「夏休みの2週間だけでも、子どもを海外の学校に通わせてみたい」「親も一緒に学べる親子留学なら、安心かもしれない」——そう思って調べ始めると、すぐに壁に当たります。ビザは要るのか。学校を休ませていいのか。住民票は、どうなるのか。大人の留学なら説明が見つかるのに、子どもが現地の学校に通う場合の公式情報は、あちこちに散らばっています。

この記事の要点

  • 子どもが現地の学校・サマースクールに通うときのビザの扱いは、行き先と期間で変わります。この記事では、公式で確認できたフィリピン・カナダ・英国だけを書きます(2026年10月時点)
  • 日本側は、国外への転出が1年以上かどうかで、住民票と学籍の扱いが変わります(文部科学省)。1年未満なら学籍はそのままで、長期欠席の扱いです
  • 「英語力が伸びる」といった効果は断定しません。確かめられるのは、制度と、学校が公式に出している条件です

親子留学の期間は「3つ」に分けて考える

同じ「親子留学」でも、1〜2週間のサマースクールと、1年の学期留学では、必要な手続きがまるで違います。この記事では次の3つに分けます。

期間 主な論点 日本側の扱い(文部科学省の案内)
1〜2週間の短期 行き先によっては、短期の学習でも別の許可(例: フィリピンのSSP)が要る 住民票はそのまま。学校の休みの扱いは在籍校に相談
学期単位(数か月〜1年未満) 就学許可の要否が国によって分かれる。滞在期間の延長の手続きが必要になる国もある。子どもと同行する親の滞在資格は別に確認する 1年未満の転出は、国内に住所がある扱い。学籍は変わらず、長期欠席の扱い
1年以上 長期滞在のビザや、現地校の入学条件が中心になる 転出届で住民票が消除され、学籍も消除、学校から除籍される

「短期」の行は、制度の整理であり、個別の状況での判断ではありません。実際の可否は、行き先の政府と学校の公式な案内で確認してください。

行き先別:子どもが現地の学校に通うときのビザ

ここでは、政府公式で確認できた3か国だけを書きます。他の国は、確認できていないため書きません。

フィリピン

フィリピン入国管理局(BI)のFAQには、SSP(Special Study Permit、特別就学許可)は「18歳未満、または学位を取らないコースを受ける外国人に発行される」と書かれています。SSPの手数料は、BI公式で合計5,240ペソに、ACR I-Cardの米ドル50ドルが加わります(2026年10月時点)。日本国籍者のビザなし入国は30日間で、それを超える滞在には延長が必要です。くわしくはセブ島留学のビザと費用にまとめています。

カナダ

カナダ政府(IRCC)のページ(2025年12月18日付)では、6か月以下のコースなら、未成年は就学許可を取らずに学べるとされています。ただし、就学許可がない未成年は、カナダ滞在中、有効な訪問者資格(visitor status)を持っている必要があります。eTAは、ビザが不要な国の人が航空機でカナダに入るための渡航認証で、滞在中の資格そのものとは別のものです(IRCC、2026年10月時点)。17歳未満の子どもが親や法定後見人と一緒に来ない場合は、カナダにいる後見人(custodian)を決めておく必要があります。6か月を超える場合は、就学許可をカナダに入る前に申請する、とされています。

英国

GOV.UKによると、Standard Visitorは、アクレディテーション(認定)を受けた英国の機関で、英語コースを含む学習ができます。期間は原則6か月までで、認定機関は、アカデミーや公立校(state-funded school)にはなれないとされています。6か月を超える場合は、Student visaまたは「Child Student visa」の検討が案内されています。子どもがChild Student visaで長期に通う場合、同行する親は別の資格が必要で、GOV.UKのParent of a Child Student visaには、子どもが申請時に4〜11歳で私立校(independent school)に通うこと、同行できる親は1人だけであることなどの条件があります。この資格の間、親は有給の仕事も就学もできません(GOV.UK、2026年10月時点)。子どもの就学資格があれば親も同じ期間いられる、というわけではありません。日本国籍者は、渡航前にETA(電子渡航認証)が必要で、料金は20ポンド、有効期間は2年またはパスポートの期限のどちらか早いほうです(GOV.UK、2026年10月時点)。18歳未満の場合は、保護者の同意書や宿泊先の情報が求められます。

3か国を見比べて分かること

  • 「短期なら就学許可は不要」という国もあれば、「子どもだけは別の許可(SSP)が要る」国もあります。同じ観光の滞在資格でも、学ぶことの扱いは国で違います
  • どの国も、「公立校に通えるか」は別の問題です。英国の公式ページは、公立校は認定機関になれないとしています。入学の可否は、学校側の条件で決まります
  • マルタなど、今回確認できなかった国は、一次資料を見てから判断してください。マルタ留学のビザと語学学校の選び方では、大人の語学留学の観点でまとめています

日本側の手続き

住民票と学籍

文部科学省の案内によると、学齢の子どもが国外に転出する場合、期間が1年以上と分かっているときは、転出届で住民票が消除され、学齢簿も消除されて学校から除籍されます。1年未満の場合は、国内に住所があるものとして処理され、学籍は変わらず、長期欠席として扱われます。転出届を出さずに出国して1年を超えた場合は、居所が1年以上不明という扱いになる、とも書かれています。文部科学省は、保護者に海外に出る期間を事前に確認し、1年以上なら転出届を促すことが適切としています。

就学義務は日本国内に住む人に課されるもので、保護者と一緒に国外へ転出した場合は課されません。短期の親子留学が「転出」にあたるのか、「長期欠席」なのかは、期間や住所の扱いで変わります。迷ったら、在籍校と市区町村の窓口に出発前に相談するのが確実です。

在留届

外務省によると、旅券法第16条の規定で、海外に住所または一時滞在先を定めて3か月以上滞在する日本人は、在留届の提出が義務です。国によって変わる決まりではありません。外務省のオンライン在留届(ORRネット)から提出でき、日本から転出する人は現地到着の90日前から提出できます(外務省・在留届、2026年10月時点)。親子で3か月以上滞在する場合は、対象になります。

パスポート

子どものパスポートの残存期間は、行き先によって条件が違います。パスポートの残り期間、渡航先ごとに何ヶ月必要?で整理しています。子どもの分も、出発前に原本の期限を確認してください。

保険

海外旅行保険の対象や補償は、契約ごとに違います。子どもが現地の学校に通う場合や、長期の滞在の場合に補償の対象になるかは、この記事では一般化できません。保険会社の約款で確認してください。

費用は「構造」で見る

具体的な金額は、行き先と学校で大きく変わります。ここでは、見積もりで確かめたい項目だけを挙げます。

  • 学校の費用(授業料、登録料、教材費、給食やアクティビティの費用)
  • 親の分の費用(親も通うコースか、子どものみか)
  • 滞在費(学校の提携宿泊か、自分で探す部屋か)
  • 航空券(人数分)・海外旅行保険
  • 現地の手続き費用(先に挙げたSSPのような公的な費用がある国もあります)

留学エージェントに頼むと、見積もりの比較は楽になる反面、サービス料の発生は会社によって違います。仕組みは留学エージェントはどう選ぶ?に書きました。

向いている人・向かない人

向いている人。 期間と行き先を先に決め、日本側(在籍校・市区町村)への相談と、現地の公式な条件の確認を、出発の数か月前から始められる人。

向かないかもしれない人。 「とりあえず行ってから決める」ペースで動きたい人。就学や滞在の扱いが国ごとに違うため、出発直前の変更に弱い計画になりがちです。

通信の準備

現地での連絡手段も、出発前に決めておくと慌てません。留学・ワーホリのスマホ、日本の番号はどうする?に、日本の番号を維持する考え方をまとめています。子どものスマホの持たせ方を家庭で決めていない場合は、子どものスマホデビュー、フィルタリングと料金の考え方も参考になります。

よくある疑問

親子留学で、子どもが現地の学校に通うのにビザは必要ですか?

行き先と期間で変わります。カナダ政府(IRCC)は、6か月以下のコースなら未成年は就学許可(study permit)なしで学べるが、滞在中は有効な訪問者資格(visitor status)が必要、としています。航空機で入国するためのeTAとは別の話です。英国は、Standard Visitorとして6か月までアクレディテーション(認定)を受けた機関で学べますが、公立校(state-funded school)は対象外とされています。フィリピンは、18歳未満の外国人にSSP(特別就学許可)が発行されるとBI公式に書かれています。行き先ごとに公式サイトで確認してください(2026年10月時点)。

子どもを数週間〜数か月海外の学校に通わせるとき、日本の住民票はどうなりますか?

文部科学省の案内では、国外への転出が1年以上と分かっている場合は転出届で住民票が消除され、学齢簿も消除されて学校から除籍されます。1年未満の場合は国内に住所があるものとして処理され、学籍は変わらず、長期欠席として扱われます。実際の手続きは市区町村と在籍校で異なる場合があるため、出発前に在籍校と市区町村の窓口に確認してください(2026年10月時点)。

親子留学で子どもの英語力は伸びますか?

この記事では断定しません。効果は、年齢、期間、学校の内容、家庭での過ごし方などで変わり、公的な一次資料で一般化できる数字は確認できませんでした。学校の公式な授業内容や、在籍する子どもの人数・年齢構成など、確かめられる事実を比べて決めてください。

親子留学の手配を相談したい場合

親子留学の準備を自分で進められる方は、この節を読み飛ばして問題ありません。手配や学校選びを専門の窓口に相談したい場合の例として、エージェントを挙げておきます。

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まとめ

親子留学の手続きは、「期間」と「行き先」の2つで決まります。まず、1年以上か未満かで、日本側の住民票と学籍の扱いが変わります。次に、行き先の政府公式で、子どもが学ぶための許可が要るかを確認します。フィリピンはSSP、カナダは6か月以下なら就学許可なし、英国はStandard Visitorで認定機関なら6か月まで、というように、国によって違います。公式の情報は更新されることがあるため、出発前にもう一度、行き先の政府と、在籍校・市区町村の窓口に確認してください。

滞在先としてホームステイを考えるときの探し方や18歳未満の条件は、留学のホームステイ、探し方と18歳未満の条件にまとめています。