行き先を調べるうちに、「フィリピンは安いけれどマンツーマン中心」「英国は費用が重い」と、頭の中で線が引かれていく。その間にあるように見える場所が、地中海のマルタです。英語が公用語のひとつで、ヨーロッパの国。ただ、日本から行く人にとって、ビザはどうなるのか、学校は信用していいのか、はっきり答えてくれる記事は意外と見つかりません。
この記事の要点
- 日本国籍者は、90日以内の滞在ならシェンゲン協定の査証免除の範囲で入国できます(外務省 海外安全ホームページ)。90日を超えるコースは、マルタ政府Identitàの案内で長期滞在査証(D-Visa)が必要とされています(2026年10月時点)
- 語学学校は、ELT Council(マルタ英語教育委員会)の認可校リストで公的に確かめられます。学校の案内文ではなく、リスト側を見るのが確実です
- 費用は「授業料・滞在費・航空券・保険」に、長期ならビザの申請費用が加わる構造です。この記事の金額は、公式ページに載っていたものだけを日付つきで引いています
マルタ留学にかかる費用の構造
費用は、大きく次の4つに分けると見落としが減ります。
- 授業料(コースの種類・週あたりのレッスン数で変わります)
- 滞在費(学校の提携宿泊か、自分で探す部屋か)
- 航空券・海外旅行保険
- ビザ関連の費用(長期コースの場合のみ。後述)
学校によっては、授業料・滞在費・空港送迎などを「パッケージ」としてまとめて提示します。パッケージの中身に何が含まれ、何が別料金なのか(登録料、教材費、アクティビティなど)は、見積もりの段階で書面で確かめておきたい点です。
具体的な金額の例として、認可校リストに載っている学校のひとつ、Maltalingua School of Englishの公式ページには、標準の一般英語コース(週20レッスン)が週234ユーロから、滞在費(2人部屋のシェア)が週196ユーロから、と掲載されていました(2026年10月に確認。シーズンや期間で変わる「から」の価格です)。これは1校の掲載例であり、マルタ全体の相場ではありません。円換算は為替で変わるため、この記事では行いません。
留学エージェントを通す場合の料金モデルは留学エージェントはどう選ぶ? — 料金モデルと、確認すべき4つのポイントで整理しています。
ビザ:90日以内と、それを超える場合
日本国籍の場合の考え方は、コースの日数で分かれます。
90日以内のコース。 外務省の海外安全ホームページによると、日本旅券の所有者はシェンゲン協定の領域国に90日以内の短期間、旅行などで滞在する場合、査証が免除されます。滞在期間は「あらゆる180日の期間内で最大90日間を超えない」範囲です。マルタ政府Identitàの学生ビザのページも、査証免除の国籍の学生には短期の学生ビザの手続きは適用されないと案内しています。学生向けガイドライン(2025年3月更新)では、査証免除の国の学生が90日未満のコースに参加するときは、予約確認書と学校のレターで入国できると書かれています。
90日を超えるコース。 Identitàのページでは、90日を超えるコースの場合、査証免除の国籍でも国民長期滞在査証(National Long Stay Visa、D-Visa)を事前に申請する、とされています。申請は、Identitàが指定する外部の受付機関(VFS Global)の窓口で行い、オンラインで予約を取ります。ガイドラインには次の記載があります。
- 105日以上のコースの学生は、渡航前に長期の学生ビザを申請する
- 審査には通常4〜8週間かかる
- 予約の費用は、通常枠が100ユーロ、早い日程が選べる枠が150ユーロで、別にVFSの手数料がかかる。支払った料金は返金されない
- 申請時の資金証明は、学校の滞在など全期間分を支払い済みの場合は1日18ユーロ、月払いの賃貸などの場合は1日26ユーロの基準で示されている
- 日本からはパスポートを郵送する宅配サービスも案内されている(別料金)
ここで気をつけたいのは、公式ページの中で数字が揃っていない点です。ページ本文は「90日を超えるコース」、ガイドラインは「105日以上」と書いています。91〜104日のコースを考えている人は、どちらの扱いになるかを、申し込み前に学校とIdentitàに確認してください。この記事では断定しません。
パスポートについては、外務省の同じページに「残存有効期間がシェンゲン領域からの出発予定日から3ヶ月以上」と書かれています(ただしこのページの更新日は2024年1月です)。他の国の条件はパスポートの残り期間、渡航先ごとに何ヶ月必要?で整理しています。
なお、EUの事前渡航認証ETIAS(エティアス)の開始時期と日本国籍者への適用については、2026年10月時点でEU公式ページの本文を取得できず、確認できていません。90日以内で行く人も、出発前にEU公式サイトで最新の案内を確認してください。
語学学校の「公的な認可」を確かめる方法
マルタの語学学校(ELT=English Language Teaching の学校)は、ELT Councilという公的な機関が監督しています。ELT Councilの公式サイトには、認可を受けた学校の一覧(List of Licensed ELT Schools in Malta)があり、「公式で最新のリスト」と説明されています。
確認の手順は単純です。
- 検討している学校の名前と、運営会社の名前をメモする
- ELT Councilの公式リストに、その学校があるか探す
- 見つからなければ、学校かエージェントに、認可の番号や別名での登録がないかを聞く
ただし、認可されていることは、授業の質や相性を保証するものではありません。「認可あり」は最低限の確認で、その先は、クラスの人数、国籍の比率、先生の教え方、キャンセル規定などを、自分の目的に照らして比べる必要があります。
通貨・電源・治安
通貨はユーロ。 マルタは2008年1月1日にユーロを導入しています(欧州委員会)。
電源。 マルタ政府観光局(MTA)の旅行者向けガイド(2018年版)には、電源は230ボルト・50ヘルツで、英国式(BS)の3ピンプラグが使われると書かれています(アダプターは簡単に手に入るとの記載)。発行から年数がたっているため、滞在先の差込口の形と、持っていく機器が230Vに対応しているか(充電器の表示など)は、渡航前に確認してください。海外のコンセント全般の考え方は海外のコンセント、変換プラグは必要?にあります。
治安。 外務省 海外安全ホームページでは、2026年10月時点で、マルタに危険情報は出ていません。安全対策基礎データ(更新日2024年1月4日)には、一般に治安は良好で凶悪な犯罪は稀とされる一方、スリ・窃盗・車上荒らしの被害はあること、パーチェビル(Paceville)地区は娯楽施設が集中していて夜間は注意が必要なこと、違法薬物は少量でも刑に処せられることが書かれています。外務省の広域情報には、中東情勢を受けた注意喚起(2026年7月21日付)も出ていました。出発前にもう一度、最新の内容を確認してください。
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フィリピン・英国との違い — 向く人・向かない人
比較は、制度の公式情報で確認できた範囲に限ります。授業の質や「どれだけ伸びるか」は、学校・本人によって違うため、ここでは比べません。
| マルタ | フィリピン(セブ島) | 英国 | |
|---|---|---|---|
| 短期の滞在 | 90日以内は査証免除(シェンゲン) | 30日間はビザなし。それ以上は延長が必要 | ETA(電子渡航認証)が必要。料金は20ポンド(GOV.UK) |
| 長期のコース | 90日超(または105日以上)は事前にD-Visa | 現地で滞在延長。SSPも必要になりうる | 6か月超はビザの種類が変わる |
英国については、GOV.UKによると、Standard Visitorでも英語コースを含む学習ができ、期間は原則6か月まで。英語コースで6か月を超える場合は別に、最長11か月の短期学習ビザがあるとされています(2026年10月時点)。フィリピンの条件はセブ島留学のビザと費用にまとめています。
マルタが向きそうな人。 3か月以内など、短めの期間で、ビザの事前申請をできるだけ避けたい人。ヨーロッパの国で、さまざまな国籍の人と英語で話す環境に興味がある人。
向かないかもしれない人。 3か月を少し超える期間を考えていて、日程を柔軟に動かしたい人(ビザの事前申請に4〜8週間かかります)。授業料の安さをいちばんの基準にしたい人(費用の比較は、授業・滞在・ビザの全部を並べて見てください)。冬の気候や、現地の移動手段が合うかは、人によって感じ方が違います。
よくある疑問
マルタに語学留学するのにビザは必要ですか?
日本国籍の場合、コースが90日以内ならシェンゲン協定の査証免除の範囲で入国できます(外務省 海外安全ホームページ。「あらゆる180日の期間内で最大90日間」が上限)。一方、マルタ政府Identitàの案内では、90日を超えるコースは、査証免除の国籍でも事前に長期滞在査証(D-Visa)が必要です。Identità公式の学生向けガイドラインには「105日以上」と書かれた箇所もあり、91〜104日のコースの扱いは公式ページだけでは読み切れないため、申し込み前に学校とIdentitàに確認してください(2026年10月時点)。
マルタの語学学校が正規のものか、どうやって確かめますか?
ELT Council(マルタ英語教育委員会)が、認可を受けたELT学校の公式リストを公開しています。学校名がこのリストにあるかを確認するのが、公的な裏取りの出発点です。リストは更新されるため、契約の前にその時点のものを見てください(2026年10月時点)。
マルタ留学の治安は大丈夫ですか?
外務省 海外安全ホームページでは、マルタに危険情報は出ていません(2026年10月時点)。安全対策基礎データ(2024年1月更新)には、一般に治安は良好で凶悪犯罪は稀とされる一方、スリ・窃盗・車上荒らしの被害はあり、パーチェビル地区は夜間に注意が必要と書かれています。「安全」と言い切れるものではないため、渡航前に最新の情報を確認してください。
まとめ
マルタ留学を考えるとき、最初に決めたいのは、いつから何日行くかです。90日以内か、それを超えるかで、ビザの事前申請が要るかどうかが変わり、申請には4〜8週間かかるとされているからです。次に、候補の学校がELT Councilの認可校リストにあるかを確かめ、見積もりでは授業料・滞在費・ビザ関連の費用が何に含まれるかを書面で見比べてください。コンセントの形状や、ETIAS(EUの事前渡航認証)の開始時期のように、今回の調査で公式に確認できなかった点もあります。制度は変わるため、申し込み前に、Identità、ELT Council、外務省の公式ページをもう一度確認してください。
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