固定費を見直そうとして電力会社の切り替えを検討したとき、「賃貸だから大家さんの許可がいるのでは」「工事で停電するのでは」と不安になって踏み出せない、という人は少なくありません。この記事では、電力会社を切り替える仕組みと手順、スマートメーターとの関係、賃貸物件での可否、切り替えのデメリット・注意点を、資源エネルギー庁が公開している情報にもとづいて整理します。

電力小売全面自由化の仕組みをおさらい

資源エネルギー庁によると、2016年4月1日以降、電気の小売業への参入が全面的に自由化され、家庭や商店を含むすべての消費者が、電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。地域の送配電網はこれまでどおり各地域の一般送配電事業者が維持・管理しているため、契約する電力会社(小売電気事業者)を変えても、電気そのものの届き方や品質が変わるわけではありません。

スマートメーターとは何か

スマートメーターは通信機能を持つ電力量計で、電気の使用量を遠隔で検針したり、30分ごとの使用量を細かく計測したりできる機器です。電力会社を切り替える際、供給先の建物にまだスマートメーターが設置されていない場合は、切り替えにあわせて交換が必要になります。

切り替えの手順とスマートメーター交換

一般的な切り替えの流れは次のとおりです。

手順 内容
1. 現在の契約情報を確認 検針票やマイページで「お客様番号」「供給地点特定番号」を確認する
2. 新しい電力会社・プランを選ぶ 料金プランやセット割の有無、契約条件を比較する
3. Webや電話で申し込む 新しい電力会社に申し込むと、必要な手続きは基本的に新しい電力会社側で進む
4. スマートメーターの交換(必要な場合) 未設置の場合、地域の送配電事業者から交換工事の日程連絡が入る
5. 供給開始 手続き完了後、新しい電力会社からの供給に切り替わる

資源エネルギー庁の説明では、スマートメーターへの交換工事が必要な場合はおよそ2週間程度、交換工事が不要な場合はおよそ4日程度で切り替えが完了するとされています。交換費用は原則としてかかりません。交換作業には1軒あたり15分程度の停電を伴う場合がありますが、交換が不要なケースでは工事自体が発生しないため、停電や不便が生じることはないとされています。

賃貸でも切り替えられるか

電力会社との契約は住戸ごとの個別契約であるため、賃貸物件やマンションであっても、大家さんの許可や退去時の原状回復工事なしに切り替えられるのが基本です。ただし、マンション全体で電力を一括して契約し、各住戸に分配する「高圧一括受電」方式を採用している物件では、住戸ごとに個別の電力会社を選べない場合があります。契約中の物件がどちらの方式かは、管理会社や現在の契約書類で確認しておくと安心です。

デメリット・注意点

電力会社の切り替えには、確認しておきたい注意点もあります。

  • 市場連動型プラン・燃料費調整額の上限: 一部のプランでは、卸電力市場価格や燃料費の変動が料金に直接反映される仕組みになっています。上限が設定されていないプランの場合、燃料価格が高騰した際に電気代が想定より大きく上がる可能性があります。
  • 事業者の撤退リスク: 過去には、卸電力市場価格の高騰などを背景に、新電力会社が新規受付を停止したり事業から撤退したりする例がありました。契約前に、その事業者の供給実績や料金体系の説明が明確かどうかも確認しておくとよいでしょう。なお、契約していた新電力が撤退した場合でも、電気の供給そのものが止まることはなく、地域の送配電事業者による「最終保障供給」などのセーフティネットが用意されています。
  • 解約金・最低契約期間: プランによっては最低契約期間や解約手数料が設定されている場合があります。契約前に条件を確認しましょう。

元の電力会社に戻すには

切り替え後に条件が合わないと感じた場合は、通常の切り替えと同じ手続きで、以前契約していた電力会社や他の新電力会社に再度切り替えることができます。地域の大手電力会社(一般送配電事業者の関連会社である、いわゆる「みなし小売電気事業者」)の料金メニューに戻すことも可能です。

よくある疑問

Q. 「お客様番号」「供給地点特定番号」はどこで確認できますか。 現在契約している電力会社が発行する検針票や、電力会社のマイページ・アプリで確認できます。手元にない場合は、契約中の電力会社に問い合わせれば確認できます。

Q. 引っ越しのタイミングでの切り替えと、何が違いますか。 引っ越しにともなう新規契約の場合は、入居日にあわせて開始日を指定する形になります。一方、現在の住まいのまま切り替える場合は、上記の手順のとおり、スマートメーターの交換要否によって開始までの期間が変わります。

Q. 契約中に電力会社が料金を値上げした場合、その場ですぐ他社に切り替えられますか。 最低契約期間や解約金の定めがなければ、通常の切り替え手続きと同じ流れで、いつでも他の電力会社に切り替えることができます。契約時に最低利用期間の有無を確認しておくと、こうした場面でも動きやすくなります。

まとめ

電力会社の切り替えは、スマートメーターが設置済みであれば工事も停電も発生せず、賃貸物件でも大家さんの許可なく個別に行えるのが基本です。一方で、料金プランの仕組みや事業者の状況によっては注意すべき点もあるため、申し込み前にプランの内容と条件をよく確認することが大切です。電気とガスをまとめて契約する場合の比較ポイントは、電気・ガスセット契約は本当にお得? 比較のポイントでも解説しています。

本記事は公開情報に基づく解説であり、最新の料金・条件は各公式サイトでご確認ください。