「電気ポットは何ワットなのか」「保温しっぱなしだと電気代が気になる」と調べる人は多い。結論から言うと、仕様表にある905Wや985Wはお湯を沸かしているときの消費電力で、保温中に続くW数ではない。保温単独のW数は仕様表にはなく、公式は湯沸かし・再沸とう・保温を含めた総消費電力量を、1日あたり・**年間(kWh/年)**で別の欄に示している。この年間消費電力量に単価31円/kWhを掛けると、カタログ値の目安として計算できる。象印・タイガーの公式仕様をもとに、2026年10月時点の数値で整理する。

この記事の要点

  • 象印CD-PB50の仕様表は「消費電力 湯沸かし時 985W」と明記されており、保温中の電力ではありません。タイガーPDX-A530・PIX-A400/A500の定格消費電力は905Wです(2026年10月時点・各社公式仕様)
  • 保温を含めた目安は、公式の年間消費電力量×31円/kWhで計算します。CD-PB50は564kWh/年で約17,484円、PIX-A400は417kWh/年で約12,927円というカタログ値の目安です(機種ごとに条件が異なるため優劣の比較ではありません)
  • 保温しっぱなしか切るかは、残りの湯量や空く時間で変わりますが、再加熱を始めるときの湯温・放熱・保温の実測値がないため、分かれ目の時間は出せません。象印CD-PB50の1日1.55kWh÷23時間(約67W相当)は、メーカーの測定条件での1日の値を23時間で割った参考値で、一般的な上限や節約額の保証ではありません(当サイト計算)
  • 古いポットとの比較は「公式に載っている値どうし」だけで行います。旧機種の年間値は公式に未掲載のため、象印が公式ページに並べて載せるCD-PB50(1日約1.55kWh)と2005年発売のCD-PA50(約1.67kWh)の日間値による補足比較です

電気ポットの「何ワット」は湯沸かし時の数字

電気ポット(電動ポット・電気まほうびん)の仕様表には、消費電力と、年間消費電力量・1日あたりの消費電力量が別々の欄で載っています。

象印公式の「マイコン沸とう電動ポット CD-PB50」(5.0L)の仕様表は、「消費電力 湯沸かし時(W)」が985Wと、湯沸かし時であることが明記されています。タイガー公式の「PDX-A530」(5.3L)は定格消費電力905W・満水の沸とう時間約40分、「VE電気まほうびん PIX-A400/A500」は定格消費電力905W・満水の沸とう時間が約30分(A400・4L)/約38分(A500・5L)です(2026年10月時点・各社公式仕様)。

つまり「何ワット」という数字は、ヒーターで湯を沸かしている間の消費電力の目安です。湯沸かし・再沸とう・保温を合わせた消費電力量は、別の欄(1日あたり・年間のkWh)に公表されます。保温単独のW数ではありません。なお、同じ「電気でお湯を用意する家電」でも、電気ケトルは1,250〜1,300W級と数字が大きい一方で沸かす時間が短く、ケトル側の数値は電気ケトルの電気代にまとめています。この記事では電気ポットの保温を中心に見ます。

年間消費電力量×31円/kWh — カタログ値の目安

保温まで含めた電気代の目安は、公式仕様の年間消費電力量(kWh/年)に単価31円/kWhを掛けて計算します。単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が示す目安単価(31円/kWh・税込、令和4年7月22日改定、2026年10月時点)です。

まず、公式仕様の数値と測定条件を並べます。

機種(容量) 消費電力 年間消費電力量 1日あたり 公式に記載の測定条件
象印 CD-PB50(5.0L) 985W(湯沸かし時) 564kWh/年 1.55kWh 日本電機工業会自主基準・室温23℃・湯沸かし2回/日・再沸とう1回/日・保温90℃で23時間/日・365日
タイガー PIX-A400(4L) 定格905W 417kWh/年 1.15kWh 日本電機工業会自主基準・室温23度・湯沸かし2回/日・再沸とう1回/日・保温98度で23時間/日・365日
タイガー PIX-A500(5L) 定格905W 464kWh/年 1.27kWh PIX-A400と同じ
タイガー PDX-A530(5.3L) 定格905W 646kWh/年 1.77kWh 公式ページに測定条件の記載は確認できず

(2026年10月時点・各社公式仕様)

これに31円/kWhを掛けた、カタログ値で計算した目安が次の表です。

機種 1日あたり 1年(年間消費電力量×31円)
象印 CD-PB50 約48.1円(1.55kWh×31円) 約17,484円(564kWh×31円)
タイガー PIX-A400 約35.7円(1.15kWh×31円) 約12,927円(417kWh×31円)
タイガー PIX-A500 約39.4円(1.27kWh×31円) 約14,384円(464kWh×31円)
タイガー PDX-A530 約54.9円(1.77kWh×31円) 約20,026円(646kWh×31円)

(公式の消費電力量に31円/kWhを掛けた、カタログ値で計算した目安です。2026年10月時点。端数は四捨五入)

数字だけを見ると機種で差がありますが、この表は優劣を示すものではありません。保温温度(象印は90℃、PIX-Aは98℃)や容量、メーカーの測定条件が揃っておらず、PDX-A530は条件が公式ページに見当たりません。同じ条件で比べられるのは、条件が同じと公式に書かれている範囲(たとえばPIX-A400とA500)だけです。象印公式は年間電気代を27円/kWhで表示していますが、この記事では他の記事と同じ31円/kWhで再計算しています。

また、公式は「1日の電気代・消費電力量は、季節による周囲温度等の条件により変動する場合があります」(タイガー)、「季節による周囲温度等の条件により、変動する場合があります」(象印)と注記しています。冬は室温が下がるため、表の数値どおりになるとは限りません。

満水を沸かす1回分の計算例

参考として、定格905Wが続くと仮定して満水を1回沸かす計算例です。沸とう時間は公式ページの値で、測定条件はページに記載がありません。

機種 沸とう時間(満水) 定格が続くと仮定した計算例
タイガー PIX-A400(4L) 約30分 0.905kW×30/60h×31円=約14.0円
タイガー PIX-A500(5L) 約38分 0.905kW×38/60h×31円=約17.8円
タイガー PDX-A530(5.3L) 約40分 0.905kW×40/60h×31円=約18.7円

(定格消費電力が沸とうの間ずっと続くと仮定した計算例です。運転中は定格より上がる場合もあり、上限試算ではありません。2026年10月時点)

この「1回分」を1日3回足しても、上の1日あたりの消費電力量にはなりません。公式の1日あたりの値は、水量などを含めた測定条件のもとで、湯沸かし・再沸とう・保温をまとめて測った値だからです。

保温温度・タイマー・省エネ機能 — 公式に書かれている範囲

電気代を左右するのは保温の時間と温度です。公式ページに書かれている機能は次のとおりです(2026年10月時点)。

  • 保温温度の選択(タイガーPDX-A530):98度・90度・80度・70度の4段階から選べます。
  • 省エネコース(タイガーPDX-A530):設定した保温温度になると湯沸かしを終了し、2時間操作がないと自動で保温温度を約5度下げます。通常の湯沸かしより消費電力を抑えられる、と公式は説明しています。
  • 節約タイマー(象印CD-PB50):6・7・8・9・10時間の5段階で、夜間や外出時に設定すると、設定時間後に湯沸かしが完了します。
  • 蒸気セーブモード(象印CD-PB50):沸とう(約95℃)でヒーターをOFFして蒸気を約90%カットする選択式のモードです(蒸気量はメーカー測定値。ただし98度保温を選ぶと選べません)。
  • まほうびん構造(タイガーPIX-A400/A500):高真空2重瓶の「節電VE保温」で、電気を使わずに2時間後も約98度(PIX-A500)・約91度(PIX-A400)を保つ参考値が公式に載っています(室温23度・満量沸とう後の自社測定値。プラグを抜くと時間とともに冷めます)。

一方、保温温度を変えたときの消費電力量の差(たとえば90℃から70℃にしたら何kWh減るか)は、確認した公式ページには載っていません。そのため、この記事では温度別の金額は計算していません。

保温しっぱなし?使う時だけ沸かす? — 分かれ目の時間は出せない

「保温のW数」は仕様表になく、保温と再沸とうのどちらが得かを時間で示すには、次の実測値が必要です。公式仕様にはこれらがないため、この記事では分岐時間を算出していません(2026年10月時点)。

  • 電源を切ったあと、湯が何時間でどこまで冷めるか(放熱)
  • 再加熱を始めるときの湯温(冷めきっていなければ、再沸とうに必要な熱量は小さくなる)
  • 保温中の実際の電力(保温温度・室温・残量で変わる)

参考にできる数字と、使えない数字

  • 1日の消費電力量から割った参考値:象印CD-PB50の1日1.55kWhを23時間で割ると約0.067kW(約67W相当、31円/kWhで1時間あたり約2.1円)になります。ただしこれは、メーカーの測定条件(室温23℃・湯沸かし2回/日・再沸とう1回/日・保温90℃で23時間/日)での1日の値を23時間で割った参考値です。湯沸かし・再沸とうの分も含んだ合計を割っているため保温単独の電力ではなく、任意の残量・室温・時間帯の上限にもなりません。タイガーPIX-A400(1.15kWh÷23h≒50W相当)、PIX-A500(1.27kWh÷23h≒55W相当)も同様の参考値です。
  • 水を温める理論値:水1Lを23℃から100℃にするには、水の比熱(約4.186kJ/kg・K)から約0.0895kWh(約2.8円)が必要です。これは冷めきった23℃の水を温める場合の理想値で、電源を切った直後の湯は23℃まで冷めていないため、再沸とうの熱量はこれより小さくなります。この値と上の参考値を突き合わせて「何時間まで保温が有利」と言うことはできません。

目安としての考え方

  • 残りの湯を使い切れる:使い切って電源を切る(または次に使うぶんだけ入れて沸かす)なら、空き時間の保温が不要になります。
  • 使うのは1日数杯だけ:必要な量だけ沸かす使い方と同じ考え方です。湯沸かしそのものは電気ケトルとほぼ同じ1Lあたり約3.5円(定格が続くと仮定した計算例)で、差は保温の分に出ます。湯量別の年額は電気ケトルの電気代で比べています。
  • 残りの湯が少ないまま長時間空く:保温のために電力を使い続けながら少ししか使わない状況です。ただし、何時間から切るほうが得かは、上の実測値がないため断定できません。

夜間・外出で何時間も使わない場合

夜間や外出で長く使わないとき、保温を止めると保温分の電力量は減りますが、朝に沸かし直す再沸とうの電力量がかかります。差し引きでいくら節約できるかは、湯温・放熱・保温の実測値がないため金額では示せません。

象印CD-PB50の「節約タイマー」は6〜10時間から選べ、設定した時間のあとに湯沸かしが完了する機能です。夜間に切って朝に沸かし直したい場合に使えます。ただし、タイマーで切っている間の電力量が公式の年間消費電力量にどう反映されるかは、確認した公式ページに載っていません。

公式の例外を押さえる

  • 保温温度は変えても金額は出せない:90℃から70℃にしたときの電力量の差は公式にありません(前の節)。タイガーPDX-A530の「省エネコース」は、2時間操作がないと保温温度を約5度下げる機能です。
  • タイガーのまほうびん構造(PIX-A400/A500)は例外:電気を使わずに2時間後も約98度(A500)・約91度(A400)を保つ参考値が公式にあり、電源を切っても冷めにくい構造です。ただし、上の約67W相当の参考値はCD-PB50のもので、この機種には当てはまりません。何時間後にどこまで冷めるかの時間推移は公式に2時間後の値しかなく、「何時間空けたら切る」を示す根拠にはなりません。
  • 旧式ポットは年間値が未掲載:お手元の機種の銘板や取扱説明書に1日の消費電力量があれば、÷23時間で同じ参考値は出せます(測定条件が同じ場合)。ただし保温単独の電力や分岐時間を示すものではありません。

古い電気ポットとの比べ方

古いポットとの比較は、メーカー公式が載せている値どうしでだけ行います。推測で古い機種の値を作ることはしません。

  • 象印:CD-PB50の公式ページに「断熱材使用の省エネ設計」として、1日あたりの消費電力量約1.55kWhと、2005年発売のCD-PA50の約1.67kWhが並んで載っています(日本電機工業会自主基準・保温90℃23時間などの測定条件の記載つき)。旧機種の年間消費電力量は公式に未掲載のため、これは年間値どうしの比較ではなく、公式の日間値(同条件)による補足比較です。差0.12kWhを31円/kWhで計算すると1日約3.7円で、年約1,358円は、この丸められた日間値の差を365倍して換算した参考値です。
  • タイガー:PIX-A500について、公式は「当社PDN-A500(2024年生まほうびん構造でないマイコンタイプ)と比較して3年間で電気代が約18,000円おトク」と説明しています(31円/kWhで計算した、メーカー公表の比較)。今回確認できた範囲ではPDN-A500自体の仕様値までは確認できておらず、その値の計算はしていません。

お手元の古いポットの年間消費電力量は、本体の銘板や取扱説明書、メーカー公式の旧製品ページで確認できる場合があります。確認できない場合は、買い替えで何円下がるかを断定することはできません。

向かない人・注意

  • この記事の金額は目安で、実際の電気代ではありません:公式の年間消費電力量は測定条件を決めたカタログ値で、使う回数・水量・室温(冬は下がる)で変わります。
  • 来客や大家族でお湯を頻繁に使う場合:沸かし直しの回数が多いほど、測定条件より電力量が増える可能性があります。逆に1日に数杯しか使わないなら、必要な分だけ沸かす方法が向く場合があります(ケトルとの比較は電気ケトルの電気代へ)。
  • やけど・安全面:タイガー公式は、操作キーがロック状態でも本体を傾けたり倒したりすると、注ぎ口や蒸気孔からお湯が流れ出てやけどのおそれがあると注意しています(2026年10月時点)。

電気代の計算方法とほかの家電

単価・計算の基本は電気代の計算方法、W数から電気代を引く早見表はW数別の電気代 早見表、家電全体の目安は家電の電気代 早見表にまとめています。常時通電する家電の例は待機電力は電気代の何%?・ウォーターサーバーの電気代も参照してください。

よくある疑問

電気ポットの保温は、何時間空くなら切ったほうが得ですか?

公式に保温単独の消費電力量がなく、再加熱を始めるときの湯温・放熱・保温の実測値もないため、「何時間から切るほうが得」という分岐時間は出せません。参考として、象印CD-PB50の1日の消費電力量1.55kWhを23時間で割ると約67W相当になりますが、これはメーカーの測定条件(室温23℃・湯沸かし2回/日・再沸とう1回/日・保温90℃で23時間)での1日の値を23時間で割った参考値で、任意の残量・室温・時間帯に当てはまる上限や節約額の保証ではありません(当サイトの計算・2026年10月時点)。

電気ポットは何ワットですか?

公式仕様の消費電力は、象印CD-PB50が985W(湯沸かし時と明記)、タイガーのPDX-A530・PIX-A400・PIX-A500が定格905Wです(2026年10月時点・各社公式仕様)。これはお湯を沸かしているときの数値で、保温中に常にこのW数が続くわけではありません。湯沸かし・再沸とう・保温を含めた総消費電力量は、公式仕様では1日あたり(kWh/日)・年間(kWh/年)で別の欄に示されています。

電気ポットの電気代は年間いくらが目安ですか?

公式の年間消費電力量に31円/kWhを掛けたカタログ値の目安は、象印CD-PB50(564kWh/年)で約17,484円、タイガーPIX-A400(417kWh/年)で約12,927円、PIX-A500(464kWh/年)で約14,384円、PDX-A530(646kWh/年)で約20,026円です(2026年10月時点)。年間消費電力量は日本電機工業会の自主基準などの測定条件によるカタログ値で、機種ごとに条件や容量が異なり、季節の室温や使い方で変わります。実際の請求額を示すものではありません。

古い電気ポットは買い替えると電気代が下がりますか?

旧機種の年間消費電力量は公式ページに載っていないため、ここでは公式の日間値(同条件)による補足比較にとどまります。象印の公式ページには、CD-PB50の1日あたりの消費電力量約1.55kWhと、2005年発売のCD-PA50の約1.67kWhが並んで載っています。差は0.12kWhで、31円/kWhで計算すると1日約3.7円です。「365日で約1,358円」は、この丸められた日間値の差を365倍した換算で、年間値どうしの比較ではありません。お手元の機種の公式値がわからない場合や、公式に旧機種の値が載っていない場合は、推測で比べることはできません。使い方によって差は変わります(2026年10月時点)。

電気ポットの電気代のあとに — 電力会社を比べてみるなら

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まとめ

電気ポットの仕様表にある905Wや985Wは湯沸かし時の消費電力で、保温を含む総消費電力量は、年間消費電力量(kWh/年)や1日あたりの消費電力量として別の欄に公表されている。公式値に31円/kWhを掛けたカタログ値の目安は、今回確認した4機種で年約12,927〜20,026円と幅があるが、容量・保温温度・測定条件が違うため優劣は付けられない。古いポットとの比較は、象印がCD-PB50とCD-PA50を並べた1日約3.7円の差(旧機種の年間値は未掲載のため日間値による補足比較)のように、公式に載っている値に限る。保温温度別の消費電力量は確認できなかったので、保温を下げる・タイマーを使うといった工夫は、公式が示す機能の範囲で試すにとどめたい。

ほかの家電の電気代も比べたい場合は、家電の電気代 早見表でまとめて確認できます。