引越しの荷造りを終えた部屋で、ブレーカーの前に立つ。それとも、実家に戻るための片付けの途中か。あるいは、新しい電力会社に申し込んだあとで、ふと思う。——今の契約、自分で「解約」しなければいけないのだろうか。
電気の「解約」は、場面によって、やることがまったく違います。自分で止める手続きが要る場面と、何もしなくていい場面があるからです。この記事では、その区別と、止めるときに用意するもの、お金の話(最終精算と違約金)を整理します。
この記事の要点
- 電力会社を乗り換える(スイッチング)場合は、申込む会社と手続きをすれば足り、今の会社への解約連絡は必ずしも要りません(電力・ガス取引監視等委員会)。引越しなどで電気を止める場合は、現在の契約先に停止の申込みが必要です
- 用意するのは、お客様番号と供給地点特定番号(22桁)。検針票や請求書で確認できます(2026年10月時点・電力・ガス取引監視等委員会)
- 違約金(契約解除料)の有無は、契約・プランごとの約款で確認します。この記事では一般化しません
「解約」には3つの場面がある
「電気の解約」と言っても、実際には次の3つに分けて考えると迷いません。
| 場面 | 自分で解約の連絡が要るか | 何をする手続きか |
|---|---|---|
| 引越しで旧居の電気を止める | 要る(現在の契約先に停止を申込む) | 旧居の使用停止(新居の使用開始は別の申込み。引越しの電気・ガス手続き) |
| 同居・実家に戻る等で、住まいの電気の契約を止める | 契約をなくす場合は要る(現在の契約先に停止を申込む。会社ごとの案内で確認) | 契約している住まいの使用停止 |
| 電力会社を乗り換える(スイッチング) | 原則、要らない(申込む会社が手続きする) | 切替先への申込み(電力会社の切り替え方法) |
契約者の名前だけを変える場合は、解約ではなく名義変更という別の手続きです。違いは電気の名義変更で整理しています。
乗り換えのときは「解約」が要らない? — 公式の説明
電力・ガス取引監視等委員会は、一般家庭向け(低圧)のスイッチングについて、今後契約を行いたい小売電気事業者と手続きをすれば足り、必ずしも現在契約中の小売電気事業者に連絡をする必要はないと説明しています(令和2年2月28日付・2026年10月時点で同委員会の公開資料として確認)。
切替先に申し込む際の必要事項は、同委員会の令和6年8月の資料で、①現在契約している電力会社名、②現在の電力会社のお客様番号、③供給地点特定番号(22桁)、④切替希望日、⑤本人確認書類などとされています。契約内容の相談は契約先の電力会社に、制度に関する相談は同委員会の相談窓口(03-3501-5725)にと案内されています。同窓口は、相談者と事業者との間のあっせんや仲裁は行っていません(2026年10月時点・電力・ガス取引監視等委員会)。
ここで、注意点も書いておきます。同じ住所での乗り換えは、切替先に申し込む手続きです。旧契約を自分で先に止めないでください。 先に止めてしまうと、新しい契約が始まるまで無契約の期間ができるおそれがあります。切替先の申込み画面や案内で、手続きの流れと切替日を申込み前に確かめてください。引越しで旧居の電気を止める場合は別の手続きで、現在の契約先への停止の申込みが要ります(前の表と引越しの電気・ガス手続きを参照)。
また、同委員会の令和2年の資料は、契約のないまま電気の供給を受ける状態が続けば最終的には供給停止(停電)のおそれがある、と注意しています。解約の連絡だけして、新しい契約を決めていない状態は避けてください。
解約の前に、手元に用意するもの
停止の申込みでも、乗り換えの申込みでも、今の契約を特定するための情報が要ります。
- お客様番号: 検針票(電気ご使用量のお知らせ)や請求書に載っています。検針票の見方は検針票の読み方で整理しています
- 供給地点特定番号(22桁): 電気の供給場所を特定する番号です。同じく検針票などで確認できます(2026年10月時点・電力・ガス取引監視等委員会)
- 契約者名・住所: 申込みの際に確認されます
- (乗り換えの場合)切替希望日と本人確認書類
東京電力エナジーパートナーの引越しのページも、停止の申込みには現在の契約の特定が必要で、検針票(紙またはWEB)を手元に用意すると手続きがスムーズだと案内しています(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。契約先の会社名やプランそのものがわからないときは、今どこの電力会社と、どのプランで契約しているかの確認の順番が参考になります。
解約の流れと最終精算 — 東京電力エナジーパートナーの例
ここからは、公式ページで確認できた東京電力エナジーパートナー(東京電力EP)の案内を例に、停止の流れを見ます。他の電力会社は、それぞれの公式の手続きページで確認してください。
- 申込み方法と時期: 引越しの申込みは、内容により当日から31日先までの日程で受け付けています。申込み後の変更・取消は、停止・開通予定日の1営業日前の12時までWebで可能と案内されています
- 現地での作業: 電気の停止で現地作業が必要な場合は、一般送配電事業者が行います。オートロックなどで立会いが必要なときは、一般送配電事業者または東京電力EPから電話があります
- ブレーカー: 安全のため、引越しの際はブレーカーを「切」にするよう案内されています
- 最終の電気料金: 最終ご使用分の電気料金は、現在の支払方法での支払いとされています(口座振替やクレジットカードなら、その方法のまま精算)
- 複数の契約がある場合: 電灯契約と動力契約など複数の契約があるときは、契約ごとに停止の申込みが必要です
- 太陽光発電の売電契約: 売電契約もあるときは、電気の使用停止日と同日に解約される、とされています
(以上、2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)
最終の検針日や、日割りの計算方法など、会社ごとに異なりうる部分は、この記事では書きません。申込み時の案内か、契約先の約款で確認してください。
違約金(契約解除料)は、約款で確認する
「解約すると違約金がかかるのでは」という心配は、もっともです。ただし、かかるかどうかは契約・プランごとに違うため、この記事では一般化しません。確認する場所は、①契約時の書面やマイページの料金プラン規約、②電力会社の約款、の2つです。
一例として、東京電力EPは、「プレミアムプラン」などの一部のプランについて、契約期間が1年間なら3,000円(税込)、2年間なら5,000円(税込)といった期中解約金を案内しています。同じページに、契約期間満了日から遡った2か月の間に解約する場合や、プラン変更や引越しの申込みで契約を解約する場合は申し受けない、とも書かれています(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。これはあくまで同社の一部プランの例で、他のプランや他社の扱いを示すものではありません。
オール電化・セット割・太陽光の場合に気をつけること
- 電気給湯機器(オール電化など): 東京電力EPは、水が凍結するおそれがある地域で、電気給湯機器の電源を切ったり、配管の凍結防止設備を停止したりすると、機器や配管が破損するおそれがあるため、必要に応じて販売店や管理会社に相談するよう案内しています(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。冬に電気を止める予定がある人は、とくに確認してください
- セット割: 電気とガスなどのセット割は、条件に電気の契約が含まれる場合があります。たとえば東京電力EPのガスセット割は、対象の電気料金プランへの切替えが適用の条件と案内されています(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。電気だけを止めたとき、ガスや通信の割引がどうなるかは、割引ごとの規約で確認が必要です。セット契約の考え方は電気とガスをまとめるデメリット — セット割より単体で選ぶほうが安いケースで整理しています
- 太陽光の売電契約: 上の流れのとおり、売電契約の扱いも確認が必要です
連絡先 — 公式で確認できた会社だけ
連絡先と受付時間は、公式ページで確認できた会社のみ書きます。
- 東京電力エナジーパートナー: カスタマーセンターの受付は月曜日〜土曜日(日曜日・祝日・年末年始を除く)9時〜17時です。電話番号は契約プランなどによって分かれているため、公式のカスタマーセンターのページで自分の契約に合う番号を確認してください。Webの手続きは24時間利用できます。2月〜4月は引越しシーズンで電話が込み合っている、とも案内されています(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)
- 制度に関する相談: 電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口 03-3501-5725(あっせん・仲裁は行っていません)
その他の電力会社は、今回は公式ページで連絡先と受付時間を確認できなかったため、書いていません。契約先の検針票や請求書、マイページに載っている窓口を使ってください。
なお、東京電力EPの直近のお知らせ(2026年10月8日時点で確認した範囲)に、解約の手続きや解約金の変更を告げるものは見当たりませんでした。
この記事が向かない人
- 契約先がわからない人: まず契約先の確認から始めてください
- 契約者の名前だけを変えたい人: 解約ではなく名義変更の手続きです
- 電気代を見直したい人: 解約より先に、電力会社の切り替えのメリット・デメリットを確認してください
よくある疑問
電力会社を乗り換えるとき、今の電力会社に解約の連絡は必要ですか?
原則として必要ありません。電力・ガス取引監視等委員会は、スイッチング(他の小売電気事業者との契約への切り替え)の手続きは、今後契約したい小売電気事業者と手続きをすれば足り、必ずしも現在契約中の事業者に連絡する必要はないと説明しています。ただし、申込む会社やプランによって案内が異なる場合があるため、申込み時の案内に従ってください(2026年10月時点・電力・ガス取引監視等委員会)。
解約や乗り換えの申込みに必要な情報は何ですか?
電力・ガス取引監視等委員会は、現在契約している電力会社名、お客様番号、供給地点特定番号(22桁)、切替希望日、本人確認書類などを挙げています。お客様番号と供給地点特定番号は、検針票(電気ご使用量のお知らせ)や請求書で確認できます(2026年10月時点・電力・ガス取引監視等委員会)。
解約すると違約金(契約解除料)はかかりますか?
契約・プランによります。この記事では一般化せず、約款・料金プランの規約で確認することをお勧めします。たとえば東京電力エナジーパートナーは、一部のプランの期中解約金を案内する一方、引越しの申込みで解約する場合は申し受けないと明記しています。他社の扱いは、それぞれの公式の規約で確認してください(2026年10月時点・東京電力エナジーパートナー公式)。
次の契約先を検討するなら
ここまでの解約の手続きとは別の話として、次の契約先を検討する場合の情報です。同じ住所での乗り換えは、旧契約を解約する前に切替先へ申し込みます。解約の手続きだけが必要な方や、すでに次の契約先が決まっている方は、読み飛ばして問題ありません。
まとめ
電気の「解約」は、止める手続きが要る場面と、乗り換えのように何もしなくていい場面に分かれます。引越しや同居で電気を止めるなら、現在の契約先に停止の申込みを。電力会社を乗り換えるなら、切替先に申し込めば足りるのが原則で、旧契約先への連絡が必要かは申込み時の案内で確かめる。
手元に用意するのは、お客様番号と供給地点特定番号。違約金は、約款とプランの規約で。この3点を押さえておけば、「解約したつもりで契約が残っていた」「解約したら思わぬ料金がかかった」を避けやすくなります。




