電力会社の契約書類や検針票で「従量電灯B」という文字を目にしても、基本料金と電力量料金がどう組み合わさって毎月の金額になっているのかは、意外とわかりにくいものです。従量電灯Bとは何を指すプランで、料金はどのような計算式で決まっているのでしょうか。
この記事の要点
- 従量電灯Bは、電力小売自由化前から続く「特定小売供給約款」にもとづく規制料金プランで、契約は原則10〜60A(東京電力エナジーパートナー。2026年10月時点・同社公式)
- 料金は「基本料金(契約アンペア別の固定額)」+「電力量料金(120kWh・300kWhを境に単価が上がる3段階の従量制)」+再エネ賦課金・燃料費調整額の合計で決まる(同社公式)
- 東京電力エナジーパートナーは2026年11月1日から、託送料金の見直しを反映して従量電灯Bの基本料金・電力量料金を改定する(30A契約の基本料金は935円25銭から1,176円18銭。届出は2026年9月29日・同社公式)
- 公式モデル(30A・260kWh)の電力量料金が8,672円と7,286円20銭の2通りで出るのは、燃料費調整額を含むかどうかの違い。改定による増額は「80円31銭×(アンペア÷10)+5銭×使用量」で自分の分を出せる(同社公式の料金表にもとづく計算)
- 2026年10月時点、東京電力エナジーパートナーの自由料金プラン「スタンダードS」は基本料金・電力量料金の単価が従量電灯Bと同一(11月1日からの改定後も同一)。両者の実務上の違いは燃料費調整額の上限の有無にある(同社公式)
従量電灯Bとは — 規制料金プランのひとつ
東京電力エナジーパートナーによると、従量電灯Bは「特定小売供給約款」にもとづく料金プランで、いわゆる規制料金(経過措置料金)にあたります。契約の大きさは原則として10〜60Aの範囲で契約者本人の申し出により決まり、ご家庭の照明・コンセントなどの契約に幅広く使われる、従来からある標準的なプランと案内されています。60Aを上回る契約は、容量をkVA単位で表す従量電灯Cになります(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。契約アンペアの目安の考え方はブレーカーが落ちた夜に考える、契約アンペアの選び方で解説しています。
基本料金 — 契約アンペア別の固定額
基本料金は、契約アンペアの大きさに応じて決まる、使用量にかかわらず毎月発生する金額です(税込・1か月)。東京電力エナジーパートナーは、託送料金の見直しを反映するため、2026年11月1日から基本料金を改定します(2026年9月29日に特定小売供給約款の変更を届出。2026年10月時点・同社公式)。
| 契約アンペア | 2026年10月31日まで(税込) | 2026年11月1日から(税込) |
|---|---|---|
| 10A | 311円75銭 | 392円06銭 |
| 15A | 467円63銭 | 588円10銭 |
| 20A | 623円50銭 | 784円12銭 |
| 30A | 935円25銭 | 1,176円18銭 |
| 40A | 1,247円00銭 | 1,568円24銭 |
| 50A | 1,558円75銭 | 1,960円30銭 |
| 60A | 1,870円50銭 | 2,352円36銭 |
まったく電気を使用しない場合は、基本料金が半額になります(2026年10月時点・同社公式)。
電力量料金 — 120kWh・300kWhを境に上がる3段階
電力量料金は、使用した電力量(kWh)に応じて計算します。従量電灯Bでは、使用量が増えるほど単価が上がる3段階の料金体系が採用されています(税込・1kWh)。電力量料金の単価も、基本料金と同じく2026年11月1日から改定されます。
| 区分 | 使用量 | 2026年10月31日まで | 2026年11月1日から |
|---|---|---|---|
| 第1段階料金 | 最初の120kWhまで | 29円80銭 | 29円85銭 |
| 第2段階料金 | 120kWhを超え300kWhまで | 36円40銭 | 36円45銭 |
| 第3段階料金 | 300kWhを超過する分 | 40円49銭 | 40円54銭 |
このほか、基本料金と電力量料金の合計が最低月額料金を下回る場合に適用される下限として、最低月額料金が1契約あたり328円08銭(2026年10月31日まで)設定されています。2026年11月1日からは368円64銭に改定されます。下回る月は、この最低月額料金と再エネ賦課金の合計が料金になります(2026年10月時点・同社の特定小売供給約款)。
計算例 — 月300kWh使うと、いくらになる?
契約30A・使用量300kWhのケースで、基本料金と電力量料金を分解します。300kWhはちょうど第2段階の上限にあたるため、第3段階(300kWh超過分)は発生しません(2026年10月時点・同社公式にもとづく計算)。まず、2026年10月31日までの現行料金で計算します。
- 基本料金(30A): 935円25銭
- 電力量料金(第1段階): 120kWh × 29円80銭 = 3,576円
- 電力量料金(第2段階): 180kWh × 36円40銭 = 6,552円
- 電力量料金(第3段階): 0kWh × 40円49銭 = 0円
- 電力量料金 小計: 10,128円
- 基本料金+電力量料金: 11,063円25銭
第3段階まで確認するために、350kWh使った場合も見てみます。
- 電力量料金(第1〜2段階は上記と同じ): 10,128円
- 電力量料金(第3段階): 50kWh × 40円49銭 = 2,024円50銭
- 電力量料金 小計: 12,152円50銭
- 基本料金+電力量料金: 13,087円75銭
2026年11月1日からの改定後の単価で同じ計算をすると、次のようになります(2026年10月時点・同社公式の改定後単価にもとづく計算)。
- 300kWhの場合: 基本料金(30A)1,176円18銭+電力量料金(120kWh×29円85銭=3,582円、180kWh×36円45銭=6,561円の計10,143円)=11,319円18銭
- 350kWhの場合: 基本料金(30A)1,176円18銭+電力量料金(10,143円+50kWh×40円54銭=2,027円の計12,170円)=13,346円18銭
同じ使用量で、基本料金と電力量料金の合計は300kWhで255円93銭(11,063円25銭から11,319円18銭)、350kWhで258円43銭(13,087円75銭から13,346円18銭)増えます。
ここに、再エネ賦課金(2026年度は1kWhあたり4.18円。300kWhなら1,254円)と、燃料価格の変動に応じて毎月加算・差し引きされる燃料費調整額を合算すると、実際の請求額になります。燃料費調整額と再エネ賦課金のしくみそのものは検針票の「燃料費調整額」に目が留まったらで解説しています。
公式モデル(30A・260kWh)の「電力量料金」には2つの数字がある
東京電力エナジーパートナー公式の「従量電灯B・30A契約・使用量260kWh」のモデルでは、電力量料金が8,672円と7,286円20銭の2通りで出てきます。違いは燃料費調整額を含むかどうかです(2026年10月時点・同社公式の2026年9月29日発表と燃料費調整のお知らせ)。
- 8,672円: 単価だけで計算した電力量料金です。29円80銭×120kWh+36円40銭×140kWh=3,576円+5,096円=8,672円
- 7,286円20銭: 8,672円に、2026年11月分の燃料費調整額(−5円33銭/kWh×260kWh=−1,385円80銭)を加えた額です。8,672円−1,385円80銭=7,286円20銭。2026年9月29日の発表は、このように燃料費調整額を含めた形で「電力量料金」を示しています(発表は内訳を明記していませんが、数字はこの計算と一致します)
同じ計算を2026年11月1日からの単価で行うと、29円85銭×120kWh+36円45銭×140kWh=3,582円+5,103円=8,685円、燃料費調整額を加えて8,685円−1,385円80銭=7,299円20銭になり、発表の数字と一致します。
| 30A・260kWh(2026年11月分の燃料費調整単価−5円33銭で計算) | 現行単価 | 2026年11月1日からの単価 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 935円25銭 | 1,176円18銭 |
| 電力量料金(単価のみ) | 8,672円 | 8,685円 |
| 燃料費調整額(−5円33銭×260kWh) | −1,385円80銭 | −1,385円80銭 |
| 再エネ賦課金(公式モデルの額) | 1,086円 | 1,086円 |
| 合計(円未満切り捨て) | 9,307円 | 9,561円(254円増) |
(燃料費調整額と再エネ賦課金を含む合計は、東京電力エナジーパートナー公式の発表の数字です。上の内訳は発表の数字から逆算したもので、単価だけの8,672円・8,685円は上の計算式によります)
燃料費調整額は毎月変わるため、−1,385円80銭は2026年11月分の単価で計算した一例です。たとえば国の電気・ガス料金支援の値引き(2026年10月分は3円50銭/kWh)が入る月や、燃料価格が上がってプラスになる月は、合計が変わります。
11月1日の改定で、自分はいくら増える? — 契約アンペアと使用量から出す
改定による増額は、基本料金の差(10Aあたり80円31銭)と、電力量料金の全段階一律の5銭/kWhの値上げの合計です。使用量が増えても第1〜3段階すべてが5銭上がるだけなので、増額の大半は契約アンペアで決まります(2026年10月時点・同社公式の料金表にもとづく計算)。
増額(円)= 80円31銭 ×(契約アンペア÷10)+ 5銭 × 使用量(kWh)
| 契約アンペア | 100kWh | 260kWh | 400kWh |
|---|---|---|---|
| 20A | 約166円 | 約174円 | 約181円 |
| 30A | 約246円 | 約254円 | 約261円 |
| 40A | 約326円 | 約334円 | 約341円 |
| 50A | 約407円 | 約415円 | 約422円 |
(税込、基本料金と電力量料金の単価差のみ。燃料費調整額と再エネ賦課金の増減は含みません。30A・260kWhは公式発表の254円増と一致します)
なお、検針期間が11月1日をまたぐ月は、新旧の料金を日割りした合計で請求されます(2026年10月時点・同社公式の燃料費調整のお知らせ)。11月検針分の全額が新料金になるとは限りません。
従量電灯A・Cとの違い
東京電力エナジーパートナーの料金計算式一覧には、従量電灯Bのほかに従量電灯A・従量電灯Cも掲載されています(2026年10月時点・同社公式)。以下、現行は2026年10月31日まで、改定後は2026年11月1日からの金額です。
- 従量電灯A: 基本料金という固定額の枠がなく、最低料金制です。使用量が8kWh以下なら最低料金328円08銭のみ、9kWh以上使うと「328円08銭+29円80銭×(使用量−8kWh)」で計算されます(現行)。2026年11月1日からは最低料金が368円64銭、超過分の単価が29円85銭に改定されます。従量電灯Bのプラン紹介ページには従量電灯Aの契約案内はなく、料金計算式の一覧にのみ記載がある点も確認できます
- 従量電灯C: 6kVA以上の契約が対象です。基本料金は311円75銭×契約容量(kVA)で、電力量料金の3段階の単価(29円80銭・36円40銭・40円49銭)は従量電灯Bと同一です(現行)。2026年11月1日からは基本料金が392円06銭×契約容量(kVA)、電力量料金が29円85銭・36円45銭・40円54銭に改定されます
自由料金プラン(スタンダードSなど)との関係
電力小売の自由化にともない、東京電力エナジーパートナーは従量電灯Bとは別に「スタンダードプラン」という自由料金プラン(電気需給約款にもとづくプラン)も提供しています。2026年10月時点で確認すると、契約10〜60Aのスタンダードプラン(同社が「スタンダードS」と呼ぶモデル)の基本料金・電力量料金の単価は、従量電灯Bと完全に同一です(2026年10月31日までは10Aあたり311円75銭、電力量料金は29円80銭・36円40銭・40円49銭の3段階。2026年11月1日からは10Aあたり392円06銭、29円85銭・36円45銭・40円54銭の3段階で、改定後も同一。2026年10月時点・同社公式)。
両者の実務上の違いは、燃料費調整額の扱いにあります。従量電灯Bのような規制料金プランでは、燃料費調整単価の算定に使う平均燃料価格に、基準燃料価格の1.5倍という上限が設定されており、これを上回る部分は調整に反映されません。スタンダードプランのような自由料金プランにはその上限がありません(2026年9月28日時点・同社公式「燃料費調整制度とは」)。燃料価格が大きく上昇した局面では、この上限の有無が実際の請求額の差として表れる可能性があります(2026年10月時点・同社公式)。契約プランの切り替え手順や他社比較の考え方は電力会社の切り替え方法とデメリットで整理しています。
従量電灯Bのまま使うか、電力会社を見直すか
従量電灯Bは規制料金プランのため、燃料費調整単価の算定に使う平均燃料価格に、基準燃料価格の1.5倍という上限があります。一方で、単価だけを見るとスタンダードSのような自由料金プランと変わらない場合もあります。この条件の違いを踏まえると、見直しを検討する余地がある人と、今のままでよい人に分かれます。
- 見直しを検討する余地がある人: 使用量が多く第3段階(300kWh超・現行40円49銭、2026年11月1日から40円54銭)の対象になる分が大きい家庭は、料金体系の異なる他社プランと比較してみる余地があります。比較する際は単価だけでなく、燃料費調整額に上限があるかどうかも確認すると、規制料金プランとの条件差が見えやすくなります
- 見直さなくてよい人: 燃料費調整額の上限を重視する人(燃料価格が大きく上昇した局面での負担増を抑えたい場合)は、単価が同一でも上限のない自由料金プランに切り替えることで調整額の負担が増える可能性があるため、従量電灯Bのままのほうが条件に合っている場合があります。使用量が少なく主に第1段階(120kWh以下)に収まる家庭も、単価差そのものの影響は相対的に小さくなります
比較する場合は、契約中の電力会社のプランだけでなく、他社の料金プランや切り替え手続きの流れも確認しておくと判断しやすくなります。切り替えの具体的な手順は電力会社の切り替え方法とデメリット — 賃貸でもできる?で整理しています。契約・使い方・電力会社の3段で見直す優先順位は電気代を安くする方法 — 「使い方」「契約」「電力会社」の3段で、効果の大きさを公式の数字で確かめる、電力会社を比較する際の基準は電力会社の選び方 — 「おすすめ1位」ではなく、単価の構造・上限の有無・解約金で見る基準、冬に電気代が上がる理由は電気代はなぜ冬に上がる? — 使用量と単価、2つの要因を公式情報で整理で整理しています。
ここまでの式で自分の増額を出したあと、同じ契約アンペア・使用量で他社の料金とも見比べたい場合は、複数社を横断的に比較できるサービスもあります。広告ですが、使うかどうかは比較してから決めて構いません。
電気料金に含まれる託送料金の仕組みと2026年11月の見直しは託送料金とは — 2026年11月の見直しで電気料金に何が起きるのかを、公式発表で読むで、各社の料金見直しの発表は電気代の値上げ 2026年11月 — 大手電力10社の料金見直しを各社の公式発表で一覧にするで確認できます。
電気代の計算式や、定格消費電力・最大消費電力の違いは電気代の計算方法にまとめています。
よくある疑問
従量電灯Bとは何ですか?
従量電灯Bとは、東京電力エナジーパートナーが提供する電気料金プランのひとつで、電力の小売全面自由化前から続く「特定小売供給約款」にもとづく規制料金プランです。契約の大きさは原則10〜60Aの範囲で契約者本人の申し出により決まり、幅広い家庭向けの標準的なプランと位置づけられています。60Aを超える契約は、契約容量をkVA単位で表す従量電灯Cになります(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。
月300kWh使うと、基本料金と電力量料金はいくらになりますか?
契約30Aの場合、2026年10月31日までは基本料金935円25銭、電力量料金は最初の120kWhが29円80銭、120kWhを超え300kWhまでが36円40銭で、300kWhちょうどでは第3段階(300kWh超過分)は発生しません。120kWh×29円80銭+180kWh×36円40銭=10,128円で、基本料金と合わせると11,063円25銭です。2026年11月1日からは基本料金1,176円18銭、電力量料金は29円85銭・36円45銭(第3段階は40円54銭)に改定され、同じ300kWhで120kWh×29円85銭+180kWh×36円45銭=10,143円、基本料金と合わせると11,319円18銭です。ここに再エネ賦課金(2026年度は1kWhあたり4.18円、300kWhで1,254円)と、月ごとに変動する燃料費調整額が加減算されて実際の請求額になります(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式、経済産業省公式)。
従量電灯Bと自由料金プラン(スタンダードSなど)は何が違いますか?
東京電力エナジーパートナーの場合、2026年10月時点でスタンダードSの基本料金・電力量料金の単価は従量電灯Bと同一です(2026年10月31日までは契約10Aあたり311円75銭、電力量料金は29円80銭・36円40銭・40円49銭の3段階。2026年11月1日からは契約10Aあたり392円06銭、電力量料金は29円85銭・36円45銭・40円54銭の3段階で、こちらも同一です)。実務上の違いは燃料費調整額の扱いにあります。従量電灯Bなど規制料金プランには、燃料費調整単価の算定に使う平均燃料価格に基準燃料価格の1.5倍という上限がありますが、スタンダードSなど自由料金プランにはその上限がありません。燃料価格が大きく上昇した局面では、この上限の有無が請求額の差につながる可能性があります(2026年10月時点・同社公式)。
公式モデルの電力量料金が8,672円と7,286円20銭の2通りあるのはなぜですか?
30A・260kWhのモデルで、8,672円は単価だけで計算した電力量料金(29円80銭×120kWh+36円40銭×140kWh)、7,286円20銭はそこに2026年11月分の燃料費調整額(−5円33銭×260kWh=−1,385円80銭)を加えた額で、差は燃料費調整額の有無です。2026年11月1日からの単価では、同じ計算で8,685円と7,299円20銭になり、再エネ賦課金1,086円を加えた合計は現行9,307円・改定後9,561円(254円増)です(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式の2026年9月29日発表にもとづく計算)。
まとめ
従量電灯Bは、契約アンペア別の基本料金と、120kWh・300kWhを境に単価が上がる3段階の電力量料金を組み合わせて計算する、東京電力エナジーパートナーの規制料金プランです。月300kWhという使用量が自分の世帯にとって多いのか少ないのかは、家族が増えて電気代がぐっと上がった気がしたらで紹介している世帯人数別の平均とも比べてみてください。なお、基本料金・電力量料金の単価は2026年11月1日から改定されます(現行の30A基本料金935円25銭→1,176円18銭)。単価だけを見るとスタンダードSのような自由料金プランと変わらない場合もあるため、プランを検討する際は燃料費調整額の上限の有無まで含めて確認するのが確実です。
従量電灯Bと基本料金0円のプランを使用量別に試算した結果は、基本料金0円の電気は得か — 従量電灯Bと使用量別に試算で整理しています。




