「ESTAは取ったけれど、次に行くあの国にも似た手続きがあるらしい」。旅行の計画を進めるうちに、そんな場面に出くわした人もいるのではないでしょうか。名前は似ているのに、申請先も手数料も有効期間も国ごとにばらばらで、どれが自分の旅程に関わるのか分かりにくいのが電子渡航認証です。
この記事では、日本国籍の旅行者が出発前に確認することになる6か国の制度を、各国政府の公式情報だけで1か所に並べました。細かい手順は、国ごとの記事に分けています。
この記事の要点
- 比較したのは、米国ESTA・豪州ETA・カナダeTA・英国ETA・NZeTA・韓国K-ETAの6制度です。出典は各国政府の公式情報のみで、確認日は国ごとに表に書いています
- 手数料は通貨がばらばらです(40.27ドル〔10月16日から40.62ドル〕・20豪ドル・7カナダドル・20ポンド・17〜23NZドル+IVL 100NZドル・1万ウォン)。本稿では円換算していません
- 韓国K-ETAは、日本国籍の場合2026年12月31日まで登録が免除されていますが、入国申告は別に必要です。2027年1月以降の扱いは公式に確認できていません
電子渡航認証とは? — 渡航前にオンラインで済ませる事前確認
電子渡航認証とは、ビザ(査証)なしで入国できる国の国民が、出発前にオンラインで適格性の確認を受ける仕組みです。多くの国で、認証を得ていないと航空会社の搭乗手続きで止められます。一方で、認証を得ても入国が保証されるわけではなく、最終的には現地の入国審査官が判断します(米国CBP・カナダIRCC・英国GOV.UKの公式の記述)。
制度によって法的な位置づけも異なります。たとえば豪州のETAは、内務省上はビザ(subclass 601)の一種です。制度ごとに運営する政府機関が違うため、手数料・有効期間・申請の窓口はそれぞれ独立しています。「ETAを取ったからほかの国も大丈夫」ということはありません。
6か国の比較表 — 申請先・手数料・有効期間
まず、申請先・手数料・有効期間を並べます。金額は公式が示す通貨のままで、円換算はしていません。確認日は、各国の公式ページを本稿の作成時に確認した日です。
| 制度(国) | 公式の申請先 | 手数料(公式の通貨) | 有効期間 | 確認日 |
|---|---|---|---|---|
| ESTA(米国) | esta.cbp.dhs.gov(CBP) | 2026年10月15日まで合計40.27ドル/10月16日から合計40.62ドル(承認時。却下時は処理手数料のみ) | 承認日から2年間、またはパスポート有効期限までの早いほう | 2026年10月12日(手数料は米国官報、有効期間はCBP公式FAQ〔ESTA記事で確認〕) |
| ETA(豪州) | 公式の「Australian ETA」アプリ | アプリの手数料20豪ドル(内務省は「ETAにこれ以外の手数料はない」と記載) | 12か月、またはパスポート有効期間のいずれか短いほう(複数回入国可) | 2026年10月12日 |
| eTA(カナダ) | カナダ政府(IRCC)の公式サイト(英語・フランス語のみ) | 7カナダドル | 最長5年、またはパスポート有効期限まで | 2026年10月12日 |
| ETA(英国) | GOV.UKの公式ページ、または公式の「UK ETA」アプリ | 20ポンド(2026年4月8日に16ポンドから改定。10月8日付の手数料表でも20ポンド) | 2年間、またはパスポート有効期限まで(期間中は何度でも渡航可) | 2026年10月12日 |
| NZeTA(ニュージーランド) | 公式の「NZeTA」アプリ、または移民局の公式サイト | アプリ17NZドル/ウェブ23NZドル。これに別建てでIVL(国際観光税)100NZドル(日本のパスポートでの観光は免除の対象外。訪問時の合計はアプリ117/ウェブ123NZドル。乗継のみはIVLなしで17/23NZドル) | 2年間 | 2026年10月12日 |
| K-ETA(韓国) | k-eta.go.kr、または公式の「K-ETA」アプリ | 1万ウォン(別にオンライン決済手数料がかかる)。日本国籍は2026年12月31日まで登録免除 | 3年間、またはパスポート有効期限まで | 2026年10月12日 |
表の補足です。
- ESTA:官報では承認時のみの手数料が17ドル+13ドルの2項目で示されています。詳しい内訳はESTA申請の公式サイトはどこ?にまとめています。
- 豪州:内務省のページでは、手数料は「アプリの利用に対するサービス料20豪ドル」と書かれています。申請の入口として案内されているのは公式アプリです。詳細は豪州ETAの記事にあります。
- カナダ:手数料は返金不可です(IRCC公式)。乗継は、米国との往復で給油のため寄るだけの場合などを除き、eTAかビザが必要です。詳細はカナダeTAの記事にあります。
- 英国:GOV.UKの申請ページでは20ポンドと案内され、Home Officeの手数料表では2026年4月8日に16ポンドから20ポンドへ改定されています(2026年10月8日付の表でも20ポンド)。日本は、英国の入国規則の対象国リストで2025年1月8日以降の渡航が対象のグループに入っています。詳細は英国ETAの記事にあります。
- ニュージーランド:IVLはNZeTAの手数料とは別に、同時に支払う税です。移民局は「ほとんどの訪問者が、ビザまたはNZeTAの申請時に返金不可のIVL(1人100NZドル、2024年10月1日から)を払う」と説明しています。IVLの免除一覧は豪州・NZのパスポート、多くの太平洋諸島のパスポート、オークランド国際空港で到着・出発する乗継客などで、日本のパスポートは含まれません。このため、日本のパスポートでの観光は、アプリで17+100=117NZドル、ウェブで23+100=123NZドルです。乗継のみの場合はIVLがなく、17/23NZドルです。詳細はNZeTAの記事にあります。
- 韓国:K-ETAの公式サイトは、免除対象国の国民でも申請は可能で、その場合は手数料がかかると案内しています。免除の扱いは次の節で詳しく書きます。
乗継・滞在上限・申請の目安
次に、乗継で必要かどうか、1回の滞在の上限、申請のタイミングの目安を並べます。公式で確認できなかった項目は、そのまま「公式で確認できず」と書いています。
| 制度(国) | 乗継のみの場合 | 1回の滞在の上限(公式の記述) | 申請の目安(公式の記述) |
|---|---|---|---|
| ESTA(米国) | ビザ免除プログラムで米国を乗り継ぐ場合も、搭乗前にESTAの承認が必要(連邦規則 8 CFR 217.2(d)・217.5(b)(1)) | 90日以内の観光・商用(ESTA記事の確認) | 航空券予約時、少なくとも渡米の72時間以上前(在日米国大使館) |
| ETA(豪州) | 条件を満たせばビザなしで通過できる制度(TWOV)があり、日本は対象国。到着から8時間以内に出発する第三国行きの航空券などが条件で、入国審査を通る経路ではビザが必要(内務省) | 1回の入国につき3か月まで | ほとんどの場合、結果はすぐ分かる。ETAが付与されるまで渡航手配を進めないよう案内 |
| eTA(カナダ) | 空港での乗継にも必要(米国との往復で給油のため寄るだけの場合などは例外) | 通常、最長6か月まで | ほとんどの申請は数分で承認。航空券の予約前の申請を案内 |
| ETA(英国) | 入国審査を通らず制限エリア内で乗り継ぐ場合は不要。入国審査を通る乗継は必要(GOV.UK) | 最長6か月 | 通常1日以内、最長3営業日 |
| NZeTA(ニュージーランド) | 乗継用NZeTAがある。オークランド空港では乗継エリア内で最長24時間 | 1回につき3か月まで(12か月のうち合計6か月まで) | 確認に最長3日 |
| K-ETA(韓国) | 乗継客は申請免除の対象として公式の対象国一覧に載っている(条件の詳細は公式で確認できず) | 90日(K-ETA公式の対象国一覧で日本は90日。日本国籍の2026年末までの登録免除とは別の話) | 通常72時間以内。搭乗前までに申請 |
米国は、連邦規則(8 CFR 217.2(d))がビザ免除プログラムでの乗継を認めており、搭乗前のESTA承認も求めています(217.5(b)(1)、2026年10月8日時点)。有効なビザで渡航する場合は別の扱いになります。乗継の経路が入国審査を通るかどうかは、乗継空港と航空会社によっても変わるため、航空会社の案内とあわせて確認してください。
韓国K-ETAは「免除中」でも、確認が要る
6制度のうち、韓国だけは日本国籍の旅行者に特別な扱いがあります。K-ETA公式サイトの案内によると、K-ETAの一時免除措置は2026年1月1日から12月31日まで(韓国時間)延長されており、日本を含む対象国の国民は、この期間中はK-ETAの登録が不要です(駐日韓国大使館の案内でも日本が対象国に含まれています)。
ここで気をつけたい点が二つあります。
- 免除は期限つきです。 2027年1月以降の扱いは、本稿の確認日(2026年10月12日)時点で、K-ETA公式サイトにも駐日韓国大使館のページにも見当たりませんでした。年をまたぐ渡航は、出発前に公式サイトを確認してください。
- 免除中でも入国申告は別に必要です。 韓国政府の電子入国申告(e-Arrival Card)の公式案内では、「K-ETA免除者」は申告の対象者、「K-ETA保有者」は申告から除外される人として分けられています。K-ETAの免除を利用する場合は、電子入国申告書などの申告が必要です。日程の根拠は韓国の年末年始、いつが休み?と同じ出典で、そちらにまとめています。
年末年始の出発前手続き全体は、年末年始の海外旅行、パスポート・ESTA・K-ETAはいつまでに?で期限の逆算をしています。
直近の改定と、公式ページの更新
各国の公式ページで確認した、直近の動きです(確認日はいずれも2026年10月12日)。
- 米国:2026年10月16日から、ESTAの手数料が40.27ドルから40.62ドルに改定されます(米国官報2026年10月1日)。
- カナダ:カナダ政府は、公式のeTAの申請システムを2026年10月13日の午前0時から5時30分(米国東部時間)に更新するため、この時間帯は申請フォームが使えないと案内しています。
- 豪州:内務省のETAページの最終更新表示は2026年9月8日です。ただし、どの項目が変わったかはページに書かれていません。
- 韓国:K-ETA公式サイトのお知らせに、一時免除期間を2026年12月31日まで延長する旨が掲載されています。お知らせの掲載日の表示は、公式サイト内で一覧と詳細ページで一致しないため、日付は書いていません。
- 英国:ETAの手数料は2026年4月8日に16ポンドから20ポンドに改定されており、2026年10月8日付の手数料表でも20ポンドです(直近90日の改定はありません)。
- ニュージーランド:公式ページ上で、直近90日の手数料改定を示す記述は見つかりませんでした。NZの手数料ガイドは2026年5月版です。
「見つからなかった」ことは「改定がない」ことの証明にはなりません。申請の直前に、公式の画面に表示される金額を確認する習慣をつけておくのが確実です。
公式でないサイトに注意
検索結果には、各国の電子渡航認証の申請を「代行」する民間サイトが並ぶことがあります。公式の手数料より高い金額が上乗せされている場合があるため、各国の公式の案内に従って、公式ドメインやアプリから申請してください。
- 英国政府(GOV.UK)は「ほかのサイトでは、より高い手数料を請求されることがある。政府のサービスをまねたサイトを避けること」と案内しています。また、他のサイトやアプリで申請しても、審査が早くなることはないとも書いています。
- 韓国のK-ETA公式サイトは、申請は k-eta.go.kr または公式アプリのみで可能で、代行や急行サービスを名目に高額の手数料を取る類似サイトに注意するよう案内しています。
- 米国については、外務省・在日米国大使館の注意喚起をESTAの記事に引用しています。
当サイトは、いずれの申請代行サービスとも提携・関係がありません。
国ごとの詳しい記事
この記事は比較のための一覧です。申請の手順や注意点は、国ごとの記事に分けています。
- 米国:ESTA申請の公式サイトはどこ?
- 豪州:豪州ETAの記事
- カナダ:カナダeTAの記事
- 英国:英国ETAの記事
- ニュージーランド:NZeTAの記事
- 韓国:韓国の年末年始、いつが休み? — K-ETAの今の扱い
年末年始に行き先を迷っている場合は、正月の海外旅行、行き先選びの比較表で入国条件・祝日・時差・気候を並べています。パスポートの残りの期間は、どの国でも関わる条件のため、パスポートの残り期間はどれくらい必要?もあわせて確認してください。
よくある不安
電子渡航認証とは何ですか?ビザとは違いますか?
電子渡航認証は、ビザ(査証)が不要な国の国民が、渡航前にオンラインで適格性の確認を受ける仕組みです。国ごとに名称が異なり、米国はESTA、豪州とカナダと英国はETAまたはeTA、ニュージーランドはNZeTA、韓国はK-ETAです。制度によって法的な位置づけは異なり、豪州のETAは内務省上はビザ(subclass 601)の一種です。いずれも認証を得ても入国が保証されるわけではなく、最終的な入国の可否は現地の入国審査で判断されます(米国CBP・カナダIRCC・英国GOV.UKの各公式の記述)。
ESTAとETAは何が違いますか?
ESTAは米国の制度の名称で、ETA(eTA)は豪州・カナダ・英国の制度の一般的な呼び名です。名称は似ていますが、運営する政府・手数料・有効期間・申請方法は国ごとに別々です。同じ「ETA」でも豪州は公式アプリでの申請、英国はアプリまたはウェブ、カナダは公式サイトでの申請と、窓口が異なります(各国政府の公式、2026年10月時点)。
6か国のうち、手数料が一番高いのはどこですか?
通貨がそれぞれ異なるため、円換算せずに公式の金額を並べると、米国ESTAは40.27ドル(2026年10月16日から40.62ドル)、豪州ETAはアプリの手数料20豪ドル、カナダeTAは7カナダドル、英国ETAは20ポンド(2026年4月8日に16ポンドから改定)、NZeTAはアプリ17NZドルまたはウェブ23NZドルに加えて、日本のパスポートでの観光では免除されないIVL(国際観光税)100NZドル(訪問時の合計はアプリ117NZドル・ウェブ123NZドル)、韓国K-ETAは1万ウォンです。ただし韓国は日本国籍の場合、2026年12月31日まで登録が免除されています。為替レートで順位が入れ替わるため、本稿では順位づけをしていません(2026年10月時点)。
乗継だけでも電子渡航認証は必要ですか?
国によって異なります。カナダは、空港での乗継にもeTAが必要と公式に案内されています(米国との往復で給油のため寄るだけの場合などは例外)。豪州には、条件を満たせばビザなしで通過できる制度(TWOV)があり、日本は対象国です(到着から8時間以内に出発するなど。入国審査を通る経路ではビザが必要)。英国は、入国審査を通らず空港の制限エリア内で乗り継ぐ場合はETA不要、入国審査を通る乗継は必要です(GOV.UK)。ニュージーランドは乗継用のNZeTAがあり、オークランド空港では乗継エリア内で最長24時間の滞在が案内されています。韓国は、乗継客がK-ETAの申請免除の対象として公式の一覧に載っています(条件の詳細は公式で確認できていません)。米国は、ビザ免除プログラムで乗り継ぐ場合も、搭乗前にESTAの承認が必要です(連邦規則 8 CFR 217.2(d)・217.5(b)(1))。自分の便の扱いは航空会社と公式サイトで確認してください(2026年10月時点)。
韓国のK-ETAは、日本国籍でも申請が必要ですか?
2026年12月31日までは、日本国籍者のK-ETA登録は時限的に免除されています(K-ETA公式サイトの案内、免除期間は2026年1月1日〜12月31日)。ただし、K-ETAの免除を利用し、有効なK-ETA保有などの申告除外に当たらない場合は、電子入国申告書(e-Arrival Card)などの入国申告が必要です。2027年1月以降の扱いは、本稿の確認日(2026年10月12日)時点で公式に確認できていないため、年をまたぐ渡航は出発前に公式サイトで確認してください。
申請は公式サイトからでないとだめですか?
公式の申請先は各国で決まっています。米国は esta.cbp.dhs.gov、カナダはカナダ政府の公式サイト、英国はGOV.UKの公式ページとUK ETAアプリ、ニュージーランドはNZeTAの公式サイトとアプリ、韓国は k-eta.go.kr とK-ETAアプリ、豪州は公式のAustralian ETAアプリです。英国政府と韓国政府は、公式でないサイトが高い手数料を請求することがあると注意喚起しています。申請の前に、公式ページから案内されているかを確かめてください(2026年10月時点)。
渡航先での通信の準備(電子渡航認証の申請とは別の話)
ここまでの電子渡航認証の申請とは別の話として、渡航先での通信手段を事前に決めておきたい方向けの情報です。申請の手続きには関係しないため、読み飛ばしても問題ありません。今の通信契約で足りるなら、追加で用意する必要はありません。海外で使う通信手段にはローミングやレンタルWiFiなどもあるため、必要になった時点で比べて選べば足ります。
まとめ
電子渡航認証は、名前が似ていても国ごとに別の制度です。手数料は40.27ドル(米国・10月16日から40.62ドル)、20豪ドル、7カナダドル、20ポンド、17〜23NZドル+IVL 100NZドル、1万ウォンと通貨も金額もばらばらで、有効期間も12か月から5年まで幅があります。韓国は日本国籍の場合2026年12月31日まで登録が免除されていますが、入国申告は別に必要で、2027年1月以降の扱いは確認できていません。行き先が決まったら、国ごとの記事と公式サイトで最新の金額と条件を確認してから申請してください。




