賃貸情報サイトで「光回線対応」と書かれていても、実際に入居してみると動画が頻繁に止まる——そんな経験はありませんか。「光回線」とひとくちに言っても、マンションでは建物内の配線方式によって速度の上限がまったく違います。NTT東日本・NTT西日本公式の情報にもとづいて、3つの方式の違いと見分け方を整理します。

この記事の要点

  • マンションの光回線には「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3種類があり、最大通信速度の理論値は光配線方式が概ね1〜10Gbpsであるのに対し、VDSL方式・LAN配線方式はいずれも概ね100Mbpsです(2026年8月時点・NTT西日本公式)
  • 壁のコンセント表記(「光」「光コンセントSC」の有無、LANポートの有無)で、自分の部屋の配線方式をある程度見分けられます(同社公式)
  • NTT東西は、VDSL/LAN配線方式の新規申込受付を順次終了しており、対象建物では2026年2月1日以降に光配線方式への移行が進められています(2026年8月時点・NTT東日本/NTT西日本公式)

マンションの光回線「3つの配線方式」とは

NTT東日本公式によると、集合住宅のフレッツ光は、共用スペースに引き込んだ光回線を各戸で共有する「共同利用方式」であり、建物内の配線によって「光配線方式」「VDSL方式」「LAN配線方式」の3つに分かれます(2026年8月時点・NTT東日本公式)。

光配線方式は、棟内の共用スペースから各戸まで光ファイバーをそのまま引き込む方式です。VDSL方式は、電柱から共用スペースまでは光ファイバーで、共用スペースから各戸までは既存の電話回線用ケーブルを利用し、各戸では電話回線用モジュラージャックを経由してVDSL宅内装置を設置します(NTT東日本公式)。LAN配線方式は、共用スペースから各戸までの配線に既存のLANケーブルを利用する方式です。つまり後者2方式は、建物の外までは光ファイバーが来ていても、建物内の「最後の区間」だけ古い配線を使い回している状態です。

配線方式による速度差

NTT西日本公式(チエネッタ)は、配線方式ごとの最大通信速度(理論値)を次のように案内しています(2026年8月時点・NTT西日本公式)。

配線方式 最大通信速度(理論値) 建物内の回線
光配線方式 概ね1〜10Gbps 光ファイバー
LAN配線方式 概ね100Mbps LANケーブル
VDSL方式 概ね100Mbps 電話回線

同社公式は、VDSL方式について「途中で電話回線に切り替わるので速度が出にくい」と特徴を説明しています。理論値はあくまで技術規格上の最大値であり、実際の速度は利用環境や混雑状況によって変わりますが、VDSL方式・LAN配線方式では、契約プランを変えてもこの理論値上限自体は超えられません。

自分の建物の方式を見分ける方法

NTT西日本公式は、光コンセントを「光ファイバーとONU(終端装置)をつなぐ差し込み口」と説明し、壁のコンセントに「光」または「光コンセントSC」と表記があれば光配線方式と見分けられるとしています(2026年8月時点・NTT西日本公式)。LAN配線方式は、LANケーブルを挿せるLANポートが壁に設置されているのが特徴で、「LAN」と書かれている場合もあります。VDSL方式は、共用部までは光ファイバーですが、各戸の壁には電話用のモジュラージャックしかない状態です(同社公式)。

内見時や契約前にこれらの表記を確認しておくと、入居後の速度に見当をつけやすくなります。ただし、最終的にどの方式で利用できるかは、申込み時に契約先の事業者が設備状況を確認して判定するため、表記だけで完全には確定できません。

VDSL方式・LAN配線方式は今どうなっているか

ここ数年、NTT東西はVDSL方式・LAN配線方式から光配線方式への切り替えを進めています。NTT東日本公式は、光スプリッタとVDSL/LAN配線方式の集合装置が併設された建物について2023年10月23日をもって、また、VDSL/LAN配線方式の集合装置が単独設置され利用者がいない建物について2024年10月24日をもって、それぞれ新規申込受付を終了しました(2026年8月時点・NTT東日本公式)。既存の利用者はそのまま継続利用できますが、新規の入居者が同じ方式で新たに申し込めるとは限らなくなっています。

NTT西日本公式はさらに踏み込み、光スプリッタとVDSL/LAN機器が併設されている一部建物について、「2026年2月1日以降、通信速度が速い『ひかり配線方式』をご利用いただくこととさせていただきます」と案内しており、2025年1月1日以降の申込みからは移行工事費も無料としています(2026年8月時点・NTT西日本公式)。つまり、この記事の執筆時点である2026年8月現在、該当するNTT西日本エリアの建物では、すでに光配線方式への移行が進んでいる可能性があります。自分の建物が対象かどうかは、契約先の事業者に確認するのが確実です。

VDSL方式で遅い場合の現実的な選択肢

すでにVDSL方式・LAN配線方式で契約していて速度に不満がある場合、選択肢は大きく2つに分かれます。

ひとつは、建物側の設備を光配線方式に変える方法です。 個人の契約だけでは変更できませんが、NTT東日本公式は、VDSL/LAN配線方式の集合装置が設置されている集合住宅の入居者向けに「光配線化のリクエスト受付窓口」を用意しており、Webフォームから管理会社の情報を入力すると、NTT東日本の担当者が管理会社へ光配線方式の導入を案内する仕組みがあるとしています。ただし対象はVDSL/LAN配線方式の集合装置が単独設置されている建物などの条件があり、設備状況により有償になる場合や対応できない場合もあります(2026年8月時点・NTT東日本公式)。管理会社・管理組合の了承と建物の設備状況次第ですが、「建物の配線方式は個人にはどうにもできない」と諦める前に、この窓口の利用を管理会社に相談する余地はあります。

もうひとつは、モバイル回線を使う選択肢です。 建物の配線方式に左右されないホームルーターであれば、VDSL方式・LAN配線方式の理論値上限を気にする必要がなくなります。ただし、電波環境や混雑状況に速度が左右される点には注意が必要です。仕組みと注意点はホームルーターとはで整理しています。また、自室の設置場所や周波数帯の見直しで改善する余地もあるため、Wi-Fiが遅い原因はどれ?の切り分け手順もあわせて確認してください。

無派遣工事との関係(光コンセント既設)

引越し先を選ぶ際、「無派遣工事(工事担当者が訪問しない開通)」を希望する場合は、配線方式の理解が前提になります。NTT東日本公式の集合住宅向け開通工事の案内によると、無派遣工事の対象になるのは「住宅内に光ファイバーケーブルが引き込まれており、かつ光コンセントも設置されている場合」です(2026年8月時点・NTT東日本公式)。これはつまり、建物がすでに光配線方式で配線され、かつ自室に光コンセントが設置済みであることが前提になるということです。VDSL方式・LAN配線方式の部屋には、この意味での光コンセントは存在しないため、無派遣工事の対象にはなりません。工事の要不要をめぐる選択肢の全体像は「このお部屋は光回線の工事ができません」と言われたらで詳しく整理しています。

よくある不安

自分の部屋がどの配線方式か、契約前に確認する方法はありますか?

NTT西日本公式(チエネッタ)によると、壁のコンセント表記で見分けられます。「光」または「光コンセントSC」と書かれていれば光配線方式、LANケーブルを挿すLANポートがあればLAN配線方式、電話用のモジュラージャックしかなければVDSL方式の可能性があります(2026年8月時点・NTT西日本公式)。最終的な確定は、契約先の事業者による設備状況の確認が必要です。

VDSL方式で速度が遅い場合、建物の設備を変えることはできますか?

個人の契約だけでは変更できませんが、NTT東日本公式は、VDSL/LAN配線方式の集合装置が設置されている集合住宅の入居者向けに「光配線化のリクエスト受付窓口」を設けており、管理会社の了承のもとで光配線方式の設備(光スプリッタ)導入を要望できるとしています(2026年8月時点・NTT東日本公式)。設備状況によっては対応できない場合もあります。

VDSL方式・LAN配線方式は今後もずっと使えますか?

NTT東日本・NTT西日本は、光スプリッタとVDSL/LAN機器が併設された建物などで新規申込の受付を順次終了しており、NTT西日本公式は対象建物について2026年2月1日以降、通信速度が速い「ひかり配線方式」の利用に移行する案内を出しています(2026年8月時点・NTT東日本/NTT西日本公式)。既存利用者への影響は建物の状況によって異なるため、対象かどうかは契約先に確認してください。

まとめ

マンションの「光回線」は、建物内の配線方式によって速度の上限が大きく異なります。壁のコンセント表記で方式のあたりをつけつつ、最終的には契約先の事業者に確認する。VDSL方式・LAN配線方式で不満がある場合は、光配線化リクエスト窓口の利用を管理会社に相談する方法と、モバイル回線に切り替える方法の両方を検討してみてください。