保安検査場の手前で、ペットボトルの水を捨てる。出発ロビーのゴミ箱の前で、お気に入りのハンドクリームの大きなチューブをどうするか迷う。国際線の保安検査では、そんな場面が毎日のように起きています。

一度つまずいたことがある人でも、「どこまでが液体なのか」「乗継ぎでも同じなのか」は意外とあいまいなままです。この記事では、国土交通省と成田国際空港の公式情報で確認できた範囲で、ルールと例外を整理します(2026年10月時点)。

この記事の要点

  • 日本を出発する国際線では、100ml(g)以下の容器に入れ、1リットル以下のジッパー付き透明袋に入れたものを1人1袋まで客室内に持ち込めます
  • 対象は飲み物だけではありません。ジェル・クリーム・歯磨き粉・エアゾールなども液体物に含まれます(ただし、危険物として禁止・制限されるスプレーなどは別の扱いです)
  • 医薬品・乳幼児食品などは例外ですが、検査員への申告が必要です。海外で乗り継ぐ場合、免税店で買った液体は再検査で没収される可能性があります

国際線の液体物ルールの基本 — 100ml・1リットル袋・1人1袋

国土交通省の報道発表資料は、国際線の客室内持ち込みについて、液体物を「100ml以下の容器に入れ、1リットル以下の透明プラスチック製の袋に入れる」方法を示しています。成田国際空港の公式ページでも、同じ内容が次のように案内されています(2026年10月時点)。

  • 100ml(g)を超える容器に入った液体物は、機内への持ち込みが禁止されている
  • 100ml以下の容器を、縦20cm以下×横20cm以下・容量1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋に入れる
  • 透明袋の持ち込みは、お1人につき1つのみ
  • 100mlを超える液体物は、預け入れ手荷物(スーツケースなど)に入れてチェックインカウンターで預ける(危険物として預け入れも制限・禁止されるものを除く)

ここで見落としやすいのは、「100ml」は容器の大きさの基準だという点です。中身が半分しか入っていない200mlのボトルは、持ち込めません。反対に、100ml以下の容器に入った液体は、袋に入る範囲で複数持ち込めます。

「液体」に含まれるものは? — ジェル・クリーム・歯磨き粉まで

国土交通省の「量的制限の対象となる液体物のリスト」(平成27年10月1日現在)は、液体物には「液体」に加えて「ジェル類」と「エアゾール(煙霧質)」が含まれ、容器に入れないとその形を保てない半液体状のものも対象になると説明しています。

分類 リストに載っている例
飲み物 水、お茶、コーヒー、ジュース、牛乳、酒類 など
食品 ジャム、はちみつ、調味料、ヨーグルト、プリン、ゼリー、アイスクリーム、味噌、漬物 など
化粧品・日用品 歯磨き粉(ハミガキ)、シャンプー、リンス、洗顔フォーム、マニキュア、除光液、香水、保湿クリーム、ジェル状の整髪料・制汗剤 など
その他 家庭用洗剤、靴クリーム、水のり、修正液 など

これらは、危険物として禁止・制限されるものを除き、100ml以下の個別の容器に入れ、1リットル以下の透明袋に入れれば持ち込めます。同じリストでは、エアゾール(スプレー)のうち、次のものは別の扱いになっています。

  • 防水スプレー、静電気防止スプレー、滑り止めスプレー、スプレーのりなどのガスボンベ式スプレー: 客室内への持ち込みはできません。カウンターで受託手荷物として預けることは可能ですが、量の制限などがあります
  • 塗料スプレー、模型用スプレー、パンク修理スプレー、催涙スプレー、酸素スプレー、エアダスターなど: 客室内への持ち込みも、受託手荷物として預けることもできません

なお、美容スプレー、制汗スプレー、ヘアスプレーなどの化粧品類のスプレーは、リスト上、量的制限の対象として載っています。個別の品が当てはまるかは、迷うときは航空会社に確認してください。

一方、チョコレートやクッキー、干し椎茸のような乾物など、液体物の対象外とされているものは、量にかかわらず持ち込めます。判断が分かれるものについて、国土交通省は「具体的な判断は、最終的には、保安検査場における検査員が行う」としています。迷うものは預け入れ手荷物に入れるのが確実です。

医薬品・ベビーフードなどの例外 — 申告が必要

上記のリストでは、次のものが「液体物の対象ではあるが例外」とされています。100ml以下という容器の制限も、透明袋に入れる必要もありませんが、検査員に申し出る必要があります(2026年10月時点)。

  • 液状・ジェル状の処方薬、市販薬(目薬、液状風邪薬、咳止めシロップ、コンタクトレンズの保存液など)
  • 糖尿病患者用の食品など、食事療法が必要な人のための水・ジュース・液状栄養食品
  • 乳幼児食品・母乳・妊産婦用食品など(乳幼児同伴の場合に限る)。離乳食、乳児用飲料などが例に挙がっています
  • 要冷蔵薬(インシュリンなど)を冷やす目的で同梱されている氷・保冷材

ただし、持ち込めるのは「客室内で必要となる量に限って」です。検査員は、処方箋の写し、薬袋、診断書などの提示を求めることがあり、疑わしい場合は接触検査や開披検査を行うことがあります。なお、100ml以下の個別の容器に入った液状・ジェル状の薬は、透明袋に入れれば、申告せずに他の液体物と同じように持ち込めます。

海外の乗継空港では、その国・空港の検査に従うことになります。乗継ぎがある場合は、搭乗する航空会社に事前に確認してください。

免税店で買った液体と乗継の再検査

日本の出発手続きで保安検査を通過した後(搭乗待合いエリア)の免税店で買った酒類や化粧品は、液体物であっても、日本発の機内には持ち込めます。成田国際空港の公式ページでも、保安検査の前に持っている液体は手荷物として持ち込めず預け入れ、保安検査後に買った免税品は持ち込めるという区別で案内されています。

問題は、海外で乗り継ぐ場合です。国土交通省のリストは、保安検査後に買ったものでも「海外で乗り継ぐ場合は、再検査の際に、海外のルールに従い没収される可能性がありますので、事前に搭乗する航空会社に確認をお願いします」としています。乗継空港でもう一度、保安検査があるためです。

免税品の袋「STEBs」とは

国土交通省は、平成27年10月27日から、成田・関西・中部空港の空港内免税店で、海外で乗り継ぐ旅客が100mlを超える酒・化粧品などの液体物を購入できるようにしたと発表しました(平成27年10月20日の報道発表資料)。購入時に、国際的に仕様が定められた特殊な袋「STEBs(Security Tamper Evident Bags)」に入れ、乗継空港で保安検査を受けるまで開封しないことが条件です。開封すると痕跡が残り、液体物の安全性が確認できなくなるため、保安検査を通過できなくなります。成田国際空港の公式ページでも、STEBsの導入が案内されています。

この発表は平成27年時点のものです。この記事を書いた時点で、現在すべての空港・店舗でSTEBsが使えるかどうかは確認できていません。国土交通省の資料も、市中の免税店(消費税の免税店)で買ったものは従来どおり量的制限の対象で、預け入れ手荷物にする必要があるとしています。

乗継で没収される典型例

  • 保安検査後の免税店で買った大きなボトルを、袋に入れずに持って乗り継ぎ、乗継空港の再検査で止められる
  • STEBsの袋を乗継前に開けてしまい、保安検査を通過できなくなる

乗継ぎがある旅程は、搭乗する航空会社に事前に確認するのが確実です。到着後の乗継空港で検査のルールが日本と同じとは限りません。

新しい検査機・液体を出さなくてよいレーンについて

日本の空港では、CT技術を使った検査装置の導入が進んでいます。国土交通省の報道発表資料によると、羽田空港国際線ターミナルでは平成30年(2018年)4月19日にCT型の機内持込手荷物検査用X線検査装置の運用が始まりました。CT技術により、全方向からモニタ確認が可能な画像を生成でき、従来の装置よりも高い検知能力を持つ、と説明されています。

ただし、この発表資料では、液体物の取り出しを不要にするかどうかは書かれていません。

新しい検査機の導入例として、那覇空港旅客ターミナルビルの公式のお知らせ(2025年4月3日)では、国際線保安検査場にスマートレーン(スマートセキュリティシステム)2台を導入し、令和7年(2025年)3月31日から順次運用を開始すると案内されています。従来の検査機器との併用です。このレーンでは、手荷物からパソコンや携帯電話を取り出す必要がありません。一方で、お知らせには「これまで通りペットボトル飲料を含む100mlを超える容器に入った液体物は持ち込めません」とも書かれており、新しい検査機でも液体物のルールは変わりません。同じお知らせの範囲で、100ml以下の液体を入れた透明袋を取り出すかどうかは確認できませんでした。

関西空港のスマートレーンの案内ページは、アクセスできず内容を確認できていません。そのほかの空港・検査場・レーンの導入状況も確認できていないため、「液体物を手荷物から出さなくてよいレーン」が全国に広がっているとは言えません。

そのため、次の点だけ覚えておいてください。

  • 液体物を取り出さなくてよいかどうかは、空港・検査場・レーンによって異なる可能性があるため、現地の案内表示や係員の指示に従う
  • 検査機の種類にかかわらず、持ち込める液体の量(100ml以下・1リットル袋・1人1袋)のルールが変わるとは、確認できていない
  • 海外の乗継空港では、日本と同じ検査機やレーンが使えるとは限りません。乗継空港の保安検査については、航空会社や空港の案内に従う

国内線との違い

国土交通省の「機内への持込み又はお預け手荷物に制限がある品目の代表例」(令和8年4月24日更新)は、100ml・1リットル袋の制限を、日本を出発する国際線の客室内持ち込み向けのものとして案内しています。国内線では、同じ一覧で次のような数量の上限が示されています。

  • 化粧品類(ヘアスプレー、化粧水、日焼け止め、除光液、香水など):1容器あたり0.5リットル(0.5kg)以下、1人あたり2リットル(2kg)以下
  • 医薬品類(消炎鎮痛剤、虫よけ、消毒剤など):同様に1容器0.5リットル以下、1人2リットル以下
  • アルコール度数が24%を超え70%以下の酒類:1人あたり5リットルまで。70%を超えるものは持ち込み・預け入れともできません

航空会社の社内規則で、さらに厳しく制限されている場合もあります。国内線の乗継ぎや、国内線と国際線を同じ日に乗り継ぐ旅程は、利用する航空会社に確認してください。

出発前チェックリスト

  1. 機内で使いたい液体は、100ml以下の容器に詰め替える(容器の大きさが基準)
  2. ジェル・クリーム・歯磨き粉・化粧品類のスプレーも、液体物として透明袋にまとめる。防水スプレー・塗料スプレーなど、危険物として禁止・制限されるものは対象外(持ち込み不可または預け入れも不可)なので、国土交通省のリストで確認する
  3. 袋は1人1つ。ジッパーが閉まる容量1リットル以下のもの
  4. 薬・ベビーフードは、検査員に申告できるように取り出しやすい場所に入れ、処方箋の写しや薬袋を用意する
  5. 乗継ぎがあるなら、免税店での購入前に航空会社へ確認。STEBsを使う場合は乗継空港の保安検査まで開封しない
  6. 100mlを超えるもの(危険物として預け入れも制限・禁止されるものを除く)は、預け入れ手荷物へ

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よくある不安

国際線の機内に持ち込める液体は、何mlまでですか?

1つあたり100ml(g)以下の容器に入れ、それらを容量1リットル以下のジッパー付き透明プラスチック袋にまとめたものを、1人1袋まで客室内に持ち込めます。100mlを超える容器は、中身が少なくても持ち込めません(2026年10月時点・国土交通省・成田国際空港公式)。

歯磨き粉やジェル、化粧品のクリームも液体の扱いですか?

はい。国土交通省は、液体物には「液体」に加えて「ジェル類」と「エアゾール(煙霧質)」が含まれ、容器に入れないと形を保てない半液体状のものも対象としています。歯磨き粉・シャンプー・保湿クリームなども100ml以下の容器に入れて透明袋に入れる必要があります(2026年10月時点・国土交通省公式)。

薬やベビーフードは100mlを超えても持ち込めますか?

医薬品、乳幼児食品(乳幼児同伴の場合)、糖尿病患者用食品などの特別な食事は例外です。客室内で必要な量に限り、検査員に申し出れば容器の大きさや袋の制限なしで持ち込めます。処方箋の写しや薬袋などの提示を求められる場合があります(2026年10月時点・国土交通省公式)。

免税店で買った酒や化粧品は、乗継の空港でも持ち込めますか?

保安検査後の免税店で買った液体は日本出発時の機内に持ち込めますが、海外で乗り継ぐ場合は再検査で海外のルールに従って没収される可能性があると国土交通省が案内しています。購入時に専用の袋(STEBs)に入れ、乗継空港の保安検査まで開封しない方法がありますが、すべての空港・店舗で使えるとは限らないため、搭乗する航空会社に事前に確認してください(2026年10月時点)。

国内線でも100mlの制限はありますか?

国土交通省は、100ml・1リットル袋の制限を「日本を出発する国際線」の客室内持ち込みについて案内しています。国内線は、化粧品類・医薬品類・スプレーなどに別の数量の上限があります(令和8年4月24日更新の国土交通省の一覧)。詳しくは利用する航空会社に確認してください(2026年10月時点)。

渡航先での通信の準備もしておくなら

機内持ち込みのルールとは別の話として、渡航先での通信手段を事前に決めておきたい方向けの情報です。必要なければ読み飛ばしても問題ありません。海外で使う通信手段にはローミングやレンタルWiFiなどもあるため、必要になった時点で比べて選べば足ります。

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まとめ

国際線の液体物は、「100ml以下の容器・1リットル以下の透明袋・1人1袋」が基本で、ジェルやクリーム、歯磨き粉も対象です。医薬品やベビーフードは例外ですが、申告と必要な量の範囲が条件になります。乗継ぎがある旅程では、免税店で買った液体が再検査で止められる可能性があるため、購入前に航空会社へ確認しておくと安心です。ルールは今後変わる可能性があるため、出発前に国土交通省・空港・航空会社の最新の案内を確認してください(2026年10月時点)。