「TOEIC を受けることにしたけれど、何から勉強すればいいのか分からない」。教材を買う前に決めたいのは、いまの自分がどこで点を落としているかです。IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)は、スコア帯ごとの特徴(Score Descriptors)と、項目別正答率(Abilities Measured)を公開しています。この記事は、その公式情報を診断の物差しにして、スコア帯と残り期間で練習の順番を分けます。診断結果から練習の順番を決める整理は運営者によるもので、特定の勉強法や点数の上がり方を保証するものではありません。確認日は2026年10月です。
この記事の要点
- 練習の前に診断します。スコアがある人は、Score Descriptors と項目別正答率で弱点を探し、スコアがない人は、公式問題集かサンプル問題を時間を測って解きます
- スコア帯ごとに、公式が書く「つまずきやすい点」が違います。リスニング270点以下とリーディング220点以下では語彙・基本の文法や短い文の聞き取りから、それ以上の帯では、言い換え・文をまたぐ結びつきの確認へと重心が移ります(運営者の読み取り)
- 結果の確認には時間差があります。スコア表示は試験日の17日後、「あなたへのアドバイス」は19日後です。次の受験を結果の前に申し込む必要があるかで、計画が変わります
- 誤答の減点はありません。迷ったときも解答欄を埋めること、リーディングは最後の問題まで届く配分にすることが、IIBC の結果案内で示されています
診断1: すでにスコアがある人は、スコア帯と項目別正答率を見る
IIBC は、スコアを3〜4つの帯に分け、各帯の受験者が「一般的に」できること・難しいことを文章で示しています(Score Descriptors)。特定の個人の能力を保証するものではなく、典型的な傾向の記述です。以下は、その内容を運営者が短くまとめたものです。表現は公式ページの原文で確かめてください。
| セクション | スコア帯 | 公式が書く、つまずきやすい点(要約) | 練習の重心(運営者の読み取り) |
|---|---|---|---|
| リスニング | 270以下 | 短く直接的な話でも要旨や状況を取り損ねる。難語・否定・複雑な構造で詰まる。長い話の中ほどの情報や言い換えはほぼ分からない | Part 1・2(一文単位)と、Part 3 の短い会話の詳細確認から |
| リスニング | 275〜370 | 間接的な応答、難しい語、広い範囲の情報を結ぶ設問で要旨を取り損ねる。複雑な構造や否定の詳細を落としやすい | Part 3・4 の、応答が遠回しな設問と否定を含む設問 |
| リスニング | 375以上 | 稀な語彙や文法が出たときだけ弱い | 項目別正答率で、弱い項目を個別に確認 |
| リーディング | 220以下 | 設問と同じ語を探して答える段階。推論はできず、語彙が限られ、単純な文法も他の難しさが重なると崩れる | Part 5(語彙・文法)の土台から |
| リーディング | 225〜320 | 短い文章の簡単な推論や、語が一致する事実確認はできる。言い換えを要する設問や、文をまたぐ結びつきに弱い | Part 6 と、Part 7 の1つの文書 |
| リーディング | 325〜420 | 広い範囲の情報を結びつけることと、意味の近い語の区別に弱い | Part 7 の複数の文書、語彙 |
| リーディング | 425以上 | 情報が詰まった表現や非常に難しい語彙のときだけ弱い | 時間配分と、項目別正答率の弱い項目 |
IIBC は、スコアの下の「Abilities Measured(項目別正答率)」も公表しています。リスニングは「短い話の要旨」「長い話の要旨」「短い話の詳細」「長い話の詳細」「話し手の意図や含意」の5項目、リーディングは「文書からの推論」「特定の情報の理解」「情報の結びつけ」「語彙」「文法」の5項目で、受けた回の正答率が示されます。注意点として、公式ページは、この正答率を別の回の結果や他の回の受験者と比べることはできないと書いています。点数が同じでも、弱い項目は人によって違います。
さらに、直近の公開テストの結果には、ログイン後に見られる「あなたへのアドバイス」があります。パートごとの正答率をレーダーチャートで示し、ひとつ上のスコア帯の受験者の結果と比べて、優先するパートを示すと説明されています。この機能で見られるのは直近の1回分です。
迷う場合の分け方
- リスニングとリーディングで、帯が離れている: 低いほうの帯の行を先に見ます。点数の差が大きい側にまとまった時間を回すほうが、診断と練習が対応しやすいためです(運営者の整理)
- 項目別正答率で、帯の記述と違うところが弱い: 帯の記述は典型例です。自分の項目別正答率を優先してください
- 同じ帯の中で、語彙・文法とそれ以外のどちらが弱いか分からない: リーディングは Part 5 の正答率と、Part 7 の正答率を比べると、語彙・文法の不足か、読み取りの不足かが分けやすくなります(運営者の整理)
診断2: スコアがない人は、サンプルで形式を見て、問題集で時間配分を診断する
サンプル問題と公式問題集は、役割が違います(運営者の整理)。
- サンプル問題(形式確認): 公式サイトで、ログインなしで閲覧できます。各パートの問題の形を見るためのもので、問題数が少ないため、75分・100問のような時間配分や弱点の診断には使えません。著作権は ETS にあり、複製や配布は禁止されています
- 公式問題集(時間配分の診断): IIBC の公式ページで、ETS が実際のテストと同じプロセスで作成した問題を収録した教材と説明されています。診断には、リーディング75分を計って通して解く使い方が合います
診断のやり方は、次のとおりです。
- リーディングは75分を計り、最後の問題まで解く。時間内に届かなければ、止まった問題番号を記録する
- リスニングは音声を止めずに通して解き、Part ごとの正答数を書く
- 間違えた問題を「語彙・文法」「聞き取れない」「聞き取れたが選べない」「文をまたぐ結びつき」「時間切れ」に分ける
IIBC は、誤答に減点がないため、迷ったときも解答欄を埋めること、リーディングを最後まで解き切る配分を意識することを案内しています。時間切れが多い場合は、知識の不足とは別の対策(配分)が必要になります。
診断のあとの復習と解き直し
分類ごとの復習の進め方は、次のとおりです。IIBC が復習法を定めているわけではなく、公式の診断項目に合わせた運営者の整理で、特定の勉強法を勧めるものではありません。
| 誤答の分類 | 復習の例 | 解き直す時期 | 次へ進む確認 |
|---|---|---|---|
| 語彙・文法 | 解説で理由を確かめ、語や文型を書き出す | 数日後に同じ問題 | 理由を自分の言葉で説明できる |
| 聞き取れない | 問題を解いたあとに音声を聞き直し、スクリプトで聞き取れなかった箇所を確かめる | 数日後に音声だけで | スクリプトなしで同じ箇所を聞き取れる |
| 聞き取れたが選べない | 正解の根拠になる箇所と、誤答の選択肢が外れた理由を確かめる | 数日後 | 根拠の箇所を指せる |
| 文をまたぐ結びつき | 設問が求める情報が文章のどこにあったかを確認する | 数日後 | 設問を見て、探す場所を先に言える |
| 時間切れ | 止まった問題番号を記録し、どの Part に時間がかかったかを見る | 次の通し演習で | 最後の問題まで届く |
「数日後」は目安で、公式に根拠のある間隔ではありません。同じ分類の誤答が次の解き直しでも減らないときは、その分類に対応する診断1の行へ戻ります。
残り期間で、診断の使い方を分ける
結果の確認には時間差があります。IIBC の案内では、スコアのインターネット表示は試験日の17日後、「あなたへのアドバイス」は19日後です。いっぽう、公開テストは日程ごとに申込期間が決まっています。次の表で、試験日+19日と、次の回の締切を比べます。
| 試験日 | インターネット申込期間 | デジタル公式認定証の発行予定日 |
|---|---|---|
| 2026年12月6日(日) | 2026年9月11日(金)10:00〜10月26日(月)15:00 | 2026年12月23日(水) |
| 2026年12月19日(土) | 2026年10月6日(火)10:00〜11月11日(水)15:00 | 2027年1月8日(金) |
| 2027年1月10日(日) | 2026年10月27日(火)10:00〜11月26日(木)15:00 | 2027年1月28日(木) |
| 2027年1月24日(日) | 2026年11月11日(水)10:00〜12月9日(水)15:00 | 2027年2月11日(木) |
| 2027年2月14日(日) | 2026年11月27日(金)10:00〜2027年1月7日(木)15:00 | 2027年3月4日(木) |
| 2027年3月6日(土) | 2026年12月10日(木)10:00〜2027年1月27日(水)15:00 | 2027年3月26日(金) |
| 2027年3月14日(日) | 2027年1月6日(水)10:00〜2月3日(水)15:00 | 2027年4月1日(木) |
たとえば2026年12月6日の回を受けると、「あなたへのアドバイス」が見られるのは12月25日です。その日に締切が過ぎていない回は、2027年2月14日(締切1月7日)、3月6日、3月14日で、1月10日(締切11月26日)と1月24日(締切12月9日)の回は、結果を見る前に申込が締まります。この計算は上の日程表(IIBC・2026年10月時点)にもとづきます。
| 残り期間 | 診断の使い方 |
|---|---|
| 次の受験まで、結果を見てから申し込める回がある | 1回目を診断として使う。結果で練習の順番を決め、次の回に向けて練習する |
| 受けられる回が1回しかない | 受験前に、公式問題集やサンプル問題で診断し、その回を本番にする。診断1の表の重心で、時間をかける範囲を絞る |
| 締切が間近で、診断する時間がない | 診断を省いて勉強を始めない。最低でもリーディングを75分通して解き、時間切れの有無を確認する(運営者の整理) |
目標の置き方: CEFR の対応は「最低ライン」として見る
IIBC が公表しているスコアと CEFR(欧州評議会の言語能力の枠組み)の対応は、ETS が2006年に行った標準設定研究(2008年報告)にもとづく概略です。各レベルに達する最低ラインを示すもので、典型的な使用者とは別です。
| CEFR | リスニング(最低ライン) | リーディング(最低ライン) |
|---|---|---|
| A1 | 60 | 60 |
| A2 | 110 | 115 |
| B1 | 275 | 275 |
| B2 | 400 | 385 |
| C1 | 490 | 455 |
各セクションのスコア範囲は5〜495点です。C2 は対象外です。この表は、目標スコアを決める材料になります。ただし、勉強期間や方法とは、公式資料からは結びつきません。目標スコアは、受験の目的(昇進の要件、応募条件など)から逆算して決めるのが現実的です。CEFR の段階を無料の教材で整理した記事は英会話の独学、公式の無料教材はどこまで使える?にあります。この記事は話す力の独学が中心で、TOEIC は聞く・読む力の試験である点が異なります。
参考: 試験の基本情報
勉強の順番を決めたあとに確認する情報です。IIBC の公式ページによると、TOEIC L&R は聞く力と読む力を測る試験で、合否はなく、10〜990点のスコアで結果が示されます。英文のみで構成され、英文和訳や和文英訳の設問はありません。
| セクション | パート | 内容 | 問題数 |
|---|---|---|---|
| リスニング(約45分・100問) | Part 1 | 写真描写問題 | 6問 |
| Part 2 | 応答問題 | 25問 | |
| Part 3 | 会話問題 | 39問 | |
| Part 4 | 説明文問題 | 30問 | |
| リーディング(75分・100問) | Part 5 | 短文穴埋め問題 | 30問 |
| Part 6 | 長文穴埋め問題 | 16問 | |
| Part 7 | 1つの文書(29問)、複数の文書(25問) | 54問 |
- 受験料: 公開テストは7,810円(税込)です。申込は公式の申込サイトで、会員登録が必要です。割引制度や支払方法は別ページで案内されています
- 結果: スコアの表示は試験日の17日後、デジタル公式認定証の発行は19日後です。紙の公式認定証は、申込時に希望した人だけに試験日から30日以内に発送されます。日米の祝日で遅れる場合があります
- 当日の持ち物: 受験票、証明写真1枚、有効期限内の顔写真付き本人確認書類の原本、鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム、腕時計です。携帯電話やスマートウォッチは時計として使えません。書類や写真が欠けると受験できず、受験料は返金されません
- 公式の学習コンテンツ: 公式問題集(価格は公式ページに記載なし)、公式アプリ、eラーニングなどがあります。IIBC 公式アプリ案内では、アプリ内の English Upgrader が無料と明記されています。ほかのコンテンツは、料金の記載が確認できなかったため、使う前に各リンク先で確認してください
日程や受験地は追加・変更されることがあります。申込の前に、IIBC の公式ページで最新の内容を確認してください。
向かない人・迷いやすいところ
- 話す・書く力をつけたい人: TOEIC L&R は聞く・読む力の試験で、話す・書く力は測りません。話す練習の選び方は、オンライン英会話はどう選ぶ?とAI英会話アプリは何を比べればいい?で比較しています
- 指導つきで学びたい人: 学習の予定管理や添削が必要なら、英語コーチングも選択肢です。この記事の範囲は、公式情報にもとづく診断と順番の整理までです
- 点数や期間の見通しを知りたい人: 公式情報からは確認できません。この記事の診断は、次に何を練習するかを決めるためのもので、点数の見通しを示すものではありません
- スコア帯の記述が自分に合わない人: Score Descriptors は典型的な傾向の記述です。自分の項目別正答率と食い違うときは、正答率を優先してください
よくある不安
TOEIC の勉強は、何から始めればよいですか?
まず弱点を診断します。すでにスコアがある人は、リスニングとリーディングのスコア帯を IIBC の Score Descriptors と照らし、項目別正答率(Abilities Measured)で弱いパートを確かめます。スコアがない人は、公式問題集かサンプル問題で1セクションを時間を測って解き、どのパートで止まるかを見ます。診断の結果で練習の順番を決める整理は、この記事の運営者によるものです(2026年10月時点)。
受験日まで時間が少ないときは、どう進めればよいですか?
次の受験の申込が1回分しか間に合わないなら、受験前に公式問題集などで時間を測って診断し、その回を本番にします。2回以上受けられるなら、1回目の結果(スコア表示は試験日の17日後、「あなたへのアドバイス」は19日後)を診断として使えます。ただし結果が出る前に申込が締め切られる回もあるため、日程表で試験日+19日と次回の締切を比べてください。
TOEIC L&R は何問で、何分かかりますか?
IIBC の公式ページでは、リスニングが約45分・100問、リーディングが75分・100問で、合計200問・約2時間です。マークシート方式で、出題形式は毎回同じとされています。パートはリスニングが Part 1〜4、リーディングが Part 5〜7 です(2026年10月時点)。
TOEIC の受験料はいくらですか?
IIBC の公式ページには、TOEIC L&R 公開テストの受験料として7,810円(税込)と書かれています(2026年10月時点)。申込には会員登録が必要で、割引制度や支払方法は別ページで案内されています。
TOEIC の勉強法を、点数や期間つきで教えてもらえますか?
この記事では約束しません。「◯か月で◯点」といった根拠を、IIBC の公式情報からは確認できなかったためです。この記事が示すのは、診断の仕方と、診断結果による練習の順番の整理までです。
英語学習の先に、留学を考えるなら
TOEIC の勉強や受験の選び方とは別の話として、実際に海外で英語を使う留学やワーホリを考える方向けの情報です。日本での学習や受験で十分な方や、留学の予定がない方は、読み飛ばして問題ありません。社会人が仕事を続けながら行ける期間の考え方は、社会人の短期留学は何日行ける?にまとめています。
まとめ
TOEIC の勉強は、練習の前に診断を置くところから始まります。スコアがある人は、リスニングとリーディングのスコア帯を IIBC の Score Descriptors と照らし、項目別正答率で弱い項目を確かめます。スコアがない人は、公式問題集かサンプル問題を時間を測って解きます。結果の確認には17日・19日の時間差があるため、次の受験の締切と比べて、診断に使える回数を数えます。「◯か月で◯点」と言い切れる根拠は、今回確認した IIBC 公式資料では確認できませんでした。まず診断を済ませ、自分の弱点に合う練習から始めてください。




