「有給をまとめて取れば、2週間くらい英語漬けの時間が作れるかもしれない」。そう考えたとき、次に気になるのは、その日数で入国や学校の手続きがどうなるのかでしょう。留学と聞くと学生ビザを思い浮かべますが、短い期間なら、観光などの枠で学べる国が少なくありません。ただし期間の上限は国ごとにばらばらです。この記事は、休みの日数の考え方と、国別の上限を、公式ページだけで整理したものです。

この記事の要点

  • 年次有給休暇は、6か月継続勤務・8割以上出勤で10労働日から始まり、通常の労働者の法定年間付与日数は10〜20日です(厚生労働省)。実際に使える残日数は、取得済み日数・繰越分・勤務先の制度で確認が必要です。長い連続休暇は会社の事情で時季をずらされることもあります
  • 学生ビザなしで学べる期間は、オーストラリア3か月(ETA)、英国6か月(Standard Visitor)、ニュージーランド3か月(訪問者)、マルタ90日以内(査証免除)など、国ごとに違います(2026年10月時点)
  • ビザが要らなくても、入国用の電子渡航認証や、フィリピンのSSPのような別の手続きが要ることがあります。期間が上限に収まっても、オーストラリアのように主な渡航目的が学ぶことなら学生ビザを申請するよう案内される国もあります

まず決めたいのは「何日休めるか」

社会人の短期留学は、行き先より先に、休める日数で選択肢が絞られます。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」の年次有給休暇のページによると、年次有給休暇は労働基準法第39条で労働者の権利として定められています。雇入れの日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、10労働日の有給休暇を与えなければなりません。その後は継続勤務1年ごとに日数が加算され、法定の年間付与日数は最大20日です(これは1年に与えられる日数の上限で、留学に使える残日数の上限ではありません)。所定労働日数が少ない働き方では日数が変わります。実際に使える残日数は、取得済み日数や繰越分、勤務先の制度で変わるため、勤務先の給与明細や人事の案内で確認してください。

日数の使い方について、同じページには次の趣旨の説明があります。

  • 有給休暇は、原則として「労働者の請求する時季」に与えられます。分けて取るか、何日続けて取るかも、原則として労働者が決められ、使用者の承認は要りません
  • ただし、請求された時季に休ませると「事業の正常な運営を妨げる」場合は、使用者は時季変更権を使うことができます
  • 休暇が1か月など長期に及ぶときは、使用者にある程度の裁量的な判断の余地を認めた最高裁判決があると、同ページは紹介しています

つまり、法律上は自分で時季を決められるのが原則でも、2週間以上の連続した休みになるほど、職場との調整が現実の壁になりやすい、ということです。休職や、会社独自の特別休暇、長期休暇制度については、勤務先の規程によります。この記事では取り上げません。

10労働日は、週休2日の人なら平日2週間分にあたります。前後の土日を足せば、2週間と少しの渡航が見えてくる計算です(祝日や会社の休日は勤務先のカレンダーによります)。これより長い期間を考えるなら、休暇の取り方そのものを職場と相談する必要があります。

期間ごとの手続き:国別の一覧

次の表は、各国政府の公式ページで確認できた範囲だけをまとめたものです。日本国籍で、成人が語学コースに通う場合を想定しています。確認できなかったことは「公式では確認できず」と書きました。

行き先 学生ビザなしで学べる期間(公式の記載) 別に必要になるもの・注意
オーストラリア ETA(subclass 601)で、合計3か月まで学習・研修が可能。日本は対象国に含まれる(内務省) ETAアプリの手数料は20豪ドル。主な渡航目的が学ぶことなら学生ビザを申請するように、とも書かれている
カナダ 6か月未満のプログラムは就学許可が不要(IRCC) 入国用の有効な渡航書類(eTAまたは訪問ビザ)は別に必要。6か月を超えるなら就学許可が必要
英国 Standard Visitorで、認定教育機関の英語コースを含め最長6か月(コースが6か月以内であること)。6か月を超える英語コースは短期学習ビザ(最長11か月)(GOV.UK) 日本はETAの対象国一覧に含まれ、ETAは20ポンド。入国には原則ETAが必要
ニュージーランド 訪問者ビザの枠で、12か月のうち合計3か月まで学習可(移民局) 訪問者ビザでは働けない。NZeTAの案内では、3か月までの短期の語学学習も「訪問」に含まれる。日本が申請対象の国かは、今回の取得では確認できていない
マルタ 日本旅券は、90日以内の短期滞在ならシェンゲン領域で査証免除(外務省)。マルタ政府は、90日を超えるコースは査証免除の国籍でも長期滞在査証(D-Visa)が必要とする 学生向けガイドラインに「105日以上」の記載があり、91〜104日の扱いは公式ページだけでは読み切れない。詳しくはマルタ留学のビザと語学学校の選び方
フィリピン 日本はビザなし30日間の対象国に掲載(フィリピン政府のe-Visaポータル) 語学学校の受講にはSSP(特別就学許可)が別途必要になる。延長や手数料はセブ島留学のビザと費用

ここで見落としやすい点が2つあります。

1. 「ビザが要らない」と「何も要らない」は違います。 カナダは就学許可が不要でも、入国用の電子渡航認証などが要ります(IRCC)。英国のETAも、申請する人は多いのに、短期留学の案内では抜けがちです。

2. 期間の数え方が国で違います。 オーストラリアのETAは「合計」3か月、ニュージーランドは「12か月のうち」3か月、シェンゲン領域のマルタは「あらゆる180日の期間内で最大90日間」です。短期留学を何度も重ねるつもりの人は、この数え方で上限に当たらないか、公式の文言で確かめてください。

なお、カナダは公式ページの見出しと本文が「6か月未満」と書いています。ちょうど6か月のコースがどちらの扱いになるかは、IRCCに確認するのが確実です。

休める期間で、候補を絞る

上の表を、休める日数と重ねて考えると、次のようになります。

  • 1〜3週間(有給の範囲)。 表のどの国でも、期間の上限には収まります。ただし渡航目的・学校・コースの条件も確認が必要です。オーストラリアは、主な渡航目的が学ぶことなら学生ビザの案内に注意してください。そのうえで、現地までの移動時間や授業のスタイルといった条件で選びます。フィリピンを選ぶなら、SSPなどの手続きを誰がするのか(学校が代行するのか)を申し込み前に確かめてください
  • 1〜3か月。 オーストラリア・ニュージーランドの上限3か月、マルタの90日が境目に近づきます。仕事を休む手段(休職など)が前提になるため、勤務先の規程の確認が先です
  • 3か月を超える。 表の「ビザなし」の上限を超える国が増え、学生ビザなど別の手続きを調べる必要があります。この記事の範囲を超えるので、費用面は語学留学の費用は何でできている? 6項目に分解を見てください

公的な支援について

教育訓練給付など、公的な支援制度が留学に使えるかどうかは、今回の調査で公式に確認できなかったため、この記事では扱いません。使えると決めつけず、必要ならハローワークなど公式の窓口で、対象の講座・コースかどうかを確かめてください。

向く人・向かない人

短期留学が向きそうな人。 有給の範囲で、一度海外で英語を使う経験をしてみたい人。長期の休職や退職は考えていないが、環境を変える時間が欲しい人。

向かないかもしれない人。 「2週間で話せるようになる」ような成果を期待している人(期間と上達の関係は、学校や本人によって違い、この記事では何も約束できません)。休みが取りにくく、直前まで日程が決まらない人。仕事の都合で、日本からの連絡に常に対応しなければならない人(授業に集中できる時間を確保できるか、事前に職場と話しておく必要があります)。

エージェントを使うか、自分で学校に申し込むかは、留学エージェントはどう選ぶ?で料金の仕組みを整理しています。ホームステイを考えるなら留学のホームステイ、探し方と18歳未満の条件、現地でのスマホの準備は留学・ワーホリのスマホ、日本の番号はどうする?も参考になります。

よくある疑問

社会人が短期留学に行くには、有給は何日使えますか?

厚生労働省の解説では、雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に10労働日の年次有給休暇が与えられ、その後は勤続に応じて増え、通常の労働者の法定年間付与日数は10〜20日です。実際に使える残日数は、取得済み日数・繰越分・勤務先の制度や所定労働日数で変わります。休みを取る時季は原則として労働者が指定できますが、事業の正常な運営を妨げる場合は使用者が時季を変更できます。1か月など長い休暇では会社に裁量の余地が認められた判例もあると同ページにあります。有給以外の休暇や休職は、勤務先の規程によります(2026年10月時点)。

短期留学なら、どの国でもビザは要らないのですか?

一律には言えません。オーストラリアは電子渡航認証のETAで合計3か月まで、英国はStandard Visitorで6か月までの英語コースの学習が可能と各国政府が案内しています。カナダは就学許可が不要でも入国用のeTAなどは別に要ります。フィリピンは入国は30日間ビザなしですが、語学学校の受講にはSSP(特別就学許可)が別に必要になります。期間の上限に収まっていても、渡航目的やコースの条件は別で、オーストラリアは主な目的が学ぶことなら学生ビザの案内があります。行き先の政府の公式ページで、自分の日数と目的に当てはまるか確認してください(2026年10月時点)。

ビザなしで入国できる期間なら、現地でアルバイトもできますか?

できるとは言えません。ニュージーランドの訪問者ビザは、公式ページに「働くことはできないが、3か月まで学ぶことはできる」と書かれています。就労の可否は国とビザの種類ごとに別の規則なので、短期留学の枠では働く前提で計画を立てず、必要なら各国政府の公式ページで確認してください(2026年10月時点)。

短期の留学プランを相談できる窓口の例

日数と行き先の候補が見えてきたら、学校や費用の見積もりは、エージェントに相談する方法もあります。夢カナ留学の公式サイトには、フィリピンの短期語学留学(3〜12週間)やマルタの短期語学留学(4〜12週間)のプログラムの案内が載っています(2026年10月に確認。内容や料金は公式サイトで最新を確認してください)。あくまで相談先の一例で、利用が必須というわけではありません。

広告

留学・ワーホリのエージェントの例として、夢カナ留学の公式サイトでプランと相談の流れを確認できます。

格安の長期留学・ワーホリなら|夢カナ留学

まとめ

社会人の短期留学は、「何日休めるか」を先に決め、その日数が各国の「学生ビザなしで学べる期間」に収まるかを確かめる順番が、遠回りに見えて確実です。有給の法定年間付与日数は10〜20日で、実際に使える残日数は取得済み日数や繰越分、勤務先の制度で変わります。また、連続した長い休みは職場との調整が要ります。国の側は、オーストラリア3か月、英国6か月、ニュージーランド3か月、マルタ90日以内と、上限も数え方も違います。ビザが不要でも、電子渡航認証やSSPが別に要ることがあります。期間の上限に収まっていても、渡航目的やコースの条件(オーストラリアでは主な目的が学ぶことなら学生ビザの案内)の確認が要ります。制度は変わるため、申し込み前に、行き先の政府の公式ページをもう一度確認してください。英会話の練習を日本で始めておきたい人は、英会話の独学で、無料の教材はどこまで使える?も参考になります(2026年10月時点)。