語学留学の費用を調べると、「授業料は週いくら」という数字は見つかっても、ビザの申請料や保険、現地の生活費まで含めた全体像は意外とまとまっていません。しかも、ビザの申請料は年に何度も変わることがあります。この記事では、費用を6つの項目に分け、変わりやすいビザの現行額を各国政府の公式サイトで確認します。
この記事の要点
- 語学留学の費用は「授業料・滞在費・航空券・保険・ビザ申請料・現地の生活費」の6項目に分けると、見落としが減ります
- ビザ申請料は、行き先と滞在期間で必要なビザ自体が変わります。2026年7月にオーストラリアの学生ビザが2,500豪ドルに、2026年4月に英国の学生ビザが558ポンドに改定されました(各国政府の公式。2026年10月時点)
- 国別の「総額はいくら」は示しません。授業料・滞在費は学校ごとに違い、1校の料金表は相場ではないためです
費用を6項目に分ける
- 授業料(週あたりのレッスン数、コースの種類で変わります。入学金・教材費が別にかかる学校があります)
- 滞在費(ホームステイ、寮、シェアなど。手配料や預かり金が別にかかる例があります。詳しくは留学のホームステイ、探し方と18歳未満の条件)
- 航空券
- 保険(国によっては学生ビザの条件として、現地の留学生向け医療保険への加入が決まっています)
- ビザ申請料(行き先・期間によって、必要な場合と不要な場合があります)
- 現地の生活費(食費、交通費、通信費など。人によって大きく違います)
以下では、特に調べにくい5と、1・2の学校の公式料金表の例を見ていきます。航空券と6は、公的な基準がないため、金額は示しません。通信費の準備は留学・ワーホリのスマホ、日本の番号はどうする?にまとめています。
ビザ申請料:各国政府の公式で確認した現行額
費用が変わる最大の分かれ目は、滞在期間で、観光などの短期の枠で学べるか、学生ビザが必要になるかです。次の表は、日本国籍者向けに、各国の公式ページで確認できた範囲を並べたものです(2026年10月に確認。国の優劣や総額の比較ではありません)。
| 国 | 短期の枠で学べる範囲と費用 | 学生系のビザの申請料 |
|---|---|---|
| オーストラリア | ETA(subclass 601):合計3か月まで学習可。ビザ申請料はなく、アプリの手数料20豪ドル。日本は対象国に含まれる(内務省) | 学生ビザ(subclass 500):2,500豪ドルから。独立したELICOS(英語集中コース)・Non-Awardの申請者には別の低い料金があるが、金額は今回確認できなかった |
| カナダ | 就学許可が不要な場合の範囲は、未成年については6か月以下とIRCCが案内。成人も、6か月以下のコースは就学許可が原則不要(IRCCのFAQ)。ただし入国用の有効な渡航書類(eTAまたは訪問ビザ)は別に必要で、eTAの手数料は7カナダドル | 就学許可:150カナダドル(生体情報が必要な場合は別に85カナダドル) |
| 英国 | Standard Visitor:認定教育機関の英語コースを含め6か月までの学習が可。日本はGOV.UKのETA対象国一覧に含まれ、日本国籍者は原則ビザ不要でETA(20ポンド)が必要。訪問ビザが必要になる場合のStandard Visitor visa申請料は135ポンド(ETAとは別。要否はGOV.UKの確認ツールで) | Short-term study visa(英語コースが6か月超11か月以内):228ポンド。Student visa:558ポンド。ほかに医療付加料金が別にかかる(短期学習ビザの案内では通常776ポンド) |
| ニュージーランド | 訪問者の枠で3か月まで学習可。NZeTAは17ニュージーランドドルから(アプリの場合。ウェブは23)。別に国際観光税(IVL)100ニュージーランドドルがかかるとFees Guideに記載 | English Language Student Visa:850ニュージーランドドルから |
| フィリピン | 30日を超える滞在は延長が必要。最初の29日間の延長は合計3,030ペソ(入国管理局の手数料表。2014年3月時点の表で、予告なく変更される場合がある、と明記)。SSP(特別就学許可)は、掲載表では合計5,240ペソに加えて追加のI-card費用(50米ドル)。この表も2014年3月6日更新の参考額で、現行の総額は要確認。詳細はセブ島留学のビザと費用 | (SSPは上記) |
| マルタ | 90日未満のコースは、査証免除の国の学生は予約確認書と学校の書類で入国できる(Identità/ELT Councilのガイドライン)。査証免除はシェンゲン全域で任意の180日間に90日以内(外務省)で、前後の旅行を含む滞在日数にも注意。91〜104日の扱いは学校・Identitàに確認 | 105日以上のコースは長期の学生ビザ(ガイドラインの記載)。予約の費用は通常100ユーロ・早い枠150ユーロで、別にVFSの手数料がかかり、支払いは返金されない(Identità/ELT Councilの学生向けガイドライン、2025年3月5日更新)。詳細はマルタ留学のビザと語学学校の選び方 |
見方の注意
- 為替換算はしていません。 料金は各国の通貨のままです。円換算はレートで変わるため、申し込みの時点のレートで計算してください。
- 表の金額は「から」「通常」など、条件で変わるものを含みます。申請の直前に、公式ページで現行額を確認してください。
- カナダは6か月以下のコースなら成人も就学許可が原則不要(IRCCのFAQ)ですが、入国用のeTAなどは別に要ります。ニュージーランドなどを含め、どの期間から学生系のビザが必要かは、国と年齢で扱いが違います。上の表で「確認できなかった」と書いた箇所は、今回の調査で公式ページから読み取れなかった点です。推測では埋めていません。
- 米国など、この表にない国は扱っていません。
直近の改定と、決まっている変更
- オーストラリア。 学生ビザの申請料は、2026年7月1日に2,000豪ドルから2,500豪ドルに上がりました(Study Australia)。独立したELICOSとNon-Awardは、この引き上げの対象外と案内されています。また、内務省の学生ビザのページには、2026年10月2日から、現在の学生ビザ保持者が国内で別の学生ビザを申請できる範囲が狭まる、と書かれています。
- 英国。 2026年4月8日に、Standard Visitor visaが127ポンドから135ポンド、Short-term study visaが214ポンドから228ポンド、Student visaが524ポンドから558ポンド、ETAが16ポンドから20ポンドに改定されました(GOV.UKの手数料表)。2026年10月8日付の手数料表では、これらの金額に変更はありませんでした。
- カナダ。 就学許可(150カナダドル)とeTA(7カナダドル)について、2026年の引き上げ予告は、今回の調査では見つかりませんでした。
- ニュージーランド。 2026年5月版のFees Guideを確認しました。今回の調査では、学生ビザの料金の引き上げ予告は見つかりませんでした。
- フィリピン・マルタ。 両国の公式サイトで、直近のお知らせの一覧は今回確認できていません。手数料表の更新日(フィリピン:2014年3月、マルタ:2025年3月)が古いため、渡航前に最新を確認してください。
授業料と滞在費:学校の公式料金表の例
授業料と滞在費は、学校の公式料金表で確認できる範囲だけを、例として挙げます。1校の料金は、その国や都市の相場ではありません。
メルボルンの英語学校 Hawthorn English(2026年の料金表、豪ドル)。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| 入学金 | 295 |
| 授業料(英語プログラム) | 週540(特別割引の案内あり) |
| 教材費 | 週20 |
| 留学生向け医療保険(OSHC)、1人用 | 月77(概算。学生ビザでは必須と学校が記載) |
| 滞在の手配料 | 360(GST込み) |
| ホームステイ(18歳以上) | 週440(提供者に直接払い) |
| 空港出迎え(片道) | 210 |
マルタの Maltalingua School of English(2026年10月に確認、ユーロ)。 一般英語コース(週20レッスン)が週234から、週30レッスンのコースが週343から、滞在(2人部屋のシェア)が週196から、と掲載されています。シーズンや期間で変わる「から」の価格です。
どちらも、授業料・滞在費・保険・手配料が別々の項目になっていることが分かります。見積もりを比べるときは、週額だけでなく、入学金・教材費・手配料・保険・空港送迎が含まれているかを揃えてください。
資金証明の額は、生活費の相場ではありません
ビザの申請で、公式に求められる資金の額が載っている国もあります。ただし、これは「申請時に口座などで示す額」で、実際の生活費の目安ではありません。参考までに、オーストラリアの学生ビザは、生活費として1年分で29,710豪ドル(短い期間は日割り)、ニュージーランドの学生ビザは、1年未満の学習で月1,667ニュージーランドドル、マルタのガイドラインは、学校の宿泊など全コース期間の宿泊費が支払済みの場合は1日18ユーロ、そうでない場合は1日26ユーロの基準を示しています(各国の公式ページ。2026年10月時点)。
費用を見積もるときの手順
- 行き先ごとに、期間が短期の枠に収まるかを確認する(上の表)
- 学校の公式料金表から、授業料・入学金・教材費・手配料を項目ごとに拾う
- 滞在費は、食事の有無と手配料を確認する
- 保険は、学生ビザの条件になっていないかを確認する
- ビザ関連は、申請の直前に公式ページで現行額を確認し、確認日をメモする
- 為替は、申し込みの日のレートで換算する
国別の詳しい手続きは、セブ島留学のビザと費用、マルタ留学のビザと語学学校の選び方にまとめています。ワーキングホリデーのビザ申請料はワーホリの費用はいくら?で扱っています。
向く人・向かない人
この記事の見方が向く人は、複数の学校の見積もりを項目ごとに揃えて比べたい人、ビザの手数料の変更に備えて公式の現行額を確認したい人です。向かないのは、「結局、全部でいくら」と一つの数字だけを知りたい人です。授業料・滞在費・生活費は学校・都市・本人の使い方で変わるため、この記事は総額を示しません。学習の成果も、費用とは別の話で、ここでは扱いません。
よくある疑問
語学留学の費用は、何にいくらかかりますか?
授業料・滞在費・航空券・保険・ビザ申請料・現地の生活費の6項目に分けて見積もります。金額は国・学校・期間で大きく変わるため、この記事では国別の総額は示していません。ビザ申請料は各国政府の公式サイトに現行額が載っており、授業料と滞在費は学校の公式料金表で確認できます(2026年10月時点)。
短期の語学留学でも、ビザの申請料はかかりますか?
行き先と期間によります。オーストラリアのETA(電子渡航認証)は、アプリの手数料が20豪ドルで、合計3か月までの学習が認められています。マルタは、ガイドライン上は90日未満のコースが査証免除国の短期学生の扱いで、シェンゲン滞在の合算にも注意が要ります(91〜104日は学校に確認)。英国は、認定教育機関の6か月以内の英語コースをStandard Visitorの枠で学べ、日本国籍者は原則ビザ不要でETA(20ポンド)が必要です。訪問ビザが必要になる場合の申請料は135ポンドです。それぞれ要件があるため、公式ページで確認してください(2026年10月時点)。
ビザ申請料は最近、改定されましたか?
オーストラリアは2026年7月1日に学生ビザの申請料が2,000豪ドルから2,500豪ドルに上がりました(独立したELICOS等には別の扱いがあります)。英国は2026年4月8日に、学生ビザが524ポンドから558ポンドなどに改定されました。英国の2026年10月8日付の手数料表では、4月の金額から変更はありませんでした。各国の公式ページで確認できた範囲では、このほかに決まっている改定は見当たりませんでした(2026年10月時点)。
費用の相談先のひとつとして
ここまでの内容は、費用の項目を整理するためのもので、今の進め方のままでも問題ありません。エージェントに見積もりを相談する選択肢を知っておきたい場合の一例です。
まとめ
語学留学の費用は、6項目に分けて、項目ごとに公式の情報で埋めていくと見通しが立ちます。ビザ申請料は、期間が短期の枠に収まるかで必要なビザが変わり、オーストラリアと英国では2026年に金額が改定されています。授業料と滞在費は、学校の公式料金表を、入学金・教材費・手配料・保険まで揃えて比べてください。確認できなかった点(オーストラリアのELICOSの料金、フィリピン・マルタの直近のお知らせなど)は、申し込み前に各国の公式サイトで確認してください(2026年10月時点)。
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