ドライヤーで髪を乾かしながら、電子レンジで冷凍ご飯をあたためる。ふっと部屋の照明が消え、家中が静かになる。分電盤を開けると、大きなレバーが真ん中で止まっている。契約アンペアという言葉を初めて意識するのは、たいていこんな夜ではないでしょうか。
この記事の要点
- 契約アンペアは「同時に使える電気の量」を表す数字で、電気料金の「基本料金」は契約アンペアの大きさに応じて決まります(東京電力エナジーパートナー従量電灯Bでは30A935円25銭・40A1,247円など。2026年8月時点・同社公式)
- 目安は「同時に使う家電のアンペアの合計」。東京電力エナジーパートナー公式の計算例では、エアコン・冷蔵庫・照明・電子レンジ・炊飯器・テレビを同時に使うと合計約44A、この場合の目安は50Aとされています(2026年8月時点・同社公式)
- 変更手続きは多くの場合無料で、Webから申し込めます(宅内の設備状況により電話での手続きや工事費がかかる場合があります)。契約から1年間は変更できず、電力会社によっては契約アンペアという仕組み自体がない場合もあります(2026年8月時点・東京電力エナジーパートナー公式ほか)
契約アンペアとは? — 基本料金を決める「同時に使える電気の量」
契約アンペア(契約容量)とは、家庭で同時に使用できる電気の量を表す数値で、電力会社との契約時に決める容量のことです。数字が大きいほど、一度に使える電気の量が増えます(2026年8月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。
東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bでは、契約の大きさは原則として10〜60Aの範囲で契約者本人の申し出により決まります(60Aを超える契約は従量電灯Cという別区分になり、kVA単位の契約になります)。つまり選べる幅は、10A・15A・20A・30A・40A・50A・60Aの7段階です。この中から、自分の暮らしに合う一段を選ぶことになります。
契約アンペアが大きいほど基本料金(使用量にかかわらず毎月固定でかかる部分)も上がります。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bにおける契約アンペア別の基本料金(税込・1か月)は次の通りです(2026年8月時点・同社公式)。
| 契約アンペア | 基本料金(税込・1か月) |
|---|---|
| 10A | 311円75銭 |
| 15A | 467円63銭 |
| 20A | 623円50銭 |
| 30A | 935円25銭 |
| 40A | 1,247円00銭 |
| 50A | 1,558円75銭 |
| 60A | 1,870円50銭 |
10Aから40Aに上げると基本料金は約4倍(311円75銭→1,247円)になりますが、これは電気の「使いやすさの上限」を広げる分の料金であり、実際に使った電力量にかかる電力量料金は別に計算されます。電気代全体の内訳(基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金)は一人暮らしの電気代、平均との比べ方と見直しの順番で整理しています。この基本料金は検針票にも記載されている項目のひとつです。検針票の各項目の読み方は検針票の「燃料費調整額」に目が留まったら — 電気代の内訳と再エネ賦課金の読み方で解説しています。
現在の契約アンペアは、分電盤のアンペアブレーカーの色と数字で確認できます(東京電力エナジーパートナーの場合、10A=赤・15A=桃・20A=黄・30A=緑・40A=灰・50A=茶・60A=紫)。ブレーカーが見当たらない場合は、検針票やWeb検針でも確認できます(2026年8月時点・同社公式)。
目安の考え方 — 同時に使う家電のアンペアを足し算する
契約アンペアの目安は、同時に使用する電気機器のアンペア数を合計して考えます。合計が契約アンペアを超えると、ブレーカーが落ちて電気が止まります(2026年8月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。電気機器の消費電力はワット数(W)で表示されていることが多く、アンペア数(A)への目安換算は「100Wで1A、1,000W(1kW)で10A」です(100Vの場合。2026年8月時点・同社公式)。
東京電力エナジーパートナー公式が示す、主な電気機器のアンペアの目安は次の通りです(2026年8月時点・同社公式。実際のワット数・アンペア数は各機器の取扱説明書で確認できます)。
| 家電 | アンペアの目安 |
|---|---|
| インバータエアコン(主に10畳用平均) | 冷房5.8A(立ち上がり時など最大14A)/暖房6.6A(同20A) |
| 冷蔵庫(450Lクラス) | 2.5A |
| 電子レンジ(30Lクラス) | 15A |
| IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時) | 13A |
| テレビ | 液晶42型2.1A/プラズマ42型4.9A |
| 掃除機 | 弱2A/強10A |
| ヘアードライヤー | 12A |
| アイロン | 14A |
| IHクッキングヒーター(200V) | 20〜30A(最大使用時58A) |
| 食器洗い乾燥機(100V卓上タイプ) | 13A |
| ドラム式洗濯乾燥機(洗濯・脱水容量9kg) | 洗濯時2A/乾燥時13A |
| 電気カーペット(3畳用) | 半面4A/全面8A |
東京電力エナジーパートナー公式が示す計算例では、冬の夕方にキッチンと居間で電気を使っているとき、インバータエアコン(暖房6.6A)・冷蔵庫(2.5A)・照明の合計(2A)・電子レンジ(15A)・IHジャー炊飯器(13A)・テレビ(プラズマ42型4.9A)を同時に使うと合計44.0Aとなり、この場合の目安は50Aとされています(2026年8月時点・同社公式)。1年を通じてもっとも多くの電気機器を同時に使う場面(多くの場合は夕食どき)を基準に考えるのがポイントです。
変更手続きはどうする? — 多くの場合、無料でWeb申し込み
契約アンペアの変更は、契約中の電力会社の「契約内容変更手続き」のページからWebで申し込めます(宅内の設備状況によってはWebで完結せず、カスタマーセンターへの連絡が必要な場合があります)。東京電力エナジーパートナーの場合、次の点が公式に案内されています(2026年8月時点・同社公式)。
- 費用: 通常、契約アンペアの変更自体に費用はかかりません。ただし、アンペアブレーカーが取り付けられていないなど電気工事が必要な場合は、工事費用を負担するケースがあります
- 立会い: 原則、スマートメーターを設置している場合はお客さまの立会いは不要です。ただし、設備の状況によっては立会いが必要になる場合があります
- 料金の精算: 基本料金は、アンペア変更となった日から日割りで精算されます
- 変更できるタイミング: 電気の契約は年間契約が基本のため、契約開始後1年間は変更できません
実際の申し込み先や費用の負担、スマートメーターでの遠隔変更の可否など、手続きの詳しい流れは契約アンペアを変更したいと思ったら — どこに連絡する?費用は?工事は必要?で整理しています。
契約アンペアの見直しは、電力会社を変えなくても、今の契約のまま多くの場合無料でできる手続きです(設備状況により工事費がかかる場合があります)。契約アンペアや料金プランを見直したら、世帯人数別の電気代の目安と比べてみるのもおすすめです。詳しくは家族が増えて電気代がぐっと上がった気がしたら — 世帯人数別の電気代平均と比べ方で整理しています。
注意点 — 下げすぎ・季節限定・アンペア制でないプラン
- 下げすぎに注意: 契約アンペアが大きければ同時に使用できる電気量は増えますが、小さい場合は契約アンペアを超えるとブレーカーが落ちてしまいます。使用実態より小さく下げすぎると、日常的にブレーカーが落ちやすくなる可能性があります
- 季節限定の変更はできない: 夏や冬だけ一時的にアンペアを大きくする、といった運用は少なくとも東京電力エナジーパートナーでは案内されていません。年間契約が基本のため、1年を通じてもっとも電気を使うときを基準に選ぶ必要があります
- 契約種別によってはアンペア制でない場合がある: 東京電力エナジーパートナーの従量電灯B・Cはアンペア(A)で契約容量を表しますが、電力会社やエリアによっては仕組みが異なります。たとえば関西電力の従量電灯Aには基本料金がなく、最初の15kWhまで一律の最低料金(522円58銭、2026年8月時点・関西電力公式)を設定する「最低料金制」で、契約は同時に使用する電気の最大容量(最大需要容量6kVA未満)を基準にしています。契約先の電力会社・プランの仕組みは公式サイトで確認するのが確実です
なお、契約アンペアを下げても、実際に使用した分にかかる電力量料金自体は変わりません。基本料金と電力量料金の関係は一人暮らしの電気代、平均との比べ方と見直しの順番で整理しています。
実際にブレーカーが落ちてしまった場合は、分電盤のどの種類のブレーカーが落ちたかによって原因の見当がつきます。アンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーの見分け方と対処手順はブレーカーが落ちる原因 — どのブレーカーが落ちたかで分かる切り分け手順で整理しています。
アンペアを見直すタイミングで、電力会社もあわせて検討するなら
契約アンペアの変更は今の電力会社のままでも申し込めますが、見直しのタイミングは電力会社を比較検討するきっかけにもなります。
よくある疑問
契約アンペアは、今どのくらいか自分で確認できますか?
分電盤にあるアンペアブレーカーの色と数字で確認できます。東京電力エナジーパートナーの場合、ブレーカーの色は10A=赤、15A=桃、20A=黄、30A=緑、40A=灰、50A=茶、60A=紫に対応しています。ブレーカーが見当たらない場合や色が分からない場合は、検針票(電気ご使用量のお知らせ)やWeb検針でも契約アンペアを確認できます(2026年8月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。
契約アンペアを変更すると、費用はかかりますか?
通常、契約アンペアの変更自体に費用はかかりません。ただし、アンペアブレーカーが取り付けられていないなど電気工事が必要な場合は、工事費用を負担するケースがあります(2026年8月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。
夏や冬だけ、一時的に契約アンペアを大きくすることはできますか?
東京電力エナジーパートナーでは案内されていません。電気の契約は年間契約が基本のため、契約開始から1年間は変更できず、季節ごとに上げ下げする運用はできない前提で選ぶ必要があります。東京電力エナジーパートナーは、1年を通じてもっとも電気を使うとき(夕食どきに家電を多く使う、冷房を使う夏、暖房機器を使う冬など)を想定してアンペア数を選ぶよう案内しています(2026年8月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。
まとめ
契約アンペアは、基本料金という「毎月固定でかかる部分」の大きさを決める数字です。10Aから60Aまでの7段階から、1年を通じてもっとも多くの家電を同時に使う場面を基準に選ぶのが、公式に案内されている考え方です。変更そのものは多くの場合無料でオンライン完結しますが、契約から1年間は変更できない点、下げすぎるとブレーカーが落ちやすくなる点には注意が必要です。次にブレーカーが落ちた夜には、分電盤の数字を確認するところから始めてみてください。




