出発前夜、スーツケースに服を詰め終えて一息つく。ふと検索した「海外旅行 持ち物」には、洗面用具や着替え、常備薬まで並んだ長いリストが出てくる。けれど実際に現地で慌てるのは、たいてい服でも洗面用具でもなく、通信と電源まわりです。スマホが圏外のまま動けない、コンセントの形が合わない、モバイルバッテリーが空港のセキュリティで引っかかる——この記事では、そこだけに絞って整理します。

この記事の要点

  • 一般的な持ち物リストが漏らしがちな「通信・電源」に絞って、出発前に済ませておくことを整理します
  • モバイルバッテリーは2026年4月24日から新ルールが適用され、機内持込みは1人2個まで(160Wh以下)に統一されました(2026年8月時点・国土交通省/JAL/ANA公式)
  • 渡航先ごとの変換プラグやeSIMの詳しい料金は、別記事にまとめています。この記事はその手前の「準備の抜け漏れ」をなくすための一覧です

なぜ「持ち物リスト」なのに通信・電源だけ?

洋服や日用品は、忘れても現地のドラッグストアやコンビニで大抵は買い足せます。一方で、通信と電源のトラブルは、着いた瞬間から旅程全体に響きます。地図が開けない、配車アプリが呼べない、スマホの充電が切れて連絡が取れない——しかも、これらは「知っていれば防げたのに、知らなかったせいで現地で困る」という共通点があります。この記事では、渡航先を問わず共通する準備を先に済ませ、渡航先ごとの細かい違いは個別記事に譲る、という役割分担にしています。

海外旅行で忘れやすい、通信・電源まわりの5つ

  1. eSIM・ローミングの事前設定 — 出発前に自宅のWi-Fi環境で終えておくもの。当日空港でやろうとして電波が悪く手間取るケースが多い項目です。方法の選び方は海外旅行の通信はeSIM・レンタルWiFi・ローミングのどれ? — 3つの違いと選び方、実際の設定手順は「QRコードを読み取ってください」で止まったら — iPhone・AndroidのeSIM設定手順で解説しています
  2. 変換プラグ — 渡航先によってコンセントの形状が違います。国・地域ごとの一覧は海外のコンセント、変換プラグは必要? — 主要渡航先のプラグ形状と電圧の一覧にまとめています
  3. モバイルバッテリー本体の容量表示 — Wh(ワット時定格量)の表示がないと、空港の手荷物検査で機内持込みの可否を判断してもらえないことがあります。次の章で詳しく整理します
  4. モバイルバッテリーの個数 — 2026年4月24日から、1人あたり2個までという新ルールが適用されています(後述)
  5. スマホ・PCの充電器(ACアダプタ)が現地の電圧に対応しているか — 多くは変換プラグだけで済みますが、確認の仕方は海外のコンセント、変換プラグは必要? — 主要渡航先のプラグ形状と電圧の一覧で解説しています

モバイルバッテリーの機内持込みルール — 2026年4月24日から変更

国内外で機内でのモバイルバッテリーの発煙・発火事例が増えたことを受け、国際民間航空機関(ICAO)が国際基準を緊急改訂し、これに合わせて国土交通省が告示を改正しました。新ルールは2026年4月24日(日本時間)から適用されています(2026年8月時点・国土交通省公式「モバイルバッテリーの機内持込みの新たなルールについて」)。

新ルールで追加された内容は次の3点です。

  • 機内持込みのモバイルバッテリーは2個(160Wh以下に限る)まで
  • 機内でモバイルバッテリー本体への充電をしないこと
  • 機内でモバイルバッテリーから他の電子機器への充電をしないこと

もともと、モバイルバッテリーを預け入れ手荷物に入れることは禁止されており、この点は変更されていません。JAL・ANAともにこの内容を反映しており、ANA公式では次のように整理されています(2026年8月時点・ANA公式「機内持ち込み・お預かりに条件があるもの」)。

区分 機内持込み 預け入れ
モバイルバッテリー(160Wh以下) 1人2個まで可 不可
モバイルバッテリー(160Whを超えるもの) 不可 不可

短絡(ショート)を防ぐため、購入時の小売容器に入れるか、端子部分をテープで保護する、あるいは個別のポリ袋に収納することが求められています。なお、JAL公式によれば、国際航空運送協会(IATA)の規定変更により、2027年1月以降はこの上限がさらに100Whに引き下げられる可能性があるとされています。

Wh(ワット時定格量)はどう確認する?

モバイルバッテリー本体に「Wh」の表示がない場合は、次の式で計算できます(2026年8月時点・JAL公式)。

ワット時定格量(Wh)= 定格容量(Ah)× 定格電圧(V)

「mAh」表記の場合は1000で割ってAhに変換してから計算します。市販のモバイルバッテリーの多くは20,000mAh前後で、電圧を3.7Vとすると約74Whとなり、160Whの上限には余裕があります。容量表示が消えかけている、または並行輸入品でWh表示自体がない場合は、空港での持込みが認められないことがあるため、出発前に本体の表示を確認しておくと安心です。

出発前チェックリスト

  • eSIM・ローミングの設定を自宅のWi-Fi環境で終えた
  • 渡航先の変換プラグの形状を確認し、用意した
  • モバイルバッテリーのWh表示を確認した(160Wh以下か)
  • モバイルバッテリーの個数が1人2個以内に収まっているか確認した
  • スマホ・PCの充電器が現地の電圧(多くは100-240V対応)に対応しているか確認した
  • モバイルバッテリーを預け入れ手荷物ではなく機内持込み手荷物に入れた

渡航先ごとの通信準備は? — 国・地域別記事

ここまでは渡航先を問わない共通の準備です。渡航先が決まっている場合は、それぞれの通信事情・料金の目安を次の記事で確認してください。

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よくある不安

モバイルバッテリーは機内に何個まで持ち込めますか?

2026年4月24日から適用されている新ルールでは、機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1人あたり2個まで(160Wh以下に限る)です。160Whを超えるものは機内持込み・預け入れのどちらもできません(2026年8月時点・国土交通省/JAL/ANA公式)。もともとモバイルバッテリーは預け入れ手荷物に入れられない点もあわせて確認しておいてください。

eSIMの設定はいつまでに終わらせておけばいいですか?

eSIMのインストールには安定したインターネット接続が必要なため、出発前に自宅などのWi-Fi環境で済ませておくのが基本です。前日の夜でも間に合いますが、直前だと通信トラブルへの対処時間が取れないため、旅程が決まった時点で一度設定を終えておくと安心です。具体的な操作手順は「QRコードを読み取ってください」で止まったら — iPhone・AndroidのeSIM設定手順で解説しています。

パスポートの残存期間やESTAの手続きもこの記事で確認できますか?

この記事は通信・電源まわりの持ち物に絞って整理しているため、パスポートの残存期間要件やESTAなどの電子渡航認証は扱っていません。パスポートの残存期間はパスポートの残り期間、渡航先ごとに何ヶ月必要? — 外務省公式で国別に整理、ESTAの申請手順はESTA申請の公式サイトはどこ? — 手数料・有効期限・申請手順を米国公式で確認で、それぞれ確認してください。

まとめ

服や日用品は現地でも買い足せますが、通信と電源のトラブルは着いた瞬間から旅程に響きます。eSIMの設定は出発前に自宅で、変換プラグは渡航先の形状を確認して、モバイルバッテリーは容量表示と個数(2026年4月24日以降は1人2個まで・160Wh以下)を確認しておく——この5つを済ませておけば、通信・電源まわりで現地で慌てる場面はほとんどなくなります。渡航先が決まっている場合は、国・地域別の記事もあわせて確認してください。