部屋干しの洗濯物がなかなか乾かない梅雨どき、ドラム式洗濯乾燥機のボタンを押すか、衣類乾燥除湿機を回すか、浴室暖房乾燥機に切り替えるか。どれも「乾燥機」とひとくくりにされがちですが、公式の数値は「乾燥だけ」の値と「洗濯込み」の値、「約4kg」の試算と「約2kg相当」の試験条件が混ざっており、そのまま並べると誤解しやすくなります。この記事は、条件をそろえて比べられる範囲と、そろえられない範囲を分けて整理します。
この記事の要点
- 公式仕様の1回あたりの目安(31円/kWh)は、衣類乾燥除湿機F-YHVX120の速乾(75分)が27.5円、ドラム式NA-LX113CLの洗濯乾燥(標準乾燥モード・119分)が960Whから約29.8円です。ドラム式の値は洗濯から乾燥までの全工程の合計で、乾燥だけの値ではありません(2026年10月時点・メーカー公式仕様)
- 浴室暖房乾燥機(FY-13UG7E・1,250W)は、1,250Wが続くと仮定した計算例で1時間約38.75円です。約43分で除湿機の速乾1回分(27.5円)、約46分でドラム式の標準乾燥1回分に並び、3時間では約116.25円になります
- パナソニックの解説記事にある除湿機の約23.9円は、同社の仕様ページの27.5円と一致せず、算出条件も非公開です。この記事では仕様ページの値を使います
- ドラム式は、標準乾燥と省エネ乾燥で1回約8.7円(NA-LX113CL)の差があります。毎日使う計算例で年約3,168円、週3回で年約1,354円です
まず条件をそろえる — 公式の数値は同じ土俵ではない
乾燥機の電気代として出回る数値は、次の3種類が混ざっています。
| 数値の種類 | 例 | 含まれる範囲 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 仕様ページの1回あたりの目安 | F-YHVX120 速乾 75分・27.5円 | 乾燥運転の消費電力量×31円/kWh | 洗濯物の量はページから特定できません |
| 洗濯乾燥の消費電力量(Wh) | NA-LX113CL 標準乾燥 960Wh・119分 | 洗濯から乾燥までの全工程 | 乾燥単体の値ではなく、洗濯のみの68Whも含まれます |
| 消費電力(W)×仮定した時間 | FY-13UG7E 1,250W×3時間 | 掲載の消費電力が続くと仮定した計算例 | 実際の消費電力は運転中に変わり、乾燥が終わる時間も条件で変わります |
この記事では、1つ目と2つ目を「公式仕様の値」、3つ目を「計算例」と呼び分けます。ここで出す金額は、特定の家庭の請求額ではなく、公式の条件を31円/kWhで計算した目安です。
方式別、1回あたりの電気代 — 公式仕様の値
31円/kWhは全国家庭電気製品公正取引協議会の目安単価です(2026年10月時点・同協議会公式)。
| 方式(機種例) | 運転 | 時間 | 1回あたりの目安 | 値の範囲 |
|---|---|---|---|---|
| 衣類乾燥除湿機(F-YHVX120) | 速乾 | 75分 | 27.5円 | 乾燥のみ(仕様ページの目安) |
| 衣類乾燥除湿機(F-YHVX120) | 標準 | 104分 | 13.7円 | 乾燥のみ(同上) |
| 衣類乾燥除湿機(F-YHVX120) | 音ひかえめ | 137分 | 15.9円 | 乾燥のみ(同上) |
| ドラム式(NA-LX113CL・ヒートポンプ) | 標準乾燥 | 119分 | 約29.8円(960Wh) | 洗濯から乾燥まで全工程 |
| ドラム式(NA-LX113CL・ヒートポンプ) | 省エネ乾燥 | 192分 | 約21.1円(680Wh) | 洗濯から乾燥まで全工程 |
| ドラム式(NA-LX127FL・ヒートポンプ) | 標準乾燥 | 98分 | 約24.8円(800Wh) | 洗濯から乾燥まで全工程 |
| ドラム式(NA-LX127FL・ヒートポンプ) | 省エネ乾燥 | 165分 | 約19.2円(620Wh) | 洗濯から乾燥まで全工程 |
(出典: パナソニック各製品の公式仕様ページ。F-YHVX120の金額は仕様ページ記載の目安(JEMA-HD090・31円/kWh)。ドラム式の金額は仕様ページの消費電力量(Wh)×31円/kWh÷1000の当サイト計算。F-YHVX120は洗濯物の量が仕様ページから特定できず、ドラム式は乾燥容量6kgの機種ですが洗濯乾燥時の洗濯量は仕様ページに明記がありません。条件が揃っていないため、機種間の優劣は断定しません。2026年10月時点)
読み方は3点です。
- 除湿機の標準(13.7円)と速乾(27.5円)は、時間と金額のトレードオフです。速乾は29分短い代わりに約13.8円高く、急がない日は標準が安い設計です
- ドラム式の約29.8円には洗濯の分が入っています。洗濯のみの消費電力量は68Wh(約2.1円)ですが、洗濯乾燥から68Whを引いて「乾燥だけ」とは呼べません(洗濯量の条件が同じとは限らないため)
- 除湿機の速乾27.5円とドラム式の約29.8円は、数字は近くても範囲が違います。洗濯物をすでに洗い終えて干すだけなら除湿機の値、洗濯から乾燥まで1台で済ませるならドラム式の値を見ます
浴室暖房乾燥機は何分で除湿機の金額に並ぶ? — 約43分の計算
浴室暖房乾燥機は、仕様ページに「1回あたり」の金額がなく、公式の消費電力と時間から計算する形になります。パナソニックFY-13UG7Eの衣類乾燥(自動乾燥)の消費電力は1,250Wです。1,250Wが続くと仮定した計算例は次のとおりです。
| 運転時間 | 計算(1,250W×時間×31円/kWh) | 金額 |
|---|---|---|
| 30分 | 0.625kWh×31円 | 約19.4円 |
| 約42.6分(27.5円に並ぶ時間) | 約0.887kWh×31円 | 約27.5円 |
| 43分 | 約0.896kWh×31円 | 約27.8円 |
| 1時間 | 1.25kWh×31円 | 38.75円 |
| 3時間 | 3.75kWh×31円 | 116.25円 |
(出典: パナソニックFY-13UG7E公式仕様の消費電力に31円/kWhを掛けた当サイトの計算例。実際の消費電力は運転中に変わり、乾燥にかかる時間は洗濯物の量・浴室の条件で変わります。2026年10月時点)
この計算から、金額の比較は次のようになります。ただし、ここで比べているのは金額だけです。同じ量の洗濯物を乾かせるとは限らないため、時間の境界は乾燥性能の境界ではありません。
- 約43分(正確には約42.6分)までの運転なら、金額はF-YHVX120の速乾1回分(27.5円)以内に収まる計算です。約46分でドラム式の標準乾燥1回分(約29.8円)に並びます。これは「同じ量を乾かせる場合の金額比較」で、洗濯物の量が揃っているかどうかは、この記事の公式値からは確認できません
- 2〜3時間回すと約77.5〜116.25円です。同じ量を除湿機の速乾(75分・27.5円)で乾かせる場合に限って比べると、浴室暖房乾燥機は約2.8〜4.2倍(2時間で約2.8倍、3時間で約4.2倍)の金額になります
- 洗濯物の量によって、どの方式で何分かかるかは変わります。この記事では量別にどの方式が有利かまでは断定せず、金額の計算例を示すにとどめます
浴室暖房乾燥機の予備暖房や換気を含めた使い方は、浴室暖房乾燥機の電気代は1回いくら?で機種別に整理しています。
独立型の衣類乾燥機(ヒーター式)はどれくらい?
洗濯機と分かれた独立型の衣類乾燥機についても確認しておきます。パナソニックNH-D605(乾燥容量6.0kg)の公式仕様では、消費電力は室温30℃・ヒーター「強」で1,255Wと記載されています。1回あたりの目安時間・消費電力量(Wh)・電気代は、仕様ページにありません(2026年10月時点・メーカー公式仕様)。
1,255Wが続くと仮定した計算例は、1時間で約38.9円です。浴室暖房乾燥機(1,250W・1時間38.75円)と同じ水準で、どちらもヒーターで温風をつくる点が共通しています。1回あたりの金額は、公式に時間が公表されていないため出しません。待機時の電気代が気になる場合は、待機電力は電気代の何%?資源エネルギー庁データで見る現実的な削り方もあわせてご覧ください。ヒーターで温風・温水をつくる家電では、ドライヤーの電気代は1回いくらか・食洗機の電気代は1回いくら?も目安になります。
ヒートポンプ式とヒーター式、なぜ差が出る?
ヒーター式は、電気のエネルギーをそのまま熱に変換して温風をつくります。投入した電力に対して得られる熱量は基本的に1対1です。一方ヒートポンプ式は、エアコンと同じ原理で空気中の熱を圧縮機で汲み上げて利用し、投入した電力より多くの熱を運べます。エアコンにおけるヒートポンプの仕組みはエアコンの電気代は1時間いくら? — 消費電力×時間×31円の計算式で確かめるで詳しく解説しています。
ドラム式の標準乾燥を1時間あたりの平均に直すと、NA-LX127FLは800Wh÷98分で約490W相当、NA-LX113CLは960Wh÷119分で約484W相当です(洗濯工程を含む平均値)。ヒーター式の1,250〜1,255Wとは2.5倍前後の開きがあります。ただしこれは公式の試験条件での平均で、実際の1回あたりの金額は洗濯物の量や運転時間で変わります。
ドラム式は標準と省エネ、どちらを選ぶ?
同じ機種・同じ試験条件で比べられるのは、標準乾燥と省エネ乾燥の差です。NA-LX113CLの公式仕様で計算すると次のとおりです。
| 使用回数 | 標準乾燥(960Wh/回) | 省エネ乾燥(680Wh/回) | 差 |
|---|---|---|---|
| 週3回(年156回) | 約4,643円 | 約3,288円 | 約1,354円 |
| 毎日(年365回) | 約10,862円 | 約7,694円 | 約3,168円 |
(1回あたりは標準約29.76円・省エネ約21.08円。年間の回数を掛けた当サイトの計算例で、差は端数処理前の値から計算しています。実際の使用回数・洗濯物の量とは異なります。2026年10月時点)
- 急ぐ日が多いなら標準乾燥で構いません。省エネ乾燥は73分長く、差は1回約8.7円です
- 帰宅が遅く、夜にセットして朝まで放置できるなら省エネ乾燥が合理的です。年約1,354円(週3回)〜約3,168円(毎日)の差が積み上がります
- 洗濯物が乾燥容量(6kg)を超える日は、コースの選び方を取扱説明書で確認してください(この記事は公式で確認できた範囲のみ扱います)
パナソニックの公式試算(約4kg条件)との関係
パナソニックは2026年7月30日に公開した解説記事で、約4kgの洗濯物を乾かす条件の電気代試算を載せています(計算式は消費電力(kW)×使用時間×31円/kWh)。
| 乾燥方法 | 乾燥時間の目安 | 試算の電気代 | 記事の式で再現できるか |
|---|---|---|---|
| 浴室暖房乾燥機(FY-13UG7E・1,250W) | 約3時間 | 約116.25円 | 一致(1,250W×3時間×31円) |
| 部屋干し+扇風機(F-C324B・40W) | 約8時間 | 約10円 | 一致(約9.9円) |
| 衣類乾燥除湿機(F-YHVX120・715W) | 速乾 約75分 | 約23.9円 | 一致せず(約27.7円。仕様ページは27.5円) |
| ドラム式(NA-LX113CL) | 標準乾燥 119分 | 約52円 | 一致せず(960Wh×31円で約29.8円) |
(出典: パナソニック「除湿機の電気代って、どのくらい? 洗濯物を早く&安く乾かす方法」。2026年7月30日公開、2026年10月時点で確認。除湿機の試算はJEMAの基準(衣類約2kg相当)に基づく旨の記載があり、条件が機種ごとに異なります)
この表のうち、記事の式で再現できる浴室暖房乾燥機(約116.25円)と部屋干し+扇風機(約10円)は、この記事の計算と整合します。一方、除湿機とドラム式の2行は、公式の式に仕様の数値を当てても再現できず、算出条件の詳細は公開されていません。そのため、この記事では除湿機とドラム式は仕様ページの値を主に使い、公式試算の約23.9円・約52円は参考にとどめます。
部屋干し+扇風機は約8時間で約10円と、乾燥機能のある方式より電気代が小さくなりますが、乾くまでの時間が長くなります。
天日干し併用など、現実的な使い分け
パナソニックの公式試算では、部屋干し+扇風機の組み合わせが最も電気代が安く、約8時間で約10円という結果でした(2026年8月時点・同社公式試算)。乾燥機のような加熱・除湿の仕組みを持たないため電気代は抑えられますが、乾くまでの時間は他の方法より長くなります。
資源エネルギー庁の省エネポータルサイトでも、衣類乾燥機について、まとめて乾燥する・自然乾燥を併用することの効果を公式に試算しています(定格容量5kgの乾燥機を想定。この節の数値は2026年8月に確認したもので、10月の再確認はできていません。同庁公式)。
| 行動 | 年間の削減電力量 | 節約額(31円/kWhで計算) |
|---|---|---|
| まとめて乾燥し、回数を減らす | 41.98kWh | 約1,301円 |
| 自然乾燥を併用する | 394.57kWh | 約12,232円 |
(出典: 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト「洗濯機・掃除機」衣類乾燥機の項。まとめ乾燥は定格容量8割・2日に1回と、4割ずつ毎日使用した場合の比較。自然乾燥併用は、自然乾燥8時間後に未乾燥分のみ補助乾燥する場合と、乾燥機のみで乾かす場合(2日に1回使用)の比較。2026年8月時点)
自然乾燥の併用効果が特に大きいのは、乾燥機が生乾きの水分を完全に飛ばす段階で多くの電力を使うためです。ある程度自然乾燥させてから仕上げに乾燥機を使うことで、乾燥機の稼働時間そのものを短縮できます。天気や部屋干しスペースに余裕がある日は自然乾燥を併用し、雨天や急ぎのときだけ乾燥機や浴室暖房乾燥機を使う、という使い分けが電気代の面では現実的です。洗濯そのものの電気代(洗濯のみ・洗濯乾燥込みの差)は洗濯機の電気代は1回いくら? — 「洗濯のみ」と「乾燥あり」で電気代はここまで変わるで整理しています。
衣類ではなく布団を乾かす・温める家電については、布団乾燥機の電気代は1回いくら?で整理しています。
よくある疑問
乾燥機の電気代は方式によってどれくらい違いますか?
公式仕様をもとに31円/kWhで揃えると、衣類乾燥除湿機F-YHVX120の速乾(75分)は仕様ページの目安で27.5円、ドラム式NA-LX113CLの洗濯乾燥(標準乾燥モード・119分)は960Whから約29.8円です。ただしドラム式は洗濯から乾燥までの全工程の値で、除湿機は乾燥のみの値のため、洗濯込みか乾燥のみかをそろえずに優劣は決められません。浴室暖房乾燥機(FY-13UG7E・1,250W)は、1,250Wが続くと仮定した計算例で3時間約116.25円です(2026年10月時点・メーカー公式仕様と公式試算)。
浴室暖房乾燥機は何分使うと、除湿機やドラム式より高くなりますか?
1,250Wが続くと仮定した計算例では1時間約38.75円なので、約43分でF-YHVX120の速乾1回分(27.5円)、約46分でドラム式NA-LX113CLの標準乾燥1回分(約29.8円)を超えます。1回の使用が短時間で済むなら差は小さく、2〜3時間回すと約77.5〜116.25円と差が開きます。金額だけの比較で、乾かせる量は揃っていません。実際の乾燥時間は洗濯物の量や浴室の条件で変わります(2026年10月時点・各メーカー公式仕様にもとづく計算例)。
パナソニックの記事の「約23.9円」と仕様ページの「27.5円」はなぜ違うのですか?
同じF-YHVX120の速乾75分について、パナソニックの解説記事は約23.9円、同社の仕様ページは27.5円と記載しています。記事の算出式(715W×75分×31円/kWh)で計算すると約27.7円で、23.9円は再現できません。算出条件の詳細は公開されていないため、この記事では仕様ページの27.5円を使います(2026年10月時点・メーカー公式)。
ドラム式洗濯乾燥機の標準乾燥と省エネ乾燥は、電気代でどれだけ差がありますか?
NA-LX113CLの公式仕様では、標準乾燥モードが960Wh・119分、省エネ乾燥モードが680Wh・192分です。31円/kWhで計算すると1回あたり約29.8円と約21.1円で、差は約8.7円、時間は73分長くなります。毎日使う前提(年365回)の計算例では年約3,168円、週3回(年156回)では約1,354円の差です(2026年10月時点・メーカー公式仕様にもとづく計算例)。
電気代そのものを下げたいなら
乾燥方式や使い方を見直すほかに、電気代の単価そのものを下げたい場合は、電力会社やプランを比べる方法もあります。今の料金に納得している方は、読み飛ばして問題ありません。
まとめ
乾燥機の電気代は、数値の「範囲」をそろえてから比べるのが出発点です。公式仕様では、衣類乾燥除湿機F-YHVX120の速乾が27.5円(75分)、ドラム式NA-LX113CLの標準乾燥が洗濯込みで約29.8円(119分)と、数字は近くても含まれる工程が違います。浴室暖房乾燥機は、1,250Wが続くと仮定した計算例で約43分で除湿機の速乾1回分と金額が並び、3時間回すと約116.25円です。ドラム式は、標準と省エネの差が1回約8.7円で、夜間に放置できるなら省エネ乾燥が年約1,354〜3,168円分有利です。パナソニックの解説記事にある23.9円・52円は式で再現できないため、仕様ページの値を優先しました。天気の良い日は自然乾燥を併用し、急ぎや悪天候の日だけ乾燥機に頼る使い分けが電気代の面では現実的です。洗濯そのものの電気代は洗濯機の電気代は1回いくら?、除湿機の方式別の電気代は除湿機の電気代は1時間いくら?で整理しています。
ほかの家電の電気代も比べたい場合は、家電の電気代 早見表でまとめて確認できます。布団を乾かす・温める家電は布団乾燥機の電気代は1回いくら?をご覧ください。




