「格安SIMに乗り換えたいけれど、今の電話番号は変えたくない」「手続きが複雑そうで踏み出せない」という声はよく聞かれます。実際には、電話番号ポータビリティ(MNP)の仕組みと、2023年から順次導入された「MNPワンストップ方式」により、乗り換えの手間はこれまでよりも小さくなっています。この記事では、総務省が公開している情報にもとづいて、MNPの手順とあわせて確認しておきたい注意点を整理します。

MNP(電話番号ポータビリティ)とは

MNPは、携帯会社を乗り換えても今の電話番号をそのまま使い続けられる仕組みです。総務省の携帯電話ポータルサイトでは、「MNP手数料の無料化、違約金の撤廃、キャリアメールの持ち運び開始、SIMロックの原則禁止などにより、携帯会社の乗換えがしやすくなりました」と説明されており、番号を変えずに乗り換えるハードルは制度面で段階的に下がってきています。

「MNPワンストップ方式」で何が変わったか

従来のMNPでは、まず今契約している携帯会社で「MNP予約番号」を発行してもらい、その番号を乗り換え先に伝えて申し込むという、いわば「ツーストップ」の手続きが必要でした。

これに対して、2023年5月24日以降に導入された「MNPワンストップ方式」では、乗り換え先のWebサイトで申し込むだけで手続きが完結し、MNP予約番号をあらかじめ発行してもらう必要がありません。申し込みの過程で乗り換え元のマイページにログインする操作が求められ、それによって自動的に元の契約が解約される仕組みです。ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルといった主要事業者はこの方式に対応しているとされていますが、事業者やプランによって対応状況が異なる場合があるため、申し込み前に乗り換え先の公式サイトで確認することをおすすめします。なお、電話や店舗での乗り換えでは、従来どおりMNP予約番号を発行してもらう「ツーストップ方式」の手続きが必要です。

乗り換えの手順(一般的な流れ)

総務省の説明を参考に、一般的な乗り換えの流れを整理すると次のようになります。

手順 内容
1. 現在の利用状況を確認 契約中のプラン、データ利用量、契約更新月、端末の残債務の有無を確認する
2. 乗り換え候補を探す データ容量・回線品質・料金・サポート・キャンペーンなどの基準で候補を絞る
3. 料金を比較する 基本料金だけでなく、通話料・事務手数料・割引条件まで含めて比較する
4. 端末の継続利用を判断する 今の端末を使い続けるか、乗り換え先で新しい端末を用意するかを決める
5. SIMロックを確認する 端末にSIMロックがかかっている場合は、解除の要否を確認する
6. 乗り換え先に申し込む MNPワンストップ対応ならWebで申し込み、非対応・店舗利用ならMNP予約番号を先に取得する
7. SIMカード・eSIMを受け取る 郵送または店舗でSIMカード・eSIMのプロファイルを受け取る
8. 回線を切り替える 案内に沿って回線切り替えの手続きを行う(多くの場合、数分〜当日中に完了)
9. 初期設定を行う APN設定など、端末側の初期設定を行って通信を確認する

費用はどれくらいかかるか

総務省の説明によると、乗り換えにかかる主な費用は次のとおりです。

  • MNP転出手数料: Web申し込みは無料、電話・店舗申し込みでは1,100円以下の手数料がかかる場合がある
  • SIMロック解除手数料: Webでの手続きは無料、電話・店舗では3,300円程度かかる場合がある
  • 契約事務手数料(乗り換え先): 概ね3,300円前後(店舗利用時に発生しやすい)
  • 違約金: 契約期間の定めがあるプランで、期間の途中に解約した場合に発生する可能性がある

Webで完結させる場合は費用を抑えやすい一方、店舗でのサポートを受けながら手続きしたい場合は、一定の手数料がかかる可能性がある点を踏まえておくとよいでしょう。

SIMロックの現状

総務省の携帯電話ポータルサイトでは、SIMロックの原則禁止も乗り換えをしやすくした要因のひとつとして挙げられています。近年に発売された端末の多くは、購入時点からSIMロックがかけられていないとされていますが、それより前に購入した端末や一部の例外的な端末では、乗り換え前にSIMロック解除の手続きが必要になる場合があります。手続き自体はオンラインであれば無料であることが多いため、乗り換え前に一度、端末のSIMロック状況を確認しておくと安心です。

違約金・解約金の現状

かつては2年契約を中途解約すると高額な違約金が発生するプランが一般的でしたが、制度の見直しが進んだことで、現在は契約期間の定めがないプランを提供する事業者も増えています。ただし、事業者やプランによっては、短期間での解約に別の名目で手数料が発生する場合もあります。たとえば楽天モバイルでは、2026年4月以降、回線利用開始から1年以内に解約・契約解除した場合に、契約中プランの月額最低利用料金1か月分にあたる解約事務手数料が発生する仕組みが導入されています。「違約金は原則なくなった」と一括りにせず、契約前に該当プランの条件を確認することが大切です。

タイミングを見極めるポイント

乗り換えのタイミングを検討する際は、次の点も確認しておくと後悔が少なくなります。

  • 現在の契約に更新月や短期解約時の手数料の定めがないか
  • 月の途中で乗り換えた場合、日割り計算の対象になるか(対象外だと二重に基本料金がかかることがあります)
  • 端末を分割払いで購入している場合、乗り換え後も端末代金の支払いは継続する点
  • 家族割・セット割を利用している場合、自分だけが乗り換えることで他の家族の割引額が変わらないか

まとめ

MNPワンストップ方式の導入により、電話番号を変えずに携帯会社を乗り換える手続きはオンラインで完結しやすくなりました。一方で、SIMロックの解除要否や、事業者ごとに異なる違約金・短期解約時の手数料の有無は、依然として契約前に確認しておくべきポイントです。乗り換え先の候補選びについては、格安SIMの選び方 5つの基準【2026年版】もあわせてご覧ください。

本記事は公開情報に基づく解説であり、最新の料金・条件は各公式サイトでご確認ください。