暖房の節約方法は、検索すると「これだけで電気代が半分に」といった話から、小さな工夫まで無数に出てきます。どれが本当に効くのか、効くとしていくらなのか。数字がなければ、優先順位がつけられません。

この記事は、資源エネルギー庁の「省エネポータルサイト」が年間の削減電力量(kWh)を数値で示している項目だけを一覧にしました。数値のない節約術は載せていません。器具そのものの電気代の比較は、別記事に任せます。

この記事の要点

  • 公式に数値があるのは、エアコン(設定温度・使用時間・フィルター清掃)、電気カーペット(広さ・設定温度)、電気こたつ(布団・設定温度)の項目です。年間の削減量は約32〜186kWhで、31円/kWhで換算すると約1,000〜5,800円です(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式)
  • 円への換算は、公式が示す金額換算係数(電気31円/kWh、公取協の目安単価)と同じ単価です。公式の円表示と、この記事の31円換算は、四捨五入の違いを除いて一致しています
  • 数値は特定の機器・条件(例: エアコン2.2kW、外気温6℃、1日9時間)での値で、項目どうしを足し合わせることはできません

数値の読み方 — 「年間」「条件つき」「足せない」

省エネポータルサイトの「無理のない省エネ節約」では、省エネ行動ごとに「年間で電気〇〇kWhの省エネ」と、金額に換算した「約〇〇円の節約」が示されています。読み方の注意点は3つです。

  • 年間の値: 1か月や1日の値ではありません。たとえば約1,650円は、条件どおりに使った場合の1年間の削減額です。同サイトの算出根拠のページには、暖房期間を10月28日〜4月14日の169日とする記載があります。ただし、各項目の年間値がこの日数で計算されているかは、項目ごとには確認できていません。エアコンの項目は外気温6℃・1日9時間などの前提つきで、フィルター清掃の値も、公式の表記では暖房だけの値とは明記されていません(「暖房だけで年間990円削減」とは読まないでください)
  • 条件つき: 掲載データは省エネルギーセンターの実測値などをもとにしたもので、機器の種類・居住地域・住宅によって異なる、と同サイトに書かれています
  • 単価: 金額換算係数は電気31円/kWh(税込、全国家庭電気製品公正取引協議会の新電力料金目安単価)です。実際の単価は契約によって違います(同サイトにも、最新の単価は契約中の事業者に確認するよう書かれています)

エアコン — 設定温度・使用時間・フィルター

エアコン(2.2kW)の暖房について、公式が数値を示している項目です。

節約方法 公式が示す前提 年間の削減量 公式の金額 31円/kWh換算
暖房の設定温度を21℃から20℃にする 外気温6℃、使用時間9時間/日 53.08kWh 約1,650円 約1,645円
暖房を1日1時間短縮する 設定温度20℃ 40.73kWh 約1,260円 約1,263円
フィルターを月に1〜2回清掃する 目詰まりしているエアコン(2.2kW)と、清掃した場合の比較 31.95kWh 約990円 約990円

(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式。31円/kWh換算は、公式のkWhに31円を掛けた当サイトの計算です。公式の円表示とは四捨五入の違いで数円ずれます)

公式の「冬の暖房時の室温は20℃を目安に」という案内にもとづく項目です。上の表で金額が大きいのは設定温度の見直しですが、前提は外気温6℃・1日9時間という条件で、短い時間だけ使う家庭や暖かい地域では、この額にはなりません。つけっぱなしと入り切りのどちらが得かといった、数値が示されていない論点は、この記事では扱いません。

電気カーペット — 広さと設定温度

電気カーペットの数値は次の2項目です。

節約方法 公式が示す前提 年間の削減量 公式の金額 31円/kWh換算
広さに合った大きさにする 室温20℃、設定温度「中」、1日5時間。3畳用と2畳用の比較 89.91kWh 約2,790円 約2,787円
設定温度を「強」から「中」にする 3畳用、1日5時間使用 185.97kWh 約5,770円 約5,765円

(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式)

この記事で扱う項目のなかで、公式の削減量がもっとも大きいのは、電気カーペットの設定を「強」から「中」にする項目です。ただし「強」で使い続けているケースが前提で、すでに「中」以下で使っている家庭では、この数字は当てはまりません。電気カーペット自体の電気代はホットカーペットの電気代はいくら?で扱っています。

電気こたつ — 布団と設定温度

電気こたつの数値は次の2項目です。

節約方法 公式が示す前提 年間の削減量 公式の金額 31円/kWh換算
こたつ布団に、上掛けと敷布団を併用する こたつ布団だけの場合との比較、1日5時間使用 32.48kWh 約1,010円 約1,007円
温度調節を「強」から「中」に下げる 1日5時間使用 48.95kWh 約1,520円 約1,518円

(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式)

こたつの使い方や電気代はこたつの電気代はいくら?にまとめています。

数値の大きさを比べると

3機器の項目を、31円/kWh換算の年間の額が大きい順に並べると、次のとおりです。

順位 節約方法 31円/kWh換算(年間)
1 電気カーペットの設定を「強」から「中」に 約5,765円
2 電気カーペットを広さに合った大きさに 約2,787円
3 エアコンの設定温度を21℃から20℃に 約1,645円
4 こたつの温度調節を「強」から「中」に 約1,518円
5 エアコンの暖房を1日1時間短縮 約1,263円
6 こたつ布団に上掛けと敷布団を併用 約1,007円
7 エアコンのフィルターを月1〜2回清掃 約990円

この順位は、公式が示した前提が項目ごとに異なる数字を並べただけのもので、「自宅でこの順に効く」という意味ではありません。使っていない機器の項目は、当然ゼロです。

実際の単価は契約と時期で変わる

31円/kWhは、全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価(税込、令和4年7月22日改定)で、実際に契約している単価とは異なります。たとえば東京電力エナジーパートナーは、2026年11月1日から託送料金の見直しを電気料金に反映します。同社の平均モデル(従量電灯B・30A・260kWh/月)では、月9,307円が9,561円に、つまり254円増えると発表しています(2026年9月29日・同社公式)。この増加は主に基本料金です。使用量を減らしたときの削減額は、電力量料金の該当段階の単価に、燃料費調整・再エネ賦課金・補助などを反映した従量部分で変わります。

円の額は、あくまで「31円で換算した場合の目安」として読み、自分の検針票の単価で確かめるのが確実です。各社の見直しは電気代の値上げ 2026年11月で一覧にしています。

この記事の数字が向かない人

  • 暖房をほとんど使わない、または表の機器を持っていない人は、当てはまる項目がありません
  • 床暖房、エアコン以外のヒーター、ガス・石油の暖房を使う人の数値は、この記事では扱いません(同サイトには石油・ガスファンヒーターの項目もありますが、電気の31円換算にならないため載せていません)
  • 電気代の水準そのものが気になる人は、使い方の節約より、契約アンペアや料金プランの見直しのほうが大きいことがあります。電気代を安くする方法で、3段の考え方を整理しています

器具ごとの電気代の比較は暖房器具の電気代を比べる、エアコンの暖房はエアコン暖房の電気代は1時間いくら?、窓まわりの対策は窓の断熱シート、貼る前に確かめたいことで扱っています。

よくある疑問

暖房の節約方法で、公式に数値が出ているものはどれですか?

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでは、エアコンの暖房設定温度を21℃から20℃にする、暖房を1日1時間短縮する、フィルターを清掃する、電気カーペットの広さを合わせる・設定温度を「強」から「中」にする、電気こたつの布団を重ねる・設定を「強」から「中」にする、といった項目に年間の削減電力量(kWh)が示されています。いずれも掲載条件(機器の能力、外気温、1日の使用時間など)での数値で、お宅の条件では変わります(2026年10月時点)。

表の削減額を全部足すと、年間でいくら安くなりますか?

足し算はできません。公式の数値は項目ごとに別の機器・別の前提で示されており、同じ暖房を重ねて削減できる量とは限らないためです。また、31円/kWhは目安単価で、実際の電気料金の単価は契約によって異なり、東京電力エナジーパートナーなどでは2026年11月1日から託送料金の見直しが電気料金に反映されます。実際の削減額は、ご自宅の使用状況と契約で変わります(2026年10月時点)。

公式の数値がない節約方法は、効果がないのですか?

効果がないとは言えません。この記事は、公的機関が数値で示している項目だけを載せる方針のため、掲載していないだけです。厚手のカーテンの使用など、省エネポータルサイトに工夫として書かれていても削減量の数値が示されていない項目は、金額に換算していません(2026年10月時点)。

電力会社を比較検討するなら

使い方を見直したうえで、料金プラン側の見直しも検討する場合は、複数社の料金プランを比較してみるのも一つの方法です。

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まとめ

暖房の節約方法のうち、資源エネルギー庁が年間の削減量を数値で示しているのは、エアコン・電気カーペット・電気こたつの7項目です。31円/kWhで換算すると、年間で約1,000円から約5,800円の幅になります。ただし、どれも機器・外気温・使用時間などの条件つきの数値で、足し合わせることはできません。

使っている機器に当てはまる項目から、自分の検針票と照らして確かめてください。11月1日からは大手電力で料金の見直しも始まるため、円の額は目安として読むのが安全です。

暖房の節約を始める前に、電気代が高い原因が使用量と単価のどちらかを切り分ける順番は電気代が高い原因 — 検針票で使用量と単価を切り分ける順番で整理しています。