洗濯機のスタートボタンを押すたび、電気代のことを考える人は少ないかもしれません。ただ「乾燥までボタン一つで済ませる」使い方が広まった今、乾燥コースをどう選ぶかで電気代の積み上がりは変わります。公式仕様の数値で、1回の金額と、同じ機種の乾燥モード別に年間回数ごとの積み上げ額を計算します。

この記事の要点

  • 電気代は「消費電力量(Wh)×31円/kWh÷1000」で計算できます(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価。2026年10月時点・同協議会公式)。パナソニック公式仕様の洗濯のみは、縦型(NA-FA9K6・洗濯9kg)が48Wh・約1.5円、ドラム式(NA-LX127FL・洗濯12kg/乾燥6kg)が68Wh・約2.1円で、どちらも1回数円の計算例です
  • 同じNA-LX127FLの洗濯乾燥は、標準乾燥モードで800Wh(約25円)、省エネ乾燥モードで620Wh(約19円)です。これは洗濯から乾燥までの全工程の値で、乾燥だけの値ではありません。洗濯のみとは洗濯量の条件が同じとは限らないため、差額を乾燥の電気代とは扱いません(同社公式仕様)
  • 条件をそろえて比べられるのは、同じ機種の標準乾燥モードと省エネ乾燥モードです。省エネ乾燥モードは1回あたり約5.6円安く、年365回で約2,040円の差、目安時間は67分長くなります。年間回数ごとの金額は、公式の試験条件での1回あたりの消費電力量を年間の回数分積み上げた計算例です

洗濯のみなら1回何円? — 縦型・ドラム式の公式試験値で計算

洗濯機の仕様書の「消費電力量」は、メーカーが公式の試験条件で測った定格洗濯時の値です。ここに、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円/kWh(税込・令和4年7月22日改定)を掛けると、その試験条件での1回あたりの電気代を計算できます(2026年10月時点・同協議会公式)。家庭での実際の電気代は、洗濯物の量・汚れ・コース・水温で変わります。

消費電力量(Wh) × 31円/kWh ÷ 1000 = 試験条件での1回あたりの電気代

パナソニック公式仕様を例に、縦型とドラム式の「洗濯のみ」を並べます(特定製品の推奨ではなく、公式仕様にもとづく計算例です)。

項目 縦型(NA-FA9K6・洗濯9kg) ドラム式(NA-LX127FL・洗濯12kg/乾燥6kg)
洗濯時消費電力量(定格洗濯時) 48Wh 68Wh
洗濯1回あたりの電気代(計算例) 約1.5円 約2.1円
1kgあたりの消費電力量 約5.3Wh 約5.7Wh
洗濯の目安時間 33分 32分
標準使用水量(定格洗濯時) 97L 83L
1kgあたりの水量 約10.8L 約6.9L

(消費電力量×31円/kWh÷1000で算出。1kgあたりは消費電力量・水量を洗濯容量で割った値。出典: パナソニック公式 NA-FA9K6・NA-LX127FL 仕様ページ。2026年10月時点)

この表の1kgあたりは参考値です。縦型は9kg、ドラム式は12kgの容量での値で、同じ量の洗濯物を洗って測った比較ではないため、縦型とドラム式のどちらが省エネかという優劣は判断しません。1kgあたりの約5.3Wh・約5.7Whは容量で割っただけの算術上の参考値で、同じ量を洗う場合の消費電力量の比較にはなりません。水量は1kgあたり約10.8Lと約6.9Lですが、水道料金は自治体ごとに単価が違うため、水量差を何円とは言えません。縦型の仕様ページには消費電力量の欄に「模擬試験布Ⅰ9.0kg」との注記があり、この数値は模擬試験布による試験値です。

なお、縦型の「乾燥」表示は槽内に温風を送らない「槽・風乾燥」(化繊2.0kgまで)で、しわ取りや部分乾燥が目的です。ドラム式のような温風・ヒートポンプによる本格乾燥とは仕組みが異なり、消費電力量も公式仕様には記載されていません(2026年10月時点・メーカー公式仕様)。

乾燥まで回すと、電気代はどう変わる?

同じNA-LX127FL(ヒートポンプ方式)で、洗濯のみ・洗濯乾燥(標準乾燥モード)・洗濯乾燥(省エネ乾燥モード)を並べます。

コース 消費電力量(定格) 目安時間 電気代(計算例) 標準使用水量
洗濯のみ 68Wh 32分 約2.1円 83L
洗濯乾燥(標準乾燥モード) 800Wh 98分 約25円 55L
洗濯乾燥(省エネ乾燥モード) 620Wh 165分 約19円 55L

(出典: パナソニック公式 NA-LX127FL 仕様ページ。2026年10月時点)

読むときの注意が2つあります。

  • 洗濯乾燥の値は全工程の合計です。 800Whや620Whには洗濯の分も含まれています。68Whを引いた残りを「乾燥だけの電気代」と呼ぶこともできません。公式仕様ページに乾燥単体の消費電力量・目安時間は載っておらず、条件も同じとは限らないためです
  • 洗濯量の条件が同じとは限りません。 洗濯のみは洗濯容量12kg、洗濯乾燥は乾燥容量6kgまでのコースで、仕様ページは洗濯乾燥時の洗濯量を明記していません。標準使用水量が83Lと55Lで違うことからも、同じ量を洗った比較とは言い切れません。「12倍近く」といった倍率は、同一機種内の公式値の比であって、同じ洗濯物で測った差ではありません

そのうえで、同じ機種・同じ試験条件の表の範囲で比べられるのは、標準乾燥モードと省エネ乾燥モードの差です。省エネ乾燥モードは1回あたり180Wh少なく(約5.6円安い)、目安時間は67分長くなります。乾燥方式ごとの違いや、独立型の衣類乾燥機・浴室暖房乾燥機との比較は乾燥機の電気代は1回いくら? — 乾燥方式別の比較で整理しています。

乾燥モード別に、年間回数ごとの積み上げ額は?

洗濯のみと洗濯乾燥は洗濯量の条件が同じとは限らないため、ここでは差額で乾燥の要否を判断しません。条件をそろえられる、同じ機種(NA-LX127FL)の洗濯乾燥の標準乾燥モードと省エネ乾燥モードだけを比べます。

洗濯乾燥の使用回数 標準乾燥モード(800Wh/回) 省エネ乾燥モード(620Wh/回) 標準と省エネの差
週1回(年52回) 約1,290円 約1,000円 約290円
週3回(年156回) 約3,870円 約3,000円 約870円
毎日(年365回) 約9,050円 約7,020円 約2,040円

(1回あたりの電気代は標準乾燥モード=800Wh×31円/kWh÷1000=24.8円、省エネ乾燥モード=620Wh×31円/kWh÷1000=19.22円。これに年間の回数を掛けた、公式の試験条件での1回あたりの消費電力量を年間の回数分積み上げた計算例です。洗濯量や洗濯物の種類で消費電力量は変わるため、家庭での実際の年間電気代ではありません。出典: パナソニック公式 NA-LX127FL 仕様ページ。2026年10月時点)

この計算からは、次のように分けて考えられます。

  • 洗濯乾燥を使うのが週1回程度なら、モードによる年間の差は300円前後です。電気代より、乾燥にかかる時間(標準98分・省エネ165分)で選んで構いません
  • ほぼ毎日使うなら、モードによる差は年に約2,040円になります。急がない日は省エネ乾燥モード、急ぐ日は標準乾燥モードという選び方は、電気代の面では合理的です。ただし省エネ乾燥モードは1回あたり67分長くかかります
  • 洗濯物が6kgを超える日は、洗濯乾燥の乾燥容量(6kg)を超えます。その場合に使うコースや分け方は、お使いの機種の取扱説明書で確認してください(この記事では公式に確認できた範囲のみを扱います)

洗濯のみで済ませて干す場合との比較は、この記事では出しません。洗濯のみの値と洗濯乾燥の値は洗濯量の条件が揃っておらず、外干し・部屋干し側の電気代も別の機種・別の試算条件の数値になるためです。部屋干し+扇風機や除湿機の電気代は、乾燥機の電気代は1回いくら? — 乾燥方式別の比較と除湿機の電気代は1時間いくら?で個別に試算されています。

電気代だけでは見えない — 水道代という視点

洗濯には水道代もかかります。標準使用水量は、縦型(NA-FA9K6)が定格洗濯時97L、ドラム式(NA-LX127FL)が83Lです(2026年10月時点・メーカー公式仕様)。

電気代には全国共通の目安単価(31円/kWh)がありますが、水道料金は自治体・水道局ごとに単価が異なり、電気のような全国共通の目安単価は存在しません。そのため「水量の差が何円の差になるか」を一律に計算することはできません。ただし、次の資源エネルギー庁の公表値から、水道代が家計に与える影響の大きさを確認できます。洗濯機を含めた電気代が家計全体の中でどのくらいの水準かは、家族が増えて電気代がぐっと上がった気がしたら — 世帯人数別の電気代平均と比べ方で確認できます。台所の食洗機も電気代と水道代を合わせて運転費を考える家電で、食洗機の電気代は1回いくら?で確認できます。掃除機やアイロンの試算は掃除機の電気代は1回いくら? — 紙パック式・サイクロン式・コードレス・ロボット掃除機を公式仕様で比較・アイロンの電気代は1回いくら?にあります。

まとめ洗いはどのくらいの節約になる?

資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでは、まとめ洗いによる節約効果を公式に試算しています。定格容量6kgの洗濯機で、洗濯物の4割を毎日洗う場合と、8割まで入れて洗濯回数を半分にした場合を比較した数値です(2026年8月時点で確認した内容。2026年10月時点では同庁サイトへの再アクセスができず、数値の再確認は未了です)。

項目 年間の削減量 節約額
電気 5.88kWh 約182円(31円/kWhで計算)
水道 16.75m³ 約4,360円(資源エネルギー庁公表値)
合計 — 約4,542円

(出典: 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「洗濯機・掃除機」。電気の節約額は同庁公表の削減量(kWh)に31円/kWhを掛けて算出、水道の節約額は同庁公表値をそのまま引用。2026年8月時点で確認)

節約額のうち9割以上は水道代で、電気代の節約分は1割にも届きません。「電気代を気にしてまとめ洗いをする」というより、「水道代も含めた総額で見るとまとめ洗いの効果は大きい」という捉え方が実態に近いといえます。なお、まとめ洗いの試算は6kg洗濯機の洗濯のみ、上の積み上げ額はドラム式の洗濯乾燥という別条件の数値なので、金額の大小を比べて優劣は判断しません。

よくある疑問

洗濯機の電気代は1回あたりいくらですか?

計算式は「消費電力量(Wh)×31円/kWh÷1000」です(全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価。2026年10月時点・同協議会公式)。パナソニック公式仕様の例では、縦型(NA-FA9K6・洗濯9kg)の洗濯のみで消費電力量48Wh・約1.5円、ドラム式(NA-LX127FL・洗濯12kg/乾燥6kg)の洗濯のみで68Wh・約2.1円でした。これは公式の試験条件での値にもとづく計算例で、家庭での実際の電気代そのものではありません。容量が違うため、1kgあたりの値(縦型約5.3Wh・ドラム式約5.7Wh)は参考値にとどまり、同じ量を洗った比較ではないので方式の優劣は判断しません(2026年10月時点・メーカー公式仕様)。

乾燥まで使うと電気代はどのくらい上がりますか?

ドラム式(NA-LX127FL)の公式仕様では、洗濯のみが68Wh(約2.1円)、洗濯乾燥(標準乾燥モード)が800Wh(約25円)、洗濯乾燥(省エネ乾燥モード)が620Wh(約19円)です。洗濯乾燥の値は洗濯から乾燥までの全工程の合計で、洗濯のみとは洗濯量の条件が同じとは限らないため、両者の差額を乾燥だけの電気代とは扱いません。条件をそろえて比べられる標準乾燥モードと省エネ乾燥モードでは、1回あたり180Wh・約5.6円の差で、年365回使う計算例では約2,040円の差、目安時間は省エネ乾燥モードが67分長くなります(公式の試験条件での1回あたりの消費電力量を年間の回数分積み上げた計算例。2026年10月時点・メーカー公式仕様)。

洗濯機の電気代を節約するには、まとめ洗いが効果的ですか?

資源エネルギー庁の公表値では、洗濯物をまとめて洗うことで年間電気5.88kWh(約182円)・水道16.75m³(約4,360円)、合計約4,542円の節約効果があるとされています(2026年8月時点の確認・同庁公式)。ただし節約額の9割以上は水道代が占めており、電気代の節約効果は限定的です。まとめ洗いは、電気代よりも水道代を含めた総額でメリットが大きい節約行動といえます。

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まとめ

洗濯機の電気代は、公式の試験条件での計算例で、洗濯のみなら縦型・ドラム式のどちらも1回数円です。縦型とドラム式は容量が違うため、1kgあたりの値は参考にとどめ、方式の優劣は判断しません。洗濯乾燥の値は洗濯から乾燥までの全工程の合計で、洗濯のみとは洗濯量の条件が同じとは限らないため、差額を乾燥の電気代とは扱いません。条件をそろえて比べられる標準乾燥モードと省エネ乾燥モードでは、1回あたり約5.6円の差で、年365回使う計算例では約2,040円の差です。乾燥方式ごとの違いは乾燥機の電気代は1回いくら? — 乾燥方式別の比較を、電気代全体の内訳は検針票の「燃料費調整額」に目が留まったら — 電気代の内訳と再エネ賦課金の読み方をあわせてご覧ください。

ほかの家電の電気代も比べたい場合は、家電の電気代 早見表でまとめて確認できます。

洗濯後の部屋干しに除湿機を使う場合の電気代は除湿機の電気代は1時間いくら?で試算しています。