賃貸情報サイトで「光回線対応」と書かれていても、実際に入居してみると動画が頻繁に止まる——そんな経験はありませんか。「光回線」とひとくちに言っても、マンションでは建物内の配線方式によって速度の上限がまったく違います。NTT東日本・NTT西日本公式の情報にもとづいて、3つの方式の違いと見分け方、そして方式ごとに何をすればよいかを整理します。

この記事の要点

  • マンションの光回線には「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3種類があり、最大通信速度の理論値は光配線方式が概ね1〜10Gbpsであるのに対し、VDSL方式・LAN配線方式はいずれも概ね100Mbpsです(2026年10月時点・NTT西日本公式)
  • 壁のコンセント表記で方式のあたりをつけられます(「光」「光コンセントSC」=光配線方式、LANポート=LAN配線方式、電話用モジュラージャックのみ=VDSL方式の可能性)。見分けた結果ごとの次の一歩は方式別の次の一歩にまとめました
  • VDSL方式・LAN配線方式で速度に不満があり、建物側の変更や乗り換えも検討したい人は、光回線を選び直す場合の候補へ(今の回線で困っていなければ読み飛ばして構いません)
  • NTT東西は、VDSL/LAN配線方式の新規申込受付を順次終了しており、NTT西日本は対象建物で2026年2月1日以降に光配線方式へ移行する案内を出しています(2026年10月時点・NTT東日本/NTT西日本公式)

マンションの光回線「3つの配線方式」とは

NTT東日本公式によると、集合住宅のフレッツ光は、共用スペースに引き込んだ光回線を各戸で共有する「共同利用方式」であり、建物内の配線によって「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3つに分かれます(2026年10月時点・NTT東日本公式)。

光配線方式は、棟内の共用スペースから各戸まで光ファイバーをそのまま引き込む方式です。VDSL方式は、電柱から共用スペースまでは光ファイバーで、共用スペースから各戸までは既存の電話回線用ケーブルを利用し、各戸では電話回線用モジュラージャックを経由してVDSL宅内装置を設置します(NTT東日本公式)。LAN配線方式は、共用スペースから各戸までの配線に既存のLANケーブルを利用する方式です。つまり後者2方式は、建物の外までは光ファイバーが来ていても、建物内の「最後の区間」だけ古い配線を使い回している状態です。

配線方式による速度差

NTT西日本公式(チエネッタ)は、配線方式ごとの最大通信速度(理論値)を次のように案内しています(2026年10月時点・NTT西日本公式)。

配線方式 最大通信速度(理論値) 建物内の回線
光配線方式 概ね1〜10Gbps 光ファイバー
LAN配線方式 概ね100Mbps LANケーブル
VDSL方式 概ね100Mbps 電話回線

同社公式は、VDSL方式について「途中で電話回線に切り替わるので速度が出にくい」と特徴を説明しています。理論値はあくまで技術規格上の最大値であり、実際の速度は利用環境や混雑状況によって変わりますが、VDSL方式・LAN配線方式では、契約プランを変えてもこの理論値上限自体は超えられません。

自分の建物の方式を見分ける方法

NTT西日本公式は、光コンセントを「光ファイバーとONU(終端装置)をつなぐ差し込み口」と説明し、壁のコンセントに「光」または「光コンセントSC」と表記があれば光コンセントの可能性が高いとしています(2026年10月時点・NTT西日本公式)。LAN配線方式は、壁の差し込み口がLANポートになっており、付近に「LAN」と書かれている場合もあります。LANケーブルを直接つなぐため、ONUやモデムは不要です。VDSL方式は、電話のモジュラージャックに似た差し込み口で、共用部までは光ファイバー、各住戸までは電話回線を利用します(同社公式)。

内見時や契約前にこれらの表記を確認しておくと、入居後の速度に見当をつけやすくなります。ただし、最終的にどの方式で利用できるかは、申込み時に契約先の事業者が設備状況を確認して判定するため、表記だけで完全には確定できません。

方式別の次の一歩

壁の見た目で見分けたあと、「何をすればよいか」は方式ごとに分かれます。公式に書かれている範囲で整理します(2026年10月時点)。

壁の見た目 考えられる方式 速度の上限(理論値) 次の一歩
「光」「光コンセントSC」の表記がある 光配線方式 概ね1〜10Gbps 光配線方式でも、建物の設備と契約プランの対応速度に上限がある。まずそれを確かめ、そのうえで宅内の Wi-Fi・機器を切り分ける(Wi-Fiが遅い原因はどれ?の切り分け)
LANポートがある LAN配線方式 概ね100Mbps 宅内はLANケーブルで接続(NTT東日本公式)。建物側を変えたいなら光配線化の窓口を管理会社へ相談
電話用のモジュラージャックのみ VDSL方式 概ね100Mbps 同上。NTT西日本エリアは併設建物の移行対象かを確認

光コンセントがある場合。 光配線方式でも、建物の設備と契約プランの対応速度には上限があります。まずそれを確かめ、そのうえで宅内の Wi-Fi・機器を切り分けます。NTT東日本公式は、無派遣工事(工事担当者が訪問しない開通)の対象を「住宅内に光ファイバーケーブルが引き込まれており、かつ光コンセントも設置されている場合」としています。表記があっても光ファイバーの引込状況まではコンセントの見た目では分からないため、無派遣になるかは申込み時の判定次第です。

LANポートのみ、またはモジュラージャックのみの場合。 理論値の上限が概ね100Mbpsである点は、プランを変えても動きません。NTT東日本公式(VDSL方式のページ)では、VDSL宅内装置の設置は原則NTT東日本が行うが、工事の種類によっては利用者に設置を依頼する場合があるとされ、LAN配線方式のページでは、各戸のLANコネクタとパソコンの間は通常利用者自身がLANケーブルで接続するとされています。複数台で使う場合はルーターが必要です。なお、この2方式の部屋が無派遣工事の対象になるかどうかは、NTT東日本公式の集合住宅向け開通工事のページに方式別の記載がなく、本記事では断定しません。契約先の事業者に申込み時に確認してください。

どの方式でも最後に残る確認。 方式は壁の表記だけで確定できないため、契約前に「この部屋は光配線方式で利用できるか」「無派遣工事の対象か」を契約先へ尋ねるのが確実です。

光回線を選び直す場合の候補

ここまでの結果、VDSL方式・LAN配線方式の部屋で速度に不満があり、建物側の変更(光配線化の窓口)とは別に、料金や契約条件を見直したい人に向けた節です。同じ建物で乗り換えても配線方式は変わらないため、速度の上限そのものは解消しません。光コンセントがあり速度に困っていない人や、建物側の手続きの結果を待ちたい人は、読み飛ばして構いません。提供エリアや建物での利用可否は、公式サイトで確認してください。

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光回線の例として、AsahiNet 光の公式サイトで料金と提供エリアを確認できます。

AsahiNet 光

VDSL方式・LAN配線方式は今どうなっているか

ここ数年、NTT東西はVDSL方式・LAN配線方式から光配線方式への切り替えを進めています。NTT東日本公式は、光スプリッタとVDSL/LAN配線方式の集合装置が併設された建物について2023年10月23日をもって、また、VDSL/LAN配線方式の集合装置が単独設置され利用者がいない建物について2024年10月24日をもって、それぞれ新規申込受付を終了しました(2026年10月時点・NTT東日本公式)。既存の利用者はそのまま継続利用できますが、新規の入居者が同じ方式で新たに申し込めるとは限らなくなっています。

NTT西日本公式はさらに踏み込み、光スプリッタとVDSL/LAN機器が併設されている一部建物について、対象建物でVDSL/LAN方式を利用している場合は2026年2月1日以降、通信速度が速い「ひかり配線方式」を利用する扱いになると案内しています。2025年1月1日以降に申し込まれた移行工事は、代表的な工事の費用が無料とされています(申込み後1年以内に移行が完了しない場合など、対象外になる条件があります)。同社は、対象建物の一覧と移行の申込み窓口を公開しており、「ひかり配線方式」が使えない建物では引き続きVDSL/LAN方式の提供が続くとしています(2026年10月時点・NTT西日本公式)。2026年2月1日はすでに過ぎているため、NTT西日本エリアの該当建物では、光配線方式への移行が済んでいる、または手続きが必要な状態になっている可能性があります。自分の建物が対象かどうかは、NTT西日本の公開一覧か契約先の事業者で確認してください。

VDSL方式で遅い場合の現実的な選択肢

すでにVDSL方式・LAN配線方式で契約していて速度に不満がある場合、選択肢は大きく2つに分かれます。

ひとつは、建物側の設備を光配線方式に変える方法です。 個人の契約だけでは変更できませんが、NTT東日本公式は、VDSL/LAN配線方式の集合装置が設置されている集合住宅の入居者向けに「光配線化のリクエスト受付窓口」を用意しており、Webフォームから管理会社の情報を入力すると、NTT東日本の担当者が管理会社へ光配線方式の導入を案内する仕組みがあるとしています。ただし対象はVDSL/LAN配線方式の集合装置が単独設置されている建物などの条件があり、設備状況により有償になる場合や対応できない場合もあります(2026年10月時点・NTT東日本公式)。管理会社・管理組合の了承と建物の設備状況次第ですが、「建物の配線方式は個人にはどうにもできない」と諦める前に、この窓口の利用を管理会社に相談する余地はあります。

もうひとつは、モバイル回線を使う選択肢です。 建物の配線方式に左右されないホームルーターであれば、VDSL方式・LAN配線方式の理論値上限を気にする必要がなくなります。ただし、電波環境や混雑状況に速度が左右される点には注意が必要です。仕組みと注意点はホームルーターとはで整理しています。また、自室の設置場所や周波数帯の見直しで改善する余地もあるため、Wi-Fiが遅い原因はどれ?の切り分け手順もあわせて確認してください。

無派遣工事との関係(光コンセント既設)

引越し先を選ぶ際、「無派遣工事(工事担当者が訪問しない開通)」を希望する場合は、配線方式の理解が前提になります。NTT東日本公式の集合住宅向け開通工事の案内によると、無派遣工事の対象になるのは「住宅内に光ファイバーケーブルが引き込まれており、かつ光コンセントも設置されている場合」です(2026年10月時点・NTT東日本公式)。これはつまり、自室に光ファイバーの引込と光コンセントがすでにあることが条件ということです。光配線方式の建物では、光コンセントの設置が工事の一部として案内されています(同社公式)。VDSL方式・LAN配線方式の部屋が無派遣の対象になるかは、前述のとおり公式ページに方式別の記載がないため、契約先への確認が必要です。工事の要不要をめぐる選択肢の全体像は「このお部屋は光回線の工事ができません」と言われたらで詳しく整理しています。

よくある不安

自分の部屋がどの配線方式か、契約前に確認する方法はありますか?

NTT西日本公式(チエネッタ)によると、壁のコンセント表記で見分けられます。「光」または「光コンセントSC」と書かれていれば光配線方式、LANケーブルを挿すLANポートがあればLAN配線方式、電話用のモジュラージャックしかなければVDSL方式の可能性があります(2026年10月時点・NTT西日本公式)。最終的な確定は、契約先の事業者による設備状況の確認が必要です。

VDSL方式で速度が遅い場合、建物の設備を変えることはできますか?

個人の契約だけでは変更できませんが、NTT東日本公式は、VDSL/LAN配線方式の集合装置が設置されている集合住宅の入居者向けに「光配線化のリクエスト受付窓口」を設けており、管理会社の了承のもとで光配線方式の設備(光スプリッタ)導入を要望できるとしています(2026年10月時点・NTT東日本公式)。設備状況によっては対応できない場合もあります。

VDSL方式・LAN配線方式は今後もずっと使えますか?

NTT東日本・NTT西日本は、光スプリッタとVDSL/LAN機器が併設された建物などで新規申込の受付を順次終了しており、NTT西日本公式は対象建物について2026年2月1日以降、通信速度が速い「ひかり配線方式」の利用に移行する案内を出しています(2026年10月時点・NTT東日本/NTT西日本公式)。既存利用者への影響は建物の状況によって異なるため、対象かどうかは契約先に確認してください。

まとめ

マンションの「光回線」は、建物内の配線方式によって速度の上限が大きく異なります。壁のコンセント表記で方式のあたりをつけ(詳しくは方式別の次の一歩の表)、最終的には契約先の事業者に確認する。VDSL方式・LAN配線方式で不満がある場合は、光配線化リクエスト窓口の利用を管理会社に相談する方法と、モバイル回線に切り替える方法の両方を検討してみてください。契約先を見直す場合の候補は光回線を選び直す場合の候補にあります。