チューリッヒ空港に着陸し、機内モードを解除する。氷河特急やユングフラウ鉄道の時刻を調べようとして、ふと手が止まる——「スイスはEUに加盟していないはずだけど、『ヨーロッパ向け』の海外定額プランは、そのまま使えるんだろうか」。そう考えたことはありませんか。

この記事の要点

  • スイスはEUの非加盟国ですが、ドコモ・au・楽天モバイル・ahamo・povo2.0の「ヨーロッパ向け」海外定額・エリアトッピングは、いずれも対象地域にスイスを含めています(2026年9月時点・各社公式)
  • ソフトバンクの「海外あんしん定額」は、公式サイトの静的なページではスイスの記載を確認できませんでしたが、公式PDF「海外ご利用ガイド」(2026年4月23日現在)でスイスが定額国Lに区分されていることを確認しました
  • スイス国内の山岳部・谷間の電波状況について、各社公式に具体的な記載は見当たりませんでした。この記事では推測で埋めず、確認できなかった旨だけを記載しています

スイス旅行で通信が特に大事な理由

スイスは、鉄道・バス・ロープウェイ・登山鉄道が緻密に接続された公共交通網が旅の軸になる国です。スイス国鉄(SBB/CFF/FFS)の公式アプリでは時刻表の検索やチケットの購入ができ、乗り換えの多い旅程ほど、その場で経路を確認できるかどうかが移動のしやすさを左右します。

チューリッヒやジュネーブといった都市部だけでなく、インターラーケンやツェルマットのような山岳リゾートへ足を延ばす旅程を組むことも多く、都市部と山岳部で通信環境の前提が変わりうる点は、他のヨーロッパ都市旅行とは事情が異なります。

通信手段の選択肢 — ローミング・WiFi・eSIM

海外でスマホを使う方法の仕組みの違いは、海外旅行のスマホ、機内モードのまま我慢していませんか — eSIM・レンタルWiFi・ローミングの選び方 で詳しく整理しています。ここでは、スイス向けの料金を中心に見ていきます(いずれも2026年9月時点・各社公式)。

方法 スイス向けの料金の例 備考
ドコモ「世界そのままギガ」 24時間980円/7日間パッケージ5,280円 スイスは国・地域限定割プランの対象国・地域です
povo2.0 海外データトッピング(ヨーロッパ9カ国エリアトッピング) 1GB(3日間)840円/3GB(7日間)2,430円 スイス単独のトッピングはなく、イギリス・フランス・ドイツなど計9カ国と共通のトッピングです
レンタルWiFi 事業者・機種により異なる 空港などでの受取・返却の手間がある一方、複数人で1台を分け合えます
eSIM 渡航先・日数・容量で選ぶプラン制 サービスによって、スイス単独向けのプランとヨーロッパ周遊向けのプランが別に用意されています

契約中のプランにすでに海外利用が含まれている場合もあるため、比較する前に、まず自分の契約を公式アプリで確認しておくと無駄がありません。渡航予定がスイス以外の国にも及ぶなら、国境を越えるたびにSIMを買い替えない — ヨーロッパ周遊旅行の通信準備 で周遊対応のプランを確認してください。イギリスも同じくEU非加盟国ですが、こちらの対象状況はイギリス旅行の通信準備 — eSIM・ローミングの選び方と「EU圏外」の海外定額事情 で整理しています。

スイスはEU非加盟国 — 各社の「ヨーロッパ」対象地域に入っている?

スイスはEUに加盟していません(一方でシェンゲン協定には加盟しており、EU加盟国との間で通常の出入国審査なく移動できます)。「EU向け」とうたわれたプランがあるなら対象外になっていてもおかしくない——そう考えるのが自然ですが、日本のキャリア・サービスの「ヨーロッパ向け」海外定額・エリアトッピングは、EUという政治的な加盟の有無ではなく、各社・各プランが独自に定める対象国・地域リストで対象を区切っています(地理的に「ヨーロッパ」の範囲であっても、リストに入っていない国・地域は対象外です)。実際に確認できた範囲は次のとおりです(2026年9月時点・各社公式)。

キャリア・サービス 該当プラン スイスの扱い
ドコモ「世界そのままギガ」 国・地域限定割プラン(24時間980円・7日間5,280円など) 対象。ドコモが公表した対象国・地域一覧で「国・地域限定割プラン」対象に区分されています
au「海外放題」 24時間1,200円(予約割1,000円) 対象。ヨーロッパの対象国・地域一覧にスイスが明記されています
ソフトバンク「海外あんしん定額」 定額国L(24時間980円) 対象。公式サイトの静的なページには記載がありませんが、公式PDF「海外ご利用ガイド」(2026年4月23日現在)でスイス(sunrise・Swisscom・Salt)が定額国Lに区分されていることを確認しました。LINEMOは同名サービスですが、この記事ではソフトバンクの資料のみを根拠にしています
楽天モバイル 海外ローミング(月2GBまで無料) 対象。107の対象国・地域リストにスイスが含まれています
ahamo 海外データ通信(国内と共用の枠のうち海外は月30GB。2026年12月1日から月40GBに増量。15日超は速度制限、日数追加オプション〔1日980円〕は日数超過分のみ回避可) 対象。91の対象国・地域リストにスイスが含まれています
povo2.0 ヨーロッパ9カ国エリアトッピング(1GB/3日間840円など) 対象。9カ国の1つに明記されています

確認できた6つのキャリア・サービスすべてで、スイスは「ヨーロッパ」の対象地域に含まれていました。EUに加盟していないという事実と、日本のキャリアの海外ローミング対象地域は連動していません。ソフトバンクについては、公式サイトの静的なページには記載がありませんでしたが、公式PDF「海外ご利用ガイド」で対象と確認できました。LINEMOは同名のサービスを提供していますが、この記事ではソフトバンクの資料のみを根拠にしており、LINEMO単独の確認はしていません。

なお、「EU域内はローミング無料」という制度自体は、EU/EEAに居住する契約者がEU域内を移動する際に自国と同じ料金で使えるようにする仕組みで、日本から旅行する人には、渡航先がEU加盟国であってももともと関係がありません。今回比較したのは、あくまで日本のキャリア・サービスが独自に設定している「海外ローミング」「エリアトッピング」の対象範囲です。

山岳地の電波事情 — 公式に記載がある範囲だけ

ユングフラウヨッホやマッターホルン展望台のような標高の高いエリア、谷あいの村では、電波が届きにくいのではないかと気になる人もいるはずです。今回、ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル・ahamo・povo2.0のいずれの公式サイトも確認しましたが、スイス国内の山岳部・谷間に限定した電波状況についての具体的な記載は見当たりませんでした。

海外ローミングは、渡航先の通信事業者の設備をそのまま借りる仕組みです。今回確認した範囲の公式資料では、山岳部・谷間の地点別の通信可否は確認できませんでした。登山電車やロープウェイの駅、山小屋での通信可否が旅程上重要な場合は、渡航前に利用予定のサービスの公式エリア情報や接続先の通信事業者を確認しておくと安心です。

eSIMの準備手順

スイス用のeSIMも、他の渡航先と同じように、サービスのサイトやアプリでプランを購入し、届いたQRコードを読み取って設定します。iPhone・Androidそれぞれの具体的な操作手順は、「QRコードを読み取ってください」で止まったら — iPhone・AndroidのeSIM設定手順 にまとめています。ここでは、スイス旅行に向けて押さえておきたいポイントだけ確認します。

  • 渡航予定がスイスだけなら国単位のプラン、フランスやイタリアなど他国も回るなら周遊対応のプランを選ぶ
  • 渡航先を「スイス」、日数を旅行日程に合わせて選ぶ
  • 出発前に自宅などのWi-Fi環境で設定を終えておく
  • 到着後は、モバイル通信の設定で通信に使う回線(モバイルデータ通信)を旅行用eSIMに切り替え、日本の回線のデータローミングはオフのままにして、旅行用eSIM側だけデータローミングをオンにする(Apple公式、AndroidはGoogle PixelヘルプなどOS・端末の案内を確認)
  • キャリアの海外定額・無料枠で足りる場合は、旅行用eSIMの追加購入は不要(契約中のプランで海外利用が使えるかを先に確認)

設定を終えたはずなのに現地で電波を掴まない場合の確認手順は、着陸したのに画面が「圏外」のままだったら — 海外でスマホがつながらないときの確認手順で整理しています。

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海外eSIMサービスの例として、トリファ(trifa)の公式サイトでプランと料金を確認できます。

国内利用者数No.1【トリファ(trifa)】

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海外eSIMサービスの例として、Sailyの公式サイトでスイスのプランと料金を確認できます。

海外旅行のためのお得なeSIM【Saily】

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eSIMとレンタルWiFiの両方を扱うサービスの例として、dinomoWiFiの公式サイトで料金を確認できます。

dinomoWiFi(eSIM・SIM・WiFiレンタル)

スイスならではの注意点

通貨はユーロではなくスイスフラン

スイスはEUに加盟していないため、通貨はユーロではなくスイスフラン(CHF)です。鉄道やロープウェイのチケット購入、山小屋での支払いなど、通信環境があれば為替レートの確認や決済アプリの利用がしやすくなります。

都市部のWiFiだけに頼らない

駅やホテルには無料WiFiが用意されていることが多い一方、山岳鉄道の車内やロープウェイの駅、谷あいの村ではWiFi自体が用意されていない場面もあります。SBB Mobileなどの鉄道アプリで乗り換えを確認しながら移動する旅程では、都市部のWiFiだけに頼らず、eSIMやローミングで自分の回線を確保しておいたほうが、山岳部への移動中に困りにくくなります。

よくある不安

スイスはEUに加盟していませんが、日本のキャリアの「ヨーロッパ向け」海外定額は使えますか?

使えます。今回、ドコモ・au・楽天モバイル・ahamo・povo2.0の公式サイトを確認したところ、いずれも「ヨーロッパ」向けの海外定額・エリアトッピングの対象地域にスイスを含めていました(2026年9月時点・各社公式)。日本のキャリアの海外ローミングは地理的な「ヨーロッパ」として対象を区切っており、EUに加盟しているかどうかとは連動していません。ソフトバンクの「海外あんしん定額」については、公式サイトの静的なページ上ではスイスの記載を確認できず、対象国・地域一覧は検索ツールでのみ確認できる形になっていたため、この記事では「公式で確認できず」としています。

スイスの山岳部では、電波が入りにくいということはありますか?

ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル・ahamo・povo2.0のいずれの公式サイトにも、スイス国内の山岳部・谷間に限定した電波状況についての記載は見当たりませんでした。今回確認した資料では、地点別の通信可否は確認できませんでした。登山電車やロープウェイの駅、山小屋などでの通信可否が心配な場合は、渡航前に利用予定のサービスの公式エリア情報や接続先の通信事業者を確認することをおすすめします。

スイスはEUに未加盟ですが、シェンゲン協定にも入っていないのですか?

スイスはEUには加盟していませんが、シェンゲン協定には加盟しています。日本国内のキャリア各社の海外ローミング対象地域の区分は、EU加盟・シェンゲン協定加盟のどちらとも連動しておらず、あくまで各社が独自に定める地理的な「ヨーロッパ」の対象国・地域リストで扱いが決まります。

まとめ

スイスはEUに加盟していない国ですが、ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル・ahamo・povo2.0の「ヨーロッパ向け」海外定額・エリアトッピングは、確認できた範囲のすべてで対象地域にスイスを含めていました(ソフトバンクは公式PDFで確認)。山岳部の電波状況については、地点別の通信可否を確認できる公式資料が見当たらず、推測では書いていません。気になる場合は渡航前に利用予定のサービスへ個別に問い合わせることをおすすめします。フランスやイタリアなど他国にも足を延ばす旅程なら、国境を越えるたびにSIMを買い替えない — ヨーロッパ周遊旅行の通信準備 もあわせて確認してください。

ほかの国の料金は、海外 eSIM・ローミング料金の国別一覧でまとめて比較できます。