 買取不可 | 買取不可 |
各社の確認ページには、読み方に違いがあります。ドコモは、2016年5月17日のお知らせで、分割払いの期間中と、新しく購入してから一定期間は△が表示されると説明しています。auの案内ページには○△×の説明がなく、確認できる状況は「確認前日の登録状況」で、修理でIMEIが変わった場合は反映まで確認できないことがある、と書かれています。ソフトバンクのページは、△や×の場合に原因となりうる項目(不正取得、申込内容の虚偽、代金の未払いなど)を挙げています。完済しているのに△が出る場合は、ネットオフは契約している携帯会社への問い合わせを案内しています(保証サービス加入中などで△になることがあるとの説明です)。
iPhoneのバッテリー最大容量。 ネットオフの査定基準では、最大容量が80%以下の場合は減額率60〜80%のランクとなり、最低価格保証の対象外です。ただし、表では「80%以下」、FAQでは「80%を下回る場合」と書かれていて、ちょうど80%の扱いは読み取れません。ノジマは、最低買取保証の条件として「バッテリーの最大容量が80%以上であること」を挙げています。同じ「80%」でも、2社で書き方が違うので、数字が80%前後なら、売る先の条件を直接見てください。最大容量は、設定アプリのバッテリー関連の項目で表示されます(表示場所はiOSのバージョンで異なります)。
買取サービスを比べたいとき
下取りに出す人や、手元に残す人は、この枠は読み飛ばして構いません。上の表のとおり、ネットワーク利用制限が△だとネットオフは減額、ノジマは最低買取保証の条件から外れ、×ならどちらも買取不可です。次の一歩は、端末の製造番号(IMEI)で判定を確かめ、○で買取に出すか迷うなら、各社の公式サイトで査定の条件と対象機種を見ることです(買取額は機種や状態で変わります)。初期化などの順番は、このあとの手順2から手順6で進めます。
手順2: 新しい端末に移して、通信できることを確かめる
Appleの手順は、バックアップを取り、新しい端末へ情報を移すところから始まります。電話番号が変わる場合は、Apple Accountに信頼できる電話番号を追加して、アカウントから締め出されないようにするとも書かれています。
ここで、新端末で通話とモバイルデータ通信ができることまで確かめてください。eSIMを使っている人は、これが次の手順の前提になります。契約の移し方はeSIMの機種変更の手順にまとめています。ドコモの人はドコモのeSIM機種変更、Androidの人はeSIM機種変更 Androidの場合が入口別に整理しています。
手順3: スマホ用電子証明書を、初期化の前に失効する
マイナンバーカードの機能をスマホに入れている人だけの手順です。デジタル庁の注意事項ページ(Android向け・最終更新2026年8月25日)は、次のように説明しています。
- 機種変更、下取り・売却、廃棄、故障などで端末の利用をやめるときは、利用者自身が電子証明書を失効(削除)する。販売店のスタッフは対応できない
- 失効はマイナアプリのメニューから行う。登録時に設定したパスワード(英数字6〜16文字)が必要
- パスワードが分からないときは、マイナンバーカードを使って初期化・再設定してから失効する
- 端末を初期化しても、電子証明書は削除されない
すでに初期化してしまった場合も、同じページに対処があります。マイナアプリを再ダウンロードして、ネットワークに接続した状態でカード画面を開くと、古い電子証明書が削除されます。故障などで失効しないまま手放した場合は、一時利用停止が必要で、マイナンバー総合フリーダイヤルへ連絡します。
ソフトバンクの下取りプログラムの提供条件書にも、同じ趣旨の条文があります。スマホ用電子証明書を利用している場合は、送る前に自分で失効手続きをする必要があり、失効の前に初期化すると失効手続きができなくなる、という内容です。
なお、ネットオフの「買取前のチェックポイント」のページには、電子証明書の項目は載っていませんでした(2026年10月21日確認)。買取店のチェックリストにない項目なので、見落としやすいところです。このデジタル庁のページはAndroid向けで、iPhoneの手順は書かれていません。iPhoneで使っている人は、マイナポータルの案内を別に確認してください。
手順4: サインアウトと「探す」のオフ
iPhoneの場合
Appleの「売却、譲渡、下取りに出す前にやるべきこと」(公開日2026年6月12日)は、手元にある端末について、次の順で案内しています。
- バックアップを取る
- 新しい端末へ情報を移す
- 「iPhoneの部品と修理の履歴」を確認する。「修理を完了」と表示された部品があれば、下取りの前にその修理を済ませる必要がある(Appleへの下取り向けの注意)
- 古い端末で、もう一度バックアップを取る
- Apple Watchとペアリングしている場合は、ペアリングを解除する
- AppleCareに加入している場合は、解約するか、新しい持ち主に移行する
- iCloud、App Store、iTunesからサインアウトする(iOS 26以降は、端末を消去するか、消去せずにサインアウトするかを選べる)
- 他社製の携帯に乗り換える場合は、iMessageの登録を解除する
- 「設定」→「一般」→「転送またはリセット」から「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行する
- 信頼できるデバイスのリストから、古い端末を削除する
「探す」については、別のAppleのページに手順があります。「設定」で自分のユーザ名→「探す」→「[デバイス名]を探す」をオフにすると、アクティベーションロックは自動的に解除されます。設定からオフにできない場合は、iCloud.comの「探す」から、デバイスをアカウントから削除できる、とも書かれています。
売却を引き受ける側にとっての意味も、Appleのアクティベーションロックのページに書かれています。購入した端末に「iPhoneは所有者にロックされています」と出る場合は、前の持ち主のアカウントに紐づいたままです。ノジマのスマホ買取は、「iPhoneを探す」を含む遠隔ロックが解除されていない端末を買取不可としています。ソフトバンクの下取りも、アクティベーションロックなどのロックが解除されていない端末には特典を付与しません。
Androidの場合
ネットオフの「買取前のチェックポイント」では、Androidの確認項目は次のとおりです。
- 分割払いの完済が不明なら、ネットワーク利用制限を確認する
- おサイフケータイなどのICアプリを初期化・削除する
- Googleアカウントからログアウトする
- ログアウトしてから初期化する
- SIMカードとSDカードを抜く(どちらも買取不可)
Googleストアの下取りの準備ページでは、Androidは「デバイスの保護」を無効にし、そのあと出荷時の設定へリセットする、と案内されています。Pixelのヘルプには、リセットの前にGoogleアカウントのユーザー名とパスワード、画面ロックのPINなどを控えておくこと、が書かれています。バックアップと新端末への移行を確かめてから、旧端末からGoogleアカウントを削除します(アカウント自体の削除ではなく、端末からの削除です)。
手順5: eSIMとSIMカードの扱い
ここは、公式の案内が割れています。Appleの2つのページを並べます。
| Appleのページ | eSIMについての記載 |
|---|---|
| 売却、譲渡、下取りに出す前にやるべきこと(109511・2026年6月12日公開) | eSIM搭載のiPhoneを売るときは、消去の画面で、端末とeSIMプロファイルを消去する選択肢を選ぶ |
| 下取りに出す準備(102914・2026年9月17日公開) | eSIMを使っている場合は、通信事業者にサービスの一時停止を依頼する |
2つは用途が違う(前者は売却・譲渡・下取り全般、後者はAppleの下取りの準備)ため、矛盾とは言い切れません。ただ、利用者が迷うのは事実です。Googleストアの下取り準備ページは、ダウンロード型SIM(eSIM)を消去し、電源を切り、SIMトレイからSIMカードを取り外す(トレイは端末に残す)、という順です。ソフトバンクの提供条件書は、eSIMのプロファイルを設定しているときは、初期化する前に機種からプロファイルを削除する必要がある、としています。
共通する安全策は1つです。新しい端末で通信できることを確かめる前に、旧端末のeSIMを消さないでください。消してしまった場合の再発行は、契約先によって手数料や手順が変わります。ソフトバンクの再発行はソフトバンクのeSIM再発行で整理しています。物理SIMは、抜いて手元に残します。ネットオフは、SIMカードは買取不可として、抜くよう案内しています。
手順6: 初期化して、終わったことを確かめる
初期化の後に確かめるのは、次の2点です。
- iPhone: 初期設定の「こんにちは」画面が表示されれば、新しい持ち主が使える状態です(Appleのアクティベーションロックのページ)。初期設定の途中で前の持ち主のApple Accountを求められる場合は、まだ紐づいています
- Android(Pixel): リセット後にパスワードを求められた場合は、リセットが完了していません(Googleストアの下取り準備ページ)。やり直してください
なお、初期化しないまま送ると、ネットオフでは買取対象外になり、送り返しの送料が自己負担になることがあります(査定基準のページ)。ノジマも、データの消去・初期化ができない端末と、個人情報・パスワードが残っている端末を買取対象外としています。
売る先ごとに、先に読んでおきたいページ
売る前の準備は、売る先によって条件が少しずつ違います。下取りと買取の違い、受け取り方(割引・ポイント・振込)の比較は下取りと買取の比較に、携帯会社ごとの下取りの条件はドコモの下取り、auの下取り、ソフトバンクの下取りにあります。
「どれにも出さず、手元に残す」という選択も、もちろんあります。その場合も、Apple Watchのペアリングや、AppleCareの契約の整理は、新しい端末に合わせて済ませておくと後が楽です。
まとめ
売る前の作業は、初期化がゴールではありません。新端末で通信できることを確かめ、スマホ用電子証明書を失効し、サインアウトして「探す」をオフにし、そのあとでeSIMを扱って、最後に初期化する。この順番を守れば、後から取り返しがつかなくなる作業はほとんど避けられます。
とくに見落としやすいのは、初期化では消えない電子証明書と、公式の案内が割れているeSIMの扱いです。迷ったときは、売る先の公式の案内を優先してください。買取に出すか迷う人は、買取サービスを比べたいときの節に、条件の確認先をまとめています。
本記事はApple・Google・デジタル庁・各社の公式サイトの公開情報に基づく解説であり、最新の手順や条件は各公式サイトでご確認ください。




