帰宅してコートを脱ぐより先に、カーボンヒーターのスイッチを入れる。パチッという音とともに発熱体が赤くなり、数秒で顔のあたりがほてってくる。「遠赤外線だから体に優しく省エネ」という説明を見かけたことがある人も多いはずだが、電気代の面では実際どうなのだろうか。発熱体の異なる2機種でも、同じ300Wなら1時間の電気代は約9.3円で変わらない。「電気ストーブ」は、カーボン・ハロゲン・シーズ・グラファイトなどの発熱体を使った暖房器具の総称として呼ばれることが多い語で、本記事ではその電気代を扱う。

この記事の要点

  • 山善公式のカーボンヒーター(DC-S097・450W/900W)、コイズミ公式のグラファイトヒーター(KKS-0634/C・300W/600W)、TEKNOS公式のハロゲンヒーター(PH-319・300W)、ダイキン公式のセラムヒート(ERFT11ZS・250〜1,100W可変)を、その消費電力が続くと仮定して31円/kWhで計算すると、同じ300Wのコイズミ(弱)とTEKNOSは、発熱体が違っても1時間約9.3円と同額でした(2026年9月時点・各社公式仕様の消費電力が続くと仮定した計算例)
  • 電気代を決めるのは発熱体の種類ではなく消費電力(W)です。カーボン・ハロゲン・グラファイト・シーズいずれも、通電した発熱体がそのまま熱に変わる仕組みのため、消費電力がほぼそのまま暖房出力になります
  • 「遠赤外線ヒーターは省エネ」は名称だけでは決まりません。電気代は消費電力(W)と使用時間で決まり、同じW・同じ時間なら発熱体が違っても同額です。ダイキン工業公式は、暖かさを保ちながら設定電力を下げる使い方(人感センサーモード等)による節電も案内しています(2026年9月時点・ダイキン工業公式)

発熱体の違い — カーボン・ハロゲン・グラファイト・シーズヒーター

「電気ストーブ」と呼ばれる暖房器具には、いくつかの発熱体があります。山善公式は「遠赤外線カーボンヒーター」として、カーボン(炭素)繊維を発熱体に使う製品を販売しています(型式番号DC-S097)。コイズミ(小泉成器)公式は「遠赤電気ストーブ」として、グラファイト(黒鉛)を発熱体に使う製品を「グラファイトヒーター」と呼んでいます(型式番号KKS-0634/C)。TEKNOS(株式会社千住)公式は、ハロゲンランプを発熱体に使う製品を「ハロゲンヒーター」として販売しています(型式番号PH-319)。ダイキン工業公式の「セラムヒート」は、セラミックコーティングを施したシーズヒーター(金属管の中にニクロム線などの発熱体を入れた構造)を使う遠赤外線暖房機です(型式番号ERFT11ZS。以上いずれも2026年9月時点・各社公式仕様)。

いずれの発熱体も、通電すると赤外線を含む熱を放射する仕組みで、メーカー各社は「遠赤外線」という言葉を使って製品を説明しています。実際、山善公式のカーボンヒーターも商品名に「遠赤外線」を含んでおり、「遠赤外線ヒーター」は特定の発熱体だけを指す言葉ではなく、カーボン・ハロゲン・グラファイト・シーズなど複数の発熱体に共通して使われていることがわかります(2026年9月時点・各社公式仕様)。

電気代は消費電力(W)で決まる — 発熱体の種類では変わらない

整理すると、電気代を決めるのは発熱体の種類ではなく、消費電力(W)と使用時間です。カーボンヒーターでもハロゲンヒーターでも遠赤外線ヒーターでも、同じW数・同じ使用時間なら電気代は同じになります。下の表は、山善(カーボンヒーター)・コイズミ(グラファイトヒーター)・TEKNOS(ハロゲンヒーター)・ダイキン(セラムヒート、シーズヒーターを使う遠赤外線暖房機)の公式仕様を、消費電力(W)の低い順に並べたものです。300Wの行を見ると、コイズミのグラファイトヒーター(弱)とTEKNOSのハロゲンヒーターは、発熱体の種類が違っても電気代はまったく同じです。

消費電力(W) 該当する製品・設定の例(発熱体) 1時間(その消費電力が続くと仮定した計算例) 1日8時間(同) 1か月(240時間)(同)
250W(表示は300W) ダイキン セラムヒート ERFT11ZS 最小(シーズヒーター) 約7.8円 約62円 約1,860円
300W コイズミ KKS-0634/C 弱(グラファイトヒーター)/TEKNOS PH-319(ハロゲンヒーター) 約9.3円 約74円 約2,232円
450W 山善 DC-S097 弱(カーボンヒーター) 約14.0円 約112円 約3,348円
600W コイズミ KKS-0634/C 強(グラファイトヒーター) 約18.6円 約149円 約4,464円
900W 山善 DC-S097 強(カーボンヒーター) 約27.9円 約223円 約6,696円
1,100W(最大) ダイキン セラムヒート ERFT11ZS 最大(シーズヒーター)※最大が続くと仮定した上限試算 約34.1円 約273円 約8,184円

(消費電力×使用時間×31円/kWhで算出した当サイトの計算例です。特定製品の推奨ではありません。ダイキン公式は、デジタル表示が100W単位のため250Wは300Wと表示される旨、また通電時間を制御しているためパワー調節の数値が小さくても瞬間的には最大値の電流が流れる旨を注記しています。同社公式はこの製品の電気代目安を「7.75〜34.1円(最小〜最大・31円/kWh基準)」としており、本記事の表記(小数第1位まで)では約7.8円〜約34.1円になります。2026年9月時点・各社公式仕様にもとづく)

「遠赤外線ヒーターは省エネ」は名称だけでは決まらない — 同じW・同じ時間なら同額

「遠赤外線ヒーターは省エネ」という説明を見かけることがありますが、「遠赤外線」という名称だけで電気代が決まるわけではありません。電気代を決めるのは消費電力(W)と使用時間で、上の表の300W行の通り、遠赤外線ヒーター(ダイキン セラムヒート)もカーボンヒーターもグラファイトヒーターもハロゲンヒーターも、同じW数・同じ時間を使えば電気代は同額です。

ダイキン工業公式は、セラムヒートについて「熱量の90〜95%がからだに吸収され、芯からあたたまります」と説明しています(2026年9月時点・ダイキン工業公式)。これは、放射された熱がどれだけ体に伝わるかという体感的な効率の話です。ただし同社公式は、人感センサーモードや温度モードなど、暖かさを保ちながら設定電力(消費電力)を下げる使い方による節電も案内しています(2026年9月時点・ダイキン工業公式)。体感の効率がよいことと、そのぶん低い設定でも足りると感じて消費電力を実際に下げられるかどうかは別の問題で、製品や使う人の感じ方、部屋の条件によって変わります。「遠赤外線だから自動的に電気代が安くなる」わけではありませんが、暖かく感じられるなら設定を下げるという使い方自体は、消費電力(W)を実際に下げる有効な節電策です。

セラミックファンヒーターとの使い分け

ここまでの製品は、いずれもファンを使わず発熱体からの輻射で暖める方式です。セラミックファンヒーターの電気代は1時間いくら?で確認した通り、セラミックファンヒーターは温風を送り出して空気ごと暖める方式で、同記事でも「セラミックファンヒーターも電気ストーブ(ハロゲン・カーボンヒーターなど)も、通電した発熱体がそのまま熱に変わる仕組みのため、消費電力がほぼそのまま暖房出力になる」と整理しています。カーボン・ハロゲン・グラファイト・シーズいずれの発熱体も、この「消費電力=発熱量」という関係は共通しており、同じ消費電力・通電時間・単価なら電気代は同額です。必要な暖かさを得られる設定は製品や使用条件で異なります。使い分けの軸になるのは、輻射で体や近くのものを直接暖めたいか(カーボン・ハロゲン・グラファイト・遠赤外線ヒーター)、温風で部屋の空気ごと暖めたいか(セラミックファンヒーター)という違いです。

向く部屋・向かない部屋

向いているのは、取扱説明書で指定された周囲の空間を確保できる場所で、人のいる範囲だけを短時間・素早く暖めたい場面です。コイズミ公式のKKS-0634/C(高さ約68.4cm)の場合、取扱説明書の設置図には燃えやすい物から前方・上方100cm以上、側方30cm以上、後方4.5cm以上離すこと、上方から落下物の恐れのない場所で使うことが示されています(2026年9月時点・コイズミ公式取扱説明書)。輻射式のヒーターはスイッチを入れてすぐに暖かさを感じられる立ち上がりの速さが特長で、コイズミ公式のグラファイトヒーターは約0.2秒での立ち上がりをうたっています(2026年9月時点・コイズミ公式)。

デスクの下のように上方の空間が限られる場所には、こうした離隔条件を満たせないため向きません。足元だけを省スペースで暖めたい場合は、パネルヒーターの電気代は1時間いくら?で扱うデスク下専用のパネルヒーター(100〜200W級)が候補になります。

一方、本記事で確認した製品には、セラミックファンヒーターの電気代は1時間いくら?のような公式の適用畳数(住宅条件別)の記載が見当たりませんでした。これらのヒーターも電気ストーブと同じく、消費電力(W)がほぼそのまま暖房出力になる仕組みで、エアコンのようにヒートポンプで少ない消費電力から多くの熱を得る仕組みは持ちません(資源エネルギー庁・ダイキン工業のヒートポンプに関する公式情報にもとづき、セラミックファンヒーターの記事で整理しています)。部屋全体を長時間暖め続ける用途では、消費電力あたりの暖房効果が大きいエアコンの方が効率的です。ただしこれは各掲載電力が一定で続いた場合の費用比較で、同じ室温・暖房効果を得る比較ではありません。

電気代を抑える使い方

山善公式のDC-S097には弱/強の2段階切替と首振り機能があり、必要な範囲だけを狙って使うことで電気代を抑えられます(2026年9月時点・山善公式)。コイズミ公式のKKS-0634/Cには切タイマーが搭載されており、切り忘れを防げます(2026年9月時点・コイズミ公式)。ダイキン公式のセラムヒートには人感センサーモード・温度モード・リズムモードといった節電機能があり、室内温度が約22℃に達すると設定に応じて消費電力を抑えた運転に切り替わるモードも用意されています(2026年9月時点・ダイキン工業公式)。

電気代そのものを見直すなら、契約している電力会社やプランを確認するのも一つの手です。電力会社の切り替え方法とデメリットで仕組みと手順を、「夜間は電気代がおトク」のチラシを見かけたらで時間帯別プランの向き不向きを整理しています。体の一部だけを暖めたい場合はこたつの電気代は1時間いくら?、就寝時に暖まりたい場合は電気毛布の電気代は一晩いくら?、部屋全体を効率よく暖めたい場合はエアコンの電気代は1時間いくら?もあわせてご覧ください。

よくある疑問

カーボンヒーター・ハロゲンヒーター・遠赤外線ヒーターで電気代は違いますか?

電気代を決めるのは発熱体の種類ではなく、消費電力(W)と使用時間です。山善公式のカーボンヒーター(DC-S097・450W/900W)、コイズミ公式のグラファイトヒーター(KKS-0634/C・300W/600W)、TEKNOS公式のハロゲンヒーター(PH-319・300W)を比べると、同じ300Wのコイズミ(弱)とTEKNOSは、発熱体が違っても31円/kWhで計算した電気代はいずれも1時間約9.3円で同じです(2026年9月時点・各社公式仕様の消費電力が続くと仮定した計算例)。「遠赤外線ヒーター」という呼び方も特定の発熱体だけを指す言葉ではなく、カーボン・ハロゲン・グラファイト・シーズなど複数の発熱体に共通して使われています。

カーボンヒーターの電気代は1時間あたりいくらですか?

山善公式の「遠赤外線カーボンヒーター DC-S097」は消費電力450W(弱)・900W(強)の2段階です。その消費電力が続くと仮定して31円/kWhで計算すると、1時間あたり弱約14.0円・強約27.9円、1日8時間×30日(240時間)使うと弱約3,348円・強約6,696円になります(2026年9月時点・山善公式仕様の消費電力が続くと仮定した計算例)。

「遠赤外線だから省エネ」というのは本当ですか?

「遠赤外線」という名称だけでは電気代は決まりません。電気代を決めるのは消費電力(W)と使用時間で、同じW・同じ時間であれば遠赤外線ヒーターもカーボンヒーターもハロゲンヒーターも同額です。ダイキン工業公式は、遠赤外線暖房機「セラムヒート」について「熱量の90〜95%がからだに吸収され、芯からあたたまります」と説明しており(2026年9月時点・ダイキン工業公式)、これは体感的な効率の話です。同社公式は人感センサーモードなど、暖かさを保ちながら設定電力を下げる使い方による節電も案内しており、低い設定で足りるかどうかは製品や部屋の条件によります。

電気ストーブの電気代を抑える方法のひとつ — 契約の見直し

電気ストーブの電気代を気にする方の中には、使い方を変えるだけで十分という方も、今の契約で納得している方もいます。その場合は読み飛ばして問題ありません。電気の契約そのものを見直したい方に向けて、比較の候補を挙げておきます。

広告

複数社の料金を横断的に比較する候補として、電気チョイスの公式サイトで内容を確認できます。

【電気チョイス】

広告

切り替え先の候補として、エルピオでんきの公式サイトで料金プランを確認できます。

「単純明快な安さ」でお客さまに還元します!

まとめ

カーボンヒーター・ハロゲンヒーター・遠赤外線ヒーターの電気代は、発熱体の種類ではなく消費電力(W)で決まります。山善公式のカーボンヒーター(450W/900W)、コイズミ公式のグラファイトヒーター(300W/600W)、TEKNOS公式のハロゲンヒーター(300W)、ダイキン公式のセラムヒート(250〜1,100W可変)を、その消費電力が続くと仮定して31円/kWhで計算すると、同じ300Wのコイズミ(弱)とTEKNOSは発熱体が違っても電気代はまったく同額でした。「遠赤外線」という名称だけでは電気代は決まらず、ダイキン工業公式が説明する「熱量の90〜95%がからだに吸収される」は体に熱が伝わる体感的な効率の話です。ただし同社公式が案内する、暖かさを保ちながら設定電力を下げる使い方(人感センサーモード等)は、消費電力(W)を実際に下げる有効な節電策です。同じ消費電力・通電時間・単価なら電気代は同額で、必要な暖かさを得られる設定は製品や使用条件で異なります。使い分けの軸は電気代の優劣ではなく、輻射で直接暖めたいか、セラミックファンヒーターのように温風で部屋の空気ごと暖めたいかという方式の違いにあります。取扱説明書が指定する設置の離隔条件により、デスクの下のように上方の空間が限られる場所には向きません。

オイルヒーターの電気代はこちらの記事で確認できます。W数から電気代を調べたいときはW数別の電気代早見表が使えます。ほかの家電の電気代も比べたい場合は、家電の電気代 早見表でまとめて確認できます。