窓の外が冷え込んできて、検針票の金額が気になり始める季節です。オール電化の家は、給湯も暖房も電気でまかなうぶん、冬に請求額が上がったと感じやすいかもしれません。その上がり方は、どの設備のどの部分から来ているのでしょうか。

この記事は、オール電化の電気代平均は高い? — 比べるときはガス代込みの総額でが扱う「平均額と総額の比べ方」とは重ならないように、「冬に上がる理由を分けて読む」ことに絞ります。確認できた公式資料の範囲だけを書き、確認日は2026年10月11日です。

この記事の要点

  • 総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯・全世帯)では、2025年の電気代は3月の16,559円が最高、6月の10,709円が最低で、差は5,850円です。オール電化世帯だけの数字ではありません(2026年10月11日確認)
  • エコキュートは、外気温と給水温度が低い冬に、同じ熱を作るのに多くの電力を使います。三菱電機の2017年モデル仕様書では、加熱能力4.5kWの機種の消費電力が中間期の条件で0.93kW、冬期高温の条件で1.50kWとされています(沸上げ温度の条件も異なります)
  • エアコン暖房は、ダイキン公式の例で、夏の外気温と設定温度の差が8℃なのに対し、冬は13℃になります。差が大きいほど消費電力量が大きくなります
  • 東京電力エナジーパートナーは2026年11月1日に、従量電灯Bの基本料金・電力量料金を改定し、「くらし上手」を「電化プラス」へ切り替えます。冬の請求額は、使用量だけでなく料金の条件でも動きます(2026年10月時点・同社公式)

月別の電気代で見る — 3月と6月で5,850円の差

まず、冬に電気代がどのくらい上がるのかを、公的な統計で確認します。総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯)が公表している、2025年の月別の電気代(1世帯あたりの支出額)は次のとおりです(2026年10月11日確認・総務省統計局公式)。

月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
電気代(円) 14,904 16,552 16,559 14,805 12,220 10,709
月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
電気代(円) 10,907 12,593 13,825 12,913 11,138 11,497

最も高い3月(16,559円)と最も低い6月(10,709円)の差は5,850円で、3月は6月の約1.5倍です(16,559円÷10,709円の計算)。目安単価の31円/kWhで割ると約189kWhに相当しますが、これは単価が一定だと仮定した換算で、実際の単価や燃料費調整額は月ごとに異なります。

この表を読むときの注意点が3つあります。

  • オール電化の世帯だけの数字ではありません。 家計調査は、オール電化かどうかを区別しない全世帯の平均です。オール電化世帯の月別の傾向を示した公的な資料は、この記事では確認できていません
  • 使用量の変化だけの差ではありません。 この金額には、燃料費調整額や国の電気・ガス料金支援の有無といった、単価側の変動も含まれています。単価側の仕組みは電気代はなぜ冬に上がる? — 使用量と単価、2つの要因を公式情報で整理で整理しています
  • 家計簿に記録された月ごとの支出額です。 使った月とお金を払った月がずれている可能性については、統計の説明では確認していないため、月の対応は断定しません

① エコキュート — 外気温と水温が下がると、同じお湯に多くの電力が要る

オール電化の給湯を担うエコキュートは、空気の熱を使ってお湯を沸かすヒートポンプ式です。パナソニック公式は、春夏が最も効率よくお湯を沸かせるのに対し、冬は「お湯の使用量が増えること」と「外気温が低く空気中から得られる熱が少なくなり、お湯を沸かすのにより多くの電力が必要となること」が原因で、月々の電気代が変動すると説明しています(2026年10月時点・同社公式)。

メーカーの仕様書には、この違いが数値で出ています。三菱電機の2017年モデルの仕様書(4.5kWクラスの機種)では、加熱能力と消費電力が次の作動条件で併記されています(2026年10月時点・同社公式。2017年モデルの仕様書で、現行機種の数値とは異なる場合があります)。

条件 外気温(乾球/湿球) 水温 沸上げ温度 加熱能力/消費電力
中間期標準 16℃/12℃ 17℃ 65℃ 4.5kW/0.93kW
冬期高温 7℃/6℃ 9℃ 90℃ 4.5kW/1.50kW

同じ4.5kWの加熱能力を出すのに必要な消費電力が、0.93kWから1.50kWへと約1.6倍になる計算です(1.50kW÷0.93kW)。ただし、この2つの条件では外気温と水温だけでなく沸上げ温度(65℃と90℃)も違います。上の差のすべてが外気温と水温によるものとは言えず、実際の家庭での増え方を示す数字でもありません。「冬は低い外気温と水温の条件で、より多くの電力を使う設計になっている」ことを確認する材料として読むのが適切です。

同じ仕様書には、低外気温時は除霜のため加熱能力が低下することがある旨の注記もあります。

冬に効率を落としやすい使い方

コロナ公式は、前日の風呂の残り湯を沸かし直すと効率が低下して消費電力量が増え、電気代が高くなる傾向があり、とくに冬など残り湯が冷たいときは効率の低下が大きいと説明しています(2026年10月時点・同社公式)。省エネ製品情報サイトのエコキュートの案内も、保温や追いだきは控えめにし、入浴は間隔をあけずにふろのフタをするよう案内しています(2026年10月時点)。

これらの工夫でどのくらい下がるかを、金額で示した公的な数字は確認できていません。効果を断定せず、「効率を落とす使い方を避ける」ための情報として受け取ってください。エコキュート単体の電気代の目安はエコキュートの電気代は月いくら? — 年間給湯保温効率(JIS)を31円/kWhで実額化するで計算しています。

② エアコン暖房 — 外気温と設定温度の差が大きくなる

暖房の電気代が冬に増える理由を、ダイキン公式は次のように説明しています。夏は外気温35℃・設定温度27℃で差が8℃なのに対し、冬は外気温7℃・設定温度20℃で差が13℃にもなります。エアコンは設定温度に到達するまでフル稼働するため、外気温と設定温度の差(熱負荷)が大きくなる冬は、消費する電力量が大きくなるという説明です(2026年10月時点・同社公式)。

同じページでは、エアコンの設定温度を1℃下げると約10%の電気代の節約になるとされており、環境省が推奨する暖房時の室温20℃を目安にする案内もあります。ただし、これは一般的な目安で、住まいの断熱や機種によって変わります。エアコン暖房の電気代の計算はエアコン暖房の電気代は1時間いくら? — 畳数別のメーカー公式仕様で定格継続の試算を出す、暖房全般の節約は暖房の節約方法を公式の数字で一覧に — 年間削減量を円に換算で扱っています。

③ 料金の改定 — 2026年11月1日に何が変わるか

冬の請求額は、使用量だけでなく料金の条件でも動きます。東京電力エナジーパートナーの場合、2026年9月29日の発表で、託送料金の見直しを2026年11月1日から電気料金に反映することが示されました(2026年10月時点・同社公式)。オール電化に関わる主な変更点は次のとおりです。

従量電灯Bの基本料金・電力量料金

従量電灯Bの30A契約では、基本料金が935円25銭から1,176円18銭になり、電力量料金は第1段階(120kWhまで)が29円80銭から29円85銭、第2段階(120kWh超300kWhまで)が36円40銭から36円45銭、第3段階(300kWh超)が40円49銭から40円54銭になります。同社が示した平均モデル(30A・260kWh)では、2026年11月分の燃料費調整単価などを用いた合計が9,307円から9,561円へ、254円増える計算です。従量電灯Bの料金の仕組みは従量電灯Bとは — 基本料金と3段階料金のしくみを計算例で読むで計算例つきで解説しています。

「くらし上手」から「電化プラス」へ

電化住宅向けのプラン「くらし上手」は、2026年11月1日に「電化プラス」へリニューアルされます。現在の契約者は同日に自動で切り替わり、お手続きは不要です。加入条件は、太陽光発電設備の有無やエコキュートの種類にかかわらず、総容量(入力)が1kVA以上のエコキュート・おひさまエコキュートなどの蓄熱式機器、またはEV・PHEV用の充電設備のいずれかを使っていることになります(2026年10月時点・同社公式)。Webでの申込受付は2026年10月14日からと案内されています。

料金体系は、基本料金・電力量料金の定額部分を廃止し、基本料金は契約容量に応じた料金、電力量料金は1kWhから従量料金となります。同社の料金表では、次のとおりです(税込)。

項目 くらし上手S(2026年10月31日まで) 電化プラスS(2026年11月1日から)
基本料金 2,654円50銭(契約電流60A以下) 契約電流10Aにつき506円06銭
電力量料金 120kWhまで定額3,670円40銭、超過分は1kWhにつき30円72銭 1kWhにつき30円63銭

契約電流30Aと60Aで、燃料費調整額・再エネ賦課金を除いた基本料金と電力量料金の合計を計算すると、次のようになります(円未満切り捨て。計算例であり、請求額そのものではありません)。

月の使用量 くらし上手S 電化プラスS(30A) 電化プラスS(60A)
200kWh 8,782円 7,644円 9,162円
500kWh 17,998円 16,833円 18,351円

計算式は、くらし上手Sが「2,654.50円+3,670.40円+30.72円×(使用量−120kWh)」、電化プラスSの30Aが「506.06円×3+30.63円×使用量」、60Aが「506.06円×6+30.63円×使用量」です。500kWhのくらし上手Sは、2,654.50+3,670.40+30.72×380=17,998.50円を切り捨てています。契約容量が小さいと基本料金が下がる反面、契約容量が大きいと、定額の基本料金だったくらし上手より基本料金が上がる場合があります。契約が30Aか60Aかで結果が逆になる点に注意してください。

夜間の安い時間帯がある「夜トク」

夜間の電気が安い時間帯別プランの代表例が、東京電力エナジーパートナーの「夜トクプラン」です。同社が2026年9月29日に発表した料金見直し(別紙2・税込)では、夜トクの単価が2026年11月1日から次のように改定されます(2026年10月時点で確認)。

項目 2026年10月31日まで 2026年11月1日から
基本料金(1kWあたり) 255.69円 377.36円
夜トク8 午前7時〜午後11時 42.60円 42.65円
夜トク8 午後11時〜翌午前7時 31.64円 31.69円
夜トク12 午前9時〜午後9時 44.16円 44.21円
夜トク12 午後9時〜翌午前9時 33.33円 33.38円
最低月額料金(1契約) 328.08円 368.64円

電力量料金(1kWhあたり)は5銭ほどの値上がりにとどまりますが、基本料金は1kWあたり121.67円上がります。たとえば契約容量が6kWなら、基本料金は月730円ほど増える計算です。なお、この表の単価には燃料費調整単価を含みません。

昼夜の単価差は、改定後も8時間の区分で10.96円、12時間の区分で10.83円です。昼間の単価が目安単価の31円/kWhを上回る点に注意してください。31円/kWhは公取協が示す目安で、プランごとの実際の単価ではありません。切り替えを検討する場合は、公式の最新の料金表で自宅の契約条件を確認してください。

この記事で確認できなかったこと

  • オール電化世帯だけの月別の電気代(公的な統計や電力会社の公式資料)
  • エコキュートだけの月別の消費電力量(メーカーが月別の数値を示した公式資料は確認できませんでした)
  • 東京電力エナジーパートナー以外の電力会社の、2026年11月以降の時間帯別料金の改定

関西電力など他の電力会社のオール電化プランを契約している場合は、各社の公式のお知らせで改定の有無を確認してください。

向かない読み方

この記事の数字は、冬の電気代が上がる理由を分けて理解するための材料です。自分の家の請求額がどれだけ上がるかを予測する用途には向きません。契約中の料金プラン、住まいの断熱、家族の人数、エコキュートの機種によって結果は大きく変わるため、検針票の使用量(kWh)を前年の同じ月と比べるのが確実です。

よくある疑問

オール電化の電気代が冬に上がるのは、エコキュートのせいですか?

エコキュートも要因の一つと考えられますが、それだけとは言えません。パナソニック公式は、冬は湯の使用量が増えることと、外気温が低く空気中から得られる熱が少なくなるためお湯を沸かすのにより多くの電力が必要になることを、月々の電気代が変動する理由として挙げています。暖房の使用量や、料金の単価側の変動も重なります。ただし、エコキュートだけの月別の消費電力量を示した公的な資料は、この記事では確認できていません(2026年10月時点)。

冬の電気代は、全国平均でどのくらい上がりますか?

総務省統計局の家計調査(二人以上の世帯・オール電化かどうかを区別しない全世帯)では、2025年の電気代は3月の16,559円が最も高く、6月の10,709円が最も低くなっています。差は5,850円で、3月は6月の約1.5倍です。この数字はオール電化世帯だけの平均ではなく、燃料費調整額や国の支援の有無も含んだ支出額です(2026年10月11日確認)。

2026年11月の料金改定で、オール電化の電気代はどう変わりますか?

東京電力エナジーパートナーの場合、従量電灯Bは2026年11月1日から託送料金の見直しが反映され、30A契約の基本料金は935円25銭から1,176円18銭に改定されます。また、電化住宅向けの「くらし上手」は同日に「電化プラス」へ切り替わり、定額料金が廃止されて1kWhから30円63銭の従量料金になります。どちらが得になるかは契約容量と使用量によって変わり、一概には言えません(2026年10月時点・同社公式)。

オール電化の冬の電気代を抑えるために、公式に示されている工夫はありますか?

コロナ公式は、冷たくなった残り湯の沸き直しは効率が下がり電気代が高くなる傾向があると説明しています。ダイキン公式は、エアコンの設定温度を1℃下げると約10%の電気代の節約になるとされ、暖房時は20℃(〜22℃)を目安にすると案内しています。どちらも効果は条件によって変わり、金額の保証ではありません(2026年10月時点)。

契約の見直しを考えるなら

料金プランの見直しは、冬の請求額を確認したうえで考えれば十分です。今の契約に納得している方は、この節を読み飛ばして問題ありません。比較の候補を探したい方に向けて、広告として案内しておきます。

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まとめ

オール電化の電気代が冬に上がる背景は、設備と料金の両面から分けて読めます。総務省の家計調査では、2025年の電気代は3月が6月の約1.5倍でした。エコキュートは外気温と水温が低い冬に、同じ熱を作るのに多くの電力を使い、エアコン暖房は外気温と設定温度の差が大きくなる冬に消費電力量が増えます。さらに、東京電力エナジーパートナーでは2026年11月1日に従量電灯Bの料金が改定され、「くらし上手」が「電化プラス」へ切り替わります。

どの要因がどれだけ効いているかは、世帯によって異なります。まず検針票で、前年の同じ月と使用量(kWh)を比べることから始めてみてください。

オール電化で基本料金0円のプランを検討する場合は、基本料金0円の電気は得か — 従量電灯Bと使用量別に試算も参考にしてください。