深夜、リビングを見渡すと、テレビの脇の小さなランプ、Wi-Fiルーター、レコーダーの時刻表示——使っていないはずの家電のあちこちが、静かに光っている。これって、電気代にどれくらい響いているのだろう。「主電源を切れ」「プラグを抜け」とはよく聞くけれど、どこまで本気でやるべきものなのか、判断がつきません。
この記事の要点
- 資源エネルギー庁が2012年度(平成24年度)に実施した全国調査によると、家庭の年間消費電力量4,432kWhのうち228kWh、割合にして5.1%が待機時消費電力でした。これ以降、同庁は全国規模の同様調査を公表しておらず、2026年8月時点で確認できる最新の公式データです
- 全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価31円/kWh(税込)で換算すると、年間約7,068円、月あたり約590円が待機電力の目安額になります(2012年度調査の消費量に現在の単価を当てはめた概算)
- 「主電源を切る」「プラグを抜く」はどちらも効果がありますが、すべての機器に同じように当てはまるわけではありません。資源エネルギー庁はテレビについて長期不在時のプラグ抜き取りを案内する一方、常時通電が必要な機器もあります
待機電力は家庭の電気代の何%を占めている?
待機時消費電力とは、資源エネルギー庁の定義によると「リモコンやマイコンなどを組み込んだ家電機器が、その機器を使っていないときでもコンセントにつながっていることで消費される電力」のことです(2026年8月時点・資源エネルギー庁公式)。
資源エネルギー庁省エネルギー対策課が2012年度(平成24年度)に実施した全国調査「エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)」によると、家庭の世帯当たり年間消費電力量4,432kWhのうち228kWhが待機時消費電力で、電力消費全体の5.1%を占めていました(2026年8月時点・資源エネルギー庁エネルギー白書2020掲載)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 家庭の年間消費電力量(世帯当たり) | 4,432kWh |
| うち待機時消費電力 | 228kWh |
| 割合 | 5.1% |
(出典: 資源エネルギー庁省エネルギー対策課「平成24年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書概要」。同庁「令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)」に引用。2026年8月時点)
なお、この数値は2012年度の全国調査にもとづくものです。その後のエネルギー白書(2024年版・2025年版)では同様の割合の再掲は確認できておらず、全国規模で更新された公式データは見つかっていません。家電の省エネ性能は年々向上しているため、現在の実態はこれより低い可能性がある点は割り引いて読む必要があります。
家庭全体の電気代の平均額については家族が増えて電気代がぐっと上がった気がしたら — 世帯人数別の電気代平均と比べ方で、内訳の読み方については検針票の「燃料費調整額」に目が留まったら — 電気代の内訳と再エネ賦課金の読み方で整理しています。
電気代に換算すると、実額はいくら?
割合だけではピンとこないので、金額に換算してみます。資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでは、電気の金額換算に「31円/kWh」という単価を採用しています。これは公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が令和4年7月に改定した目安単価(税込)で、電力・ガス取引監視等委員会が公表する「電力取引報」の販売電力量・販売額の集計値などにもとづいて算出されています(2026年8月時点・同協議会公式、資源エネルギー庁公式)。
先ほどの待機時消費電力228kWh/年にこの単価を当てはめると、次のようになります。
- 228kWh × 31円 = 約7,068円/年
- 7,068円 ÷ 12か月 ≈ 約590円/月
月590円という金額は、「使っていないのに毎月払っている」と考えれば軽視できませんが、家計を揺るがすほどの金額でもありません。この計算はあくまで2012年度調査時点の全国平均消費量に、現在の目安単価を当てはめた概算で、実際の金額は保有する家電の台数や種類、使用時間によって変わります。
主電源を切る・プラグを抜くと、実際どれくらい効くのか
待機電力を減らす方法として代表的なのが「主電源を切る」「コンセントを抜く」ですが、資源エネルギー庁が公開している機器別の省エネアドバイスを見ると、機器によって推奨の仕方が異なります(2026年8月時点・資源エネルギー庁公式)。
- テレビ — 「消すときは主電源をOFFに」と案内されています。リモコンの電源ボタンで消しただけの状態(リモコン待ち)でも電力は消費されているため、主電源での消灯が基本です。そのうえで「旅行など、長期不在の時はプラグを抜くようにしましょう」ともされており、日常的には主電源、長期不在時はプラグ抜きという使い分けが案内されています。なお、視聴中の稼働時間にかかる電気代は待機電力よりずっと大きく、サイズ別の年間実額はテレビの電気代は年間いくら? — サイズ別・液晶と有機ELの年間消費電力量から計算するで整理しています
- レコーダー — 「スイッチを入れるとすぐに使えるようになる『高速起動モード』や『クイックスタート機能』を設定していると、待機時消費電力が大きくなります」と説明されています。この機能をオフにし、少し待つゆとりを持つことが、プラグを抜かなくてもできる対策として案内されています
- パソコン — 「国際エネルギースターロゴ」がついた機器は、待機している状態が一定時間続くと自動的に省エネモードに切り替わる機能を備えています。購入時にこのロゴを目印にすることが案内されています
いずれも「抜く」ことだけが対策ではなく、主電源のOFFや、機種ごとの省エネ機能・設定の見直しで対応できる部分が多いことが分かります。
プラグを抜かない方がよい機器の現実的な整理
一方で、すべての機器のプラグを日常的に抜くのは現実的ではありません。次のような機器は、抜くこと自体に別のデメリットが伴います。
- 時計・タイマー機能付きの家電 — プラグを抜くと時刻設定がリセットされ、抜き差しのたびに再設定が必要になります
- 録画予約のあるレコーダー — 通電していないと予約録画そのものが実行されません
- モデム・Wi-Fiルーターなど常時通電が必要な通信機器 — 抜けばインターネット接続そのものが止まります
これらの機器については、待機電力を気にするよりも、前述のようにレコーダーの「高速起動モード」をオフにするなど、機能面での見直しの方が現実的です。エアコンのように稼働時間中の電気代が待機電力より大きな比重を占める家電については、エアコンの電気代の目安で別途整理しています。
よくある疑問
待機電力は電気代の何%くらいを占めますか?
資源エネルギー庁が2012年度(平成24年度)に実施した全国調査によると、家庭の年間消費電力量4,432kWhのうち228kWh、割合にして5.1%が待機時消費電力でした。これは資源エネルギー庁のエネルギー白書2020で引用された数値です。その後のエネルギー白書(2024年版・2025年版)では同様の割合の再掲は確認できておらず、全国規模で更新された公式データは見つかっていません(2026年8月時点・資源エネルギー庁公式)。
使っていない家電は、すべてプラグを抜いた方がいいですか?
一律には言えません。資源エネルギー庁はテレビについて「消すときは主電源をOFFに」「旅行など長期不在の時はプラグを抜く」と案内しています。一方、時刻表示や録画予約のあるレコーダー、常時通信が必要なモデム・ルーターなどは、抜くことで設定がリセットされたり通信が止まったりする場合があります。日常的には主電源をOFFにする、長期不在時はプラグを抜く、という使い分けが現実的です(2026年8月時点・資源エネルギー庁公式)。
待機電力を電気代に換算すると、実際いくらくらいになりますか?
資源エネルギー庁が示す2012年度の全国平均値228kWh/年に、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月改定)を掛け合わせると、年間で約7,068円、月あたり約590円という計算になります。これは2012年度調査時点の全国平均消費量に、現在の目安単価を当てはめた概算であり、世帯や機器構成によって実際の金額は変わります(2026年8月時点)。
まとめ
待機電力は家庭の電気代のうち5.1%、金額にして年間おおよそ7,000円前後という、無視はできないが暮らしを圧迫するほどでもない規模の存在です。ただし2012年度調査にもとづく古いデータであり、現在はこれより小さい可能性がある点も押さえておく必要があります。対策は「すべてのプラグを抜く」という極端な発想よりも、テレビは主電源でOFFにする、レコーダーの高速起動機能は切る、常時通電が必要な機器は無理に抜かないという、機器ごとの使い分けの方が続けやすいはずです。




