リビングの主役として、家族が集まる時間帯はほぼ点きっぱなしというお宅も多いテレビ。大画面化・高画質化が進む一方で、「うちのテレビの電気代は、いったいどのくらいなのか」という素朴な疑問には、なかなか答えにくいものです。カタログの年間消費電力量は1日5.1時間視聴という前提つきの数字で、そのまま自宅に当てはまるとは限りません。サイズ別・パネル方式別の年間額を計算したうえで、自宅の視聴時間に合わせて直す方法まで整理します。
この記事の要点
- テレビの電気代は「年間消費電力量(kWh/年)×31円/kWh」で計算できます。省エネ性能カタログ2025年版の掲載機種を集計すると、32V型(液晶)で61kWh/年(約1,891円)、55V型(液晶)で157kWh/年(約4,867円)、65V型(有機EL)で229kWh/年(約7,099円)でした(2026年10月時点・同庁公式カタログにもとづく本記事集計)
- 年間消費電力量は「1日5.1時間視聴」の動作分に、残りの時間の待機分(約6,899時間)などを足した値です。「年間値÷視聴時間」は動作1時間の費用ではなく、待機分込みの按分値です(2026年10月時点・消費者庁公式の算出式)
- 自宅の視聴時間が1日2時間なら年額は目安の4割強、12時間なら2倍強になります。有機ELと液晶の年間差も、55V型で2時間なら約350円、12時間なら約2,100円と、視聴時間で大きく変わります
年間の電気代はどう計算する? — 年間消費電力量×31円/kWh
テレビのカタログや店頭の統一省エネラベルには「年間消費電力量」という数値が表示されています。省エネ性能カタログ2025年版では、一般家庭での1日1台あたりの平均視聴時間5.1時間を基準に算出した値とされています(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式)。ここに、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月22日改定)を掛けると、年間の電気代の目安が計算できます(2026年10月時点・同協議会公式)。
年間消費電力量(kWh/年) × 31円/kWh = 年間の電気代の目安
なお、カタログの一覧に載っている「年間の目安電気料金」は27円/kWhで計算されているため、本記事の31円/kWhで計算した額とは一致しません(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式カタログ)。
冷蔵庫の電気代も同じ計算式で目安を出せます。容量別・年式別の額は冷蔵庫の電気代は年間いくら? — 容量別・年式別の年間消費電力量から計算するで整理しています。
サイズ・パネル方式別に見る年間消費電力量
資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2025年版」のテレビ・省エネ性能一覧には、掲載されている全機種の型番ごとに年間消費電力量が公表されています。このうち代表的なサイズ(32V/43V/55V/65V)の機種を本記事で単純平均すると、次のようになりました。本集計はカタログ掲載機種の単純平均(販売台数による加重なし・小数点以下四捨五入)で、パネル方式はカタログの区分に従いました。
| サイズ・パネル方式 | 年間消費電力量(掲載機種平均) | 年間の電気代(目安) |
|---|---|---|
| 32V型(液晶) | 61kWh/年 | 約1,891円 |
| 43V型(液晶) | 124kWh/年 | 約3,844円 |
| 55V型(液晶) | 157kWh/年 | 約4,867円 |
| 55V型(有機EL) | 186kWh/年 | 約5,766円 |
| 65V型(液晶) | 198kWh/年 | 約6,138円 |
| 65V型(有機EL) | 229kWh/年 | 約7,099円 |
(出典: 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2025年版」テレビ・省エネ性能一覧に掲載された機種データから、本記事が該当サイズの機種[32V型は「2K未満」区分の40機種・43V型は「4K」区分の33機種・55V型は液晶40機種/有機EL26機種・65V型は液晶44機種/有機EL29機種]を単純平均。2026年10月時点)
32V型は、同カタログの分類上「2K未満」(フルHD非対応)のモデルが大半を占めており、上表の61kWh/年もこの区分の平均です。フルHD対応の32V型(5機種)に限ると、平均72kWh/年とやや高くなります。サイズが大きくなるほど年間消費電力量が増える傾向は液晶・有機ELとも共通していますが、同じサイズで比べると有機ELの方が液晶より高く、55V型・65V型のいずれも有機ELは液晶の約1.2倍でした。
パネル方式の差より、機種ごとの差の方が大きい
平均値だけを見ると「有機ELは液晶より年30kWh前後多い」ように見えますが、同じ区分の中の幅はそれより広く開いています。同カタログの掲載機種で、画素数などの区分を含めた最小〜最大は次のとおりでした(本記事集計・2026年10月時点)。
| サイズ・パネル方式 | 掲載機種の最小〜最大 | 最大と最小の差 |
|---|---|---|
| 55V型(液晶) | 114〜238kWh/年 | 124kWh/年(約3,844円) |
| 55V型(有機EL) | 122〜252kWh/年 | 130kWh/年(約4,030円) |
| 65V型(液晶) | 122〜329kWh/年 | 207kWh/年(約6,417円) |
| 65V型(有機EL) | 146〜330kWh/年 | 184kWh/年(約5,704円) |
55V型で見ると、液晶と有機ELの平均差(29kWh/年)の4倍以上が、同じ液晶の中の機種差です。液晶か有機ELかで迷っている場合も、候補に挙げた機種それぞれの年間消費電力量をカタログ一覧で比べる方が、電気代の差をつかめます。ただし、この幅には画素数(2K・4K・8K)や付加機能の違いも含まれており、機種差のすべてが省エネ性能の差というわけではありません。
「つけっぱなし」1時間はいくら? — 年間値を視聴時間で割るときの注意
上の年間消費電力量を「1日5.1時間」で割れば1時間あたりの費用が出る、と考えたくなりますが、そのまま割ると少し高めに出ます。年間消費電力量の算出式(電気機械器具品質表示規程)は、録画機能を内蔵していないテレビの場合、次の形です(2026年10月時点・消費者庁公式)。
E = {(動作時消費電力 − 節電機能による低減分÷4)×1,861.5時間 + EPG取得時の電力×取得時間 + 待機時消費電力×(6,898.5時間 − 取得時間)}÷1,000
1,861.5時間は365日×5.1時間、6,898.5時間は残りの時間(1日18.9時間分)です。つまり年間消費電力量には、テレビを見ていない時間の待機分と、番組表(EPG)データの取得分が含まれています。録画装置を内蔵したテレビは時間の区切りが異なる式(1,715.5時間・146時間・146時間・6,752.5時間)が使われ、録画時の電力も加わります。
そのため、「年間値÷1,861.5時間」は動作1時間の費用そのものではなく、待機分などを視聴時間に上乗せして均した値になります。本記事の表の「つけっぱなし1時間」は、この按分値です。
| サイズ・パネル方式 | 年間値を視聴1時間に均した目安(待機分込み) | 待機分を1Wと仮定して除いた場合 |
|---|---|---|
| 32V型(液晶) | 約1.0円 | 約0.9円 |
| 43V型(液晶) | 約2.1円 | 約2.0円 |
| 55V型(液晶) | 約2.6円 | 約2.5円 |
| 55V型(有機EL) | 約3.1円 | 約3.0円 |
| 65V型(液晶) | 約3.3円 | 約3.2円 |
| 65V型(有機EL) | 約3.8円 | 約3.7円 |
(前掲の年間消費電力量を1,861.5時間で割り、31円/kWhを掛けた目安。右列は待機時消費電力を1Wと仮定して年6.9kWhを除いた試算です。待機時消費電力は機種別の値がカタログ一覧に載っていないため、1Wは仮定であり、実際の機種の値ではありません。2026年10月時点)
待機分は1Wあたり年6.9kWh弱(約210円)です。待機を1Wと仮定した場合、年間値に占める待機分は32V型で約11%、43V型で約6%、55V型・65V型で3〜4%です。大型ほど按分値と動作分の差は小さく、小型の32V型は元の値が小さいぶん、差の割合が大きくなります。なお、動作時の本当の1時間の費用は、機種ごとの動作時消費電力(W)÷1,000×31円で求められますが、この値はカタログ一覧には載っていません。
自宅の視聴時間で直す — 年額と、有機ELとの差が開く条件
年間消費電力量は1日5.1時間の場合の値です。自宅の視聴時間が違うときは、前節の算出式と同じく、動作時間が変われば待機時間もその分だけ逆に変わるものとして計算し直します。
年間消費電力量の目安(kWh) = (カタログの年間消費電力量 − 6.9)×(自宅の1日の視聴時間h ÷ 5.1)+ 1×365×(24 − h)÷1,000(最後に31円/kWhを掛ける)
これは録画機能を内蔵しない機種で、待機時消費電力を1Wと仮定した近似式です(6.9は、1Wの待機が年6,898.5時間続いた分のkWh)。待機時消費電力が1Wでない機種に当てはめるなら、6.9 を「待機時消費電力(W)×6,898.5÷1,000」に、末尾の 1 をその機種の待機時消費電力(W)に置き換えます。番組表(EPG)の取得分は分けずに動作分へ含めています。
動作時・待機時の消費電力は機種別の値がカタログ一覧に載っていないため、下の表は次の仮定での計算例です。待機時消費電力は1W(5.1時間のときの待機分が年6.9kWh)、番組表(EPG)の取得分は無視して動作分に含め、動作時の消費電力は視聴時間によらず一定とします。実際の画面の明るさや映像の内容、録画の有無で変わります。5.1時間の列は、前掲の表と同じ値です。
| サイズ・パネル方式 | 1日2時間 | 1日5.1時間 | 1日8時間 | 1日12時間 |
|---|---|---|---|---|
| 55V型(液晶) | 約2,070円 | 4,867円 | 約7,480円 | 約11,080円 |
| 55V型(有機EL) | 約2,430円 | 5,766円 | 約8,890円 | 約13,200円 |
| 65V型(液晶) | 約2,570円 | 6,138円 | 約9,470円 | 約14,070円 |
| 65V型(有機EL) | 約2,950円 | 7,099円 | 約10,980円 | 約16,340円 |
この表から、読者の状況ごとに次のように読み分けられます。
- 夜に2時間ほど見る程度: 年額は目安の4割強にとどまります。有機ELと液晶の差も55V型で約350円、65V型で約380円です。電気代だけを理由に液晶を選ぶ意味は小さくなります
- ほぼ5時間前後: 有機ELとの差は55V型で約900円、65V型で約960円です。差額を、本体価格の差や画質の好みと並べて判断できます
- 在宅が多く、8〜12時間つけている: 有機ELとの差は55V型で約1,400〜2,100円、65V型で約1,500〜2,260円まで開きます。さらに、機種ごとの差(前節)の方が効く場面でもあり、候補機種の年間消費電力量の比較が有効です
有機ELと液晶の差は、上の式を機種ごとに適用した額の差で、待機分は両者とも同じ1Wと仮定しているため、年間消費電力量の差(55V型29kWh、65V型31kWh)に「視聴時間÷5.1」と31円/kWhを掛けた値と一致します。
待機電力と電源の切り方
待機電力については、省エネ性能カタログ2025年版が次の順で案内しています(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式)。
- 見ていないテレビは、リモコンで電源OFFにする
- ゲームで使用したあとは、終わったらテレビ画面を消す
- 旅行などで長期間使用しないときは、本体の主電源でOFFにするか電源プラグを抜く(リモコン信号を受けるための待機時電力を節約できる。同カタログは「微量」と表現しています)
リモコンで電源を切った状態が、算出式でいう「待機時」にあたります(リモコンで電源を入れられる状態の消費電力)。主電源やプラグで減らせるのは、この待機分だけです。上で見たとおり待機時消費電力1Wにつき年6.9kWh弱(約210円)が上限の目安で、視聴中の消費電力量と比べて小さな割合です。一方で、主電源をOFFにすると、番組表などデジタル放送で送られる情報が自動ダウンロードできなくなる機種や、録画機能内蔵テレビで予約録画ができなくなる機種があります。日常の切り方はリモコンのOFF、長く使わないときだけ主電源かプラグ、というのが同カタログの案内です。ただし、主電源OFFの扱い(再起動までの時間、番組表の更新、予約録画の可否など)は機種によって違うため、実際の使い方は取扱説明書に従ってください。家庭全体の待機電力が電気代に占める割合や、機器ごとの現実的な対処法は夜、家電の待機ランプが並んで光っているのに気づいたら — 待機電力は電気代の何%?資源エネルギー庁データで見る現実的な削り方で詳しく整理しています。
画面の明るさ設定で節電できること
視聴時間そのものを減らさなくても、画面の設定を見直すことで消費電力量を抑えられます。省エネ性能カタログ2025年版には、32V型の液晶テレビで画面の輝度を「最大」から「中間」に変更した場合、年間で27.10kWhの省エネになるという実測値が載っています。31円/kWhで換算すると、年間約840円の節約に相当します(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式、データは一般財団法人省エネルギーセンターの実測値。同ページには視聴時間などの前提の記載がありません。カタログ上の節約額は27円/kWhで約730円と表示されています)。
このほか、最近の機種には部屋の明るさに合わせて画面の明るさを自動調整する「明るさセンサー」などの省エネ機能が搭載されています。名称や設定方法はメーカーによって異なるため、取扱説明書で確認するとよいでしょう(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式)。家庭全体の電気代の中でテレビがどのくらいの割合を占めるかを確かめたい場合は、家族が増えて電気代がぐっと上がった気がしたら — 世帯人数別の電気代平均と比べ方で紹介している世帯人数別の平均額と照らし合わせると目安がつかめます。
テレビと合わせて使うことの多いパソコンやゲーム機の電気代はパソコンの電気代は1時間いくらか・PS5の電気代は1時間いくらかで確認できます。
よくある疑問
テレビの電気代は年間いくらですか?
計算式は「年間消費電力量(kWh/年)×31円/kWh」です(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価。2026年10月時点・同協議会公式)。省エネ性能カタログ2025年版に掲載されている機種の年間消費電力量をサイズ別に集計すると、32V型(液晶)で61kWh/年(約1,891円)、43V型(液晶)で124kWh/年(約3,844円)、55V型で液晶157kWh/年(約4,867円)・有機EL186kWh/年(約5,766円)、65V型で液晶198kWh/年(約6,138円)・有機EL229kWh/年(約7,099円)でした。ただしこの値は1日5.1時間視聴の場合の目安で、視聴時間が違えば変わります(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式カタログ掲載機種にもとづく本記事集計)。
液晶と有機ELではどちらが電気代が高いですか?
同カタログの掲載機種で比べると、同じサイズでは有機ELの方が年間消費電力量が大きい傾向があります。55V型では液晶157kWh/年に対し有機EL186kWh/年、65V型では液晶198kWh/年に対し有機EL229kWh/年で、差は年29〜31kWh(約900〜960円)でした。ただし同じ区分の中でも機種ごとの差が大きく、55V型の液晶は114〜238kWh/年に広がっています。パネル方式の差より機種ごとの差の方が大きいため、購入時は候補機種自身の年間消費電力量を見るのが確実です(2026年10月時点・資源エネルギー庁公式カタログにもとづく本記事集計)。
テレビをつけっぱなしにすると1時間いくらかかりますか?
年間消費電力量には待機分なども含まれるため、「年間値÷視聴時間」は動作1時間の費用そのものではなく、待機分込みの按分値です。この按分値は、32V型(液晶)で約1.0円、43V型(液晶)で約2.1円、55V型で液晶約2.6円・有機EL約3.1円、65V型で液晶約3.3円・有機EL約3.8円でした。待機時消費電力を1Wと仮定して待機分を除くと、それぞれ0.1円前後小さくなります。待機時消費電力は機種別の値をカタログ一覧で確認できないため、仮定の計算です(2026年10月時点・消費者庁の算出式にもとづく本記事の試算)。
テレビの待機電力は主電源を切ると減らせますか?
減らせるのは待機分だけです。省エネ性能カタログ2025年版は、見ないときはリモコンで電源OFFにすること、旅行などで長く使わないときは本体の主電源をOFFにするか電源プラグを抜くことを案内しています。年間消費電力量の算出式では、待機時間を年約6,899時間(1日18.9時間分)としているため、待機時消費電力1Wにつき年6.9kWh弱(約210円)が上限の目安です。主電源を切ると番組表の自動取得や予約録画ができなくなる機種があります(2026年10月時点・資源エネルギー庁および消費者庁公式にもとづく本記事の試算)。
テレビの電気代を抑える方法のひとつ — 契約の見直し
本記事の31円/kWhは全国共通の目安単価で、実際の単価は契約や使用量によって違います。検針票の単価を使って「年間消費電力量×自宅の単価」で計算し直すと、自宅の額に近づきます。使い方を変えるだけで十分という方も、今の契約で納得している方もいます。その場合は読み飛ばして問題ありません。電気の契約そのものを見直したい方に向けて、比較の候補を挙げておきます。
まとめ
テレビの電気代は「年間消費電力量×31円/kWh」で目安を計算でき、カタログ掲載機種を集計すると32V型で年間約1,900円、65V型(有機EL)で年間約7,100円という幅がありました。ただし年間消費電力量は1日5.1時間視聴に待機分などを含む値なので、「年間値÷視聴時間」は動作1時間の費用ではなく待機分込みの按分値です。自宅の視聴時間が1日2時間なら年額は目安の4割強、12時間なら2倍強になり(待機時消費電力1W・EPG取得分は無視という仮定での試算)、有機ELと液晶の年間差(55V型で約350円〜約2,100円)も視聴時間で変わります。パネル方式の差より同じ区分の機種差の方が大きいため、購入時は候補機種自身の年間消費電力量を比べるのが確実です。画面の輝度を最大から中間にするだけでも、32V型の実測で年間800円台の節約になるため、買い替えを待たずにできる対策として試す価値があります。
ほかの家電の電気代も比べたい場合は、家電の電気代 早見表でまとめて確認できます。




