電力会社の契約書類や検針票で「従量電灯B」という文字を目にしても、基本料金と電力量料金がどう組み合わさって毎月の金額になっているのかは、意外とわかりにくいものです。従量電灯Bとは何を指すプランで、料金はどのような計算式で決まっているのでしょうか。
この記事の要点
- 従量電灯Bは、電力小売自由化前から続く「特定小売供給約款」にもとづく規制料金プランで、契約は原則10〜60A(東京電力エナジーパートナー。2026年8月時点・同社公式)
- 料金は「基本料金(契約アンペア別の固定額)」+「電力量料金(120kWh・300kWhを境に単価が上がる3段階の従量制)」+再エネ賦課金・燃料費調整額の合計で決まる(同社公式)
- 2026年8月時点、東京電力エナジーパートナーの自由料金プラン「スタンダードS」は基本料金・電力量料金の単価が従量電灯Bと同一。両者の実務上の違いは燃料費調整額の上限の有無にある(同社公式)
従量電灯Bとは — 規制料金プランのひとつ
東京電力エナジーパートナーによると、従量電灯Bは「特定小売供給約款」にもとづく料金プランで、いわゆる規制料金(経過措置料金)にあたります。契約の大きさは原則として10〜60Aの範囲で契約者本人の申し出により決まり、ご家庭の照明・コンセントなどの契約に幅広く使われる、従来からある標準的なプランと案内されています。60Aを上回る契約は、容量をkVA単位で表す従量電灯Cになります(2026年8月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。契約アンペアの目安の考え方はブレーカーが落ちた夜に考える、契約アンペアの選び方で解説しています。
基本料金 — 契約アンペア別の固定額
基本料金は、契約アンペアの大きさに応じて決まる、使用量にかかわらず毎月発生する金額です(税込・1か月)。
| 契約アンペア | 基本料金(税込) |
|---|---|
| 10A | 311円75銭 |
| 15A | 467円63銭 |
| 20A | 623円50銭 |
| 30A | 935円25銭 |
| 40A | 1,247円00銭 |
| 50A | 1,558円75銭 |
| 60A | 1,870円50銭 |
まったく電気を使用しない場合は、基本料金が半額になります(2026年8月時点・同社公式)。
電力量料金 — 120kWh・300kWhを境に上がる3段階
電力量料金は、使用した電力量(kWh)に応じて計算します。従量電灯Bでは、使用量が増えるほど単価が上がる3段階の料金体系が採用されています(税込・1kWh)。
| 区分 | 使用量 | 単価 |
|---|---|---|
| 第1段階料金 | 最初の120kWhまで | 29円80銭 |
| 第2段階料金 | 120kWhを超え300kWhまで | 36円40銭 |
| 第3段階料金 | 300kWhを超過する分 | 40円49銭 |
このほか、まったく使用しない月でも発生する最低月額料金として1契約あたり328円08銭が設定されています(2026年8月時点・同社公式)。
計算例 — 月300kWh使うと、いくらになる?
契約30A・使用量300kWhのケースで、基本料金と電力量料金を分解します。300kWhはちょうど第2段階の上限にあたるため、第3段階(300kWh超過分)は発生しません(2026年8月時点・同社公式にもとづく計算)。
- 基本料金(30A): 935円25銭
- 電力量料金(第1段階): 120kWh × 29円80銭 = 3,576円
- 電力量料金(第2段階): 180kWh × 36円40銭 = 6,552円
- 電力量料金(第3段階): 0kWh × 40円49銭 = 0円
- 電力量料金 小計: 10,128円
- 基本料金+電力量料金: 11,063円25銭
第3段階まで確認するために、350kWh使った場合も見てみます。
- 電力量料金(第1〜2段階は上記と同じ): 10,128円
- 電力量料金(第3段階): 50kWh × 40円49銭 = 2,024円50銭
- 電力量料金 小計: 12,152円50銭
- 基本料金+電力量料金: 13,087円75銭
ここに、再エネ賦課金(2026年度は1kWhあたり4.18円。300kWhなら1,254円)と、燃料価格の変動に応じて毎月加算・差し引きされる燃料費調整額を合算すると、実際の請求額になります。燃料費調整額と再エネ賦課金のしくみそのものは検針票の「燃料費調整額」に目が留まったらで解説しています。参考として、東京電力エナジーパートナー公式が示す「従量電灯B・30A契約・使用量260kWh」のモデル例(2026年9月分)では、基本料金935円25銭・電力量料金8,672円(29円80銭×120kWh+36円40銭×140kWh)に、燃料費調整額(燃料費調整単価−10円96銭/kWh×260kWh。国の電気・ガス料金支援の値引きを含む)と再エネ賦課金1,086円を加減算し、円未満を切り捨てて合計7,843円としています(2026年8月時点・同社公式)。
従量電灯A・Cとの違い
東京電力エナジーパートナーの料金計算式一覧には、従量電灯Bのほかに従量電灯A・従量電灯Cも掲載されています(2026年8月時点・同社公式)。
- 従量電灯A: 基本料金という固定額の枠がなく、最低料金制です。使用量が8kWh以下なら最低料金328円08銭のみ、9kWh以上使うと「328円08銭+29円80銭×(使用量−8kWh)」で計算されます。従量電灯Bのプラン紹介ページには従量電灯Aの契約案内はなく、料金計算式の一覧にのみ記載がある点も確認できます
- 従量電灯C: 6kVA以上の契約が対象です。基本料金は311円75銭×契約容量(kVA)で、電力量料金の3段階の単価(29円80銭・36円40銭・40円49銭)は従量電灯Bと同一です
自由料金プラン(スタンダードSなど)との関係
電力小売の自由化にともない、東京電力エナジーパートナーは従量電灯Bとは別に「スタンダードプラン」という自由料金プラン(電気需給約款にもとづくプラン)も提供しています。2026年8月時点で確認すると、契約10〜60Aのスタンダードプラン(同社が「スタンダードS」と呼ぶモデル)の基本料金・電力量料金の単価は、従量電灯Bと完全に同一です(10Aあたり311円75銭、電力量料金は29円80銭・36円40銭・40円49銭の3段階。2026年8月時点・同社公式)。
両者の実務上の違いは、燃料費調整額の扱いにあります。従量電灯Bのような規制料金プランでは、燃料費調整単価に基準燃料価格の1.5倍という上限が設定されていますが、スタンダードプランのような自由料金プランにはその上限がありません。燃料価格が大きく上昇した局面では、この上限の有無が実際の請求額の差として表れる可能性があります(2026年8月時点・同社公式)。契約プランの切り替え手順や他社比較の考え方は電力会社の切り替え方法とデメリットで整理しています。
まとめ
従量電灯Bは、契約アンペア別の基本料金と、120kWh・300kWhを境に単価が上がる3段階の電力量料金を組み合わせて計算する、東京電力エナジーパートナーの規制料金プランです。月300kWhという使用量が自分の世帯にとって多いのか少ないのかは、家族が増えて電気代がぐっと上がった気がしたらで紹介している世帯人数別の平均とも比べてみてください。基本料金・電力量料金の単価だけを見るとスタンダードSのような自由料金プランと変わらない場合もあるため、プランを検討する際は燃料費調整額の上限の有無まで含めて確認するのが確実です。




